はじめてのアニクラ ~とっとこハム太郎で回れ~
「フロアに集合で!!」
なにがなんやらでフロアに移動してみたら、ほとんど強制的に前の人の肩を掴まされ、僕たちは円になって回っていた。
な、なんだこれは……。
アニメクラブ、略してアニクラ
アニクラに行ってみたいと思ったのは、つい最近のこと。知り合いにアニソンDJの人がいて、話を聞いているうちに行きたくなったのだ。
大音量でアニソンが聴ける。アニメ好きかつ音楽好きでライブにも何回も足を運んでいる自分にとって、興味津々なイベントだった。
1月、地元のアニクラにその人と行くことが決まった。ただ、アニクラどころかクラブにすら行ったことがない。完全に初心者だ。
所持金はいくら持っていけばいいんだろう、会場の治安は大丈夫そう? ドレスコードってある……?? とにかく分からないことだらけ。
Xでアニクラ会場で撮影された動画を見た。知らないアニソンが多かったけど、雰囲気はなんとなく掴めた。
まぁ、行ったら楽しめるでしょう! ワクワクを胸に、夜遊びと呼べる時間、僕たちはクラブに向かったのだった。
アニソンガンガン!
アニクラが開催されるお店に着くと、入場料を払って手の甲にスタンプを押してもらう。これが入場チケットみたいなものなんだろう。
店内はわいわい音楽を楽しめるフロアと、お酒などを飲んでおしゃべりできるゾーンの大きく2か所にわかれていた。
とりあえず、フロアに行ってみる。まだ始まったばかりだからお客さんはまばら。正面にDJブースがあり、その後ろはアニメのOPなど映像が流れていた。
うんうん、今のところぜんぜん知らないアニソンばっかりだ……。しばらくフロアにいたけど、一旦離れてジンジャーエールを注文して乾杯した。
しばらく離れたゾーンでジンジャーエールを飲みながら聴いていると、だんだんお客さんが増えてきた。
すると、それぞれの楽しみ方が見えてくる。
フロアで思いっきりヲタ芸をする人もいれば、曲に合わせて大合唱する人もいる。フロアから離れたゾーンではひさしぶり~! って挨拶をかわしたり、社交場的な雰囲気があった。
一緒に行った人が顔の広い人で、紹介してもらってDJと挨拶とおしゃべりすることができた。
好きなアニメは? って聞かれてよさげな答えを考えていなかったから、「まどマギです!」「推しの子も好きです!」っていういかにもビギナーな返事をしてしまった。
もっとマイナーなアニメの方が「ほほう……」って思われたのかもしれないけど、僕は最近の話題のアニメしかほとんど観ていない。もっと新旧広く観なければ……! と思った瞬間だった。
流れるアニソンやボカロは8割くらいがはじめて聴く曲だ。知ってたらもっと楽しめたんだろうなぁ~。
知らない曲の合間に、僕ヤバの最新OP曲やYOASOBIの『祝福』が流れた。そのときはフロアに戻って、好きな曲きた~! とノリノリしていた。
DJブースの下にはリクエストが書ける張り紙があって、僕は“YOASOBI”と書いた。めちゃくちゃ好きだし、ぜひ大音量で聴きたい!!
もしかしたらYOASOBIも玄人にとって「ふふ、まだまだビギナーね……」となるのかもしれないとドキッとしたけど、『怪物』や『アイドル』が流れたときはかなり盛り上がっていた。
まさか「天才的なアイドル様!!」のかけ声をYOASOBIのライブではなくアニクラでやるとは……。コールと大音量サウンドのまちがいない楽しさがあった。
帰りがけの時間、とっとこハム太郎でわけも分からず20人くらいで円になって回った。後から聞いたらとっとこハム太郎は定番らしく、このわちゃわちゃはアニクラの“文化”らしい。
騒ぐのって楽しいしな! 今夜は華金だしな! 普段ならこのわちゃわちゃに参加しない。でも、やってみたらやってみたで楽しかった。
まわるとうれしいハム太郎~←だから回ったのか!!
楽しかった! わいわいわちゃわちゃした楽しい雰囲気を味わえた。
アニソンをもっと知っていたらより盛り上がれたんだろうなー。音が大きいから話すのも一苦労だけど、他のお客さんに話しかけることもできたかもしれない。
アニクラでは、好きな曲がかかったときに「それそれそれ~! いいね~!」ってDJの真ん前まで行ってアピールをする。
そういう“アニクラ文化”が見ていて楽しかった。自分も? それは……ゆくゆくはしてるかも??
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