まだ蕾、あるいは
気がついたら4月になっていた。4月が来たということは学年が一つ上がったわけで、私なりに重要な一年が幕を開けたということになる。
咲ききれない、開ききれないまま、季節だけが通り過ぎていく毎日。だけど決して停滞しているわけではなくて、なのに傍目から見ると何も進んでいない。ここ数ヶ月は、そんな不思議な時の流れを感じている。
ふらっと外に出てみたら、近所の桜が咲き始めていた。満開とは言えないけれど、近づいてみるとかなりの数が開花している。かと思いきや、まだ膨らみの浅い蕾もちらほらと。来週あたりにはご近所プチお花見が実現するだろうか。
ほら、私が足踏みしている間にもきちんと世界は変化を遂げている。けれどこの足踏みにも私なりの意味があって、私なりに密度が詰め込まれたものだと思う。だからあまり後悔はしていない。むしろ、私にとっては必要な時間だった。
周りからずいぶん遅れて一歩踏み出して、また後退して。ただその繰り返しだった。でも、私みたいな人がみんなと同じように物事を進められると思う方がたぶん間違っているのだと、ようやく自覚した。だから、どんなに時間がかかっても、着実に少しずつ歩いていけたらいい。焦らずに。
新卒カードとやらにこだわるから、みんなこぞって高みを目指してしまうわけで。でも、考えてみればキャリアも何も働くことに人生の重きを置きたくない私にとって、このカードは案外単なる紙切れにすぎないのかもしれない。だとしたら、まあ、今やれることからやっていけばなんとかなるのかもね。
ひとまずストレスの少ない環境で、あたたかい人たちに恵まれて生きるためのお金を得ることができたらそれでいい。意識が低いと思われても仕方ないけれど、私にとっては最低限、そして最高に必要なことだ。他人のじゃなくて、自分の信じるほんとうの道を歩んでいきたいから。
私だってまだまだ蕾だ、いや、ひょっとしたらまだ芽吹いてすらいないのかもしれない。将来が華やかなものになるかどうかはわからないけれど、私だけの蕾を花開かせることができたら、素敵な人生になるだろうなと思う。
どんなに小さくてもいい、みんなに振り向かれなくてもいい。あなたが認めてくれるなら。そう、きっと、これが私なりの、私にしかできない歩み方。
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