グルメは孤独にならない
わたしの母はもうすでに亡くなってしまったが、母の幼馴染の方々とは、お付き合いがある。
母は、戦前の東京生まれで下町育ち。幼馴染のお友達は、お隣同士で、それもくっついて立っていたものだから、2階の窓から、お人形をやり取りして、ままごとをしていたそうである。
母が育った街は、東京大空襲で焼け野原となり、ご近所もみなチリジリになってしまったが、母たちの友情はずっと続いていた。それこそ、「死が2人を別つまで」続いたのだ。
先日、その方に、チャールズ皇太子のブランドの「ハイグローブ」のクリスマス限定バージョンのマーマーレードを送ったところ、お礼のお電話をいただいた。
「めずらしいものをありがとう」となんとその方は、「ハイグローブ」を知っていたのである。
これには、正直びっくりした。だって、わたしは、このブランドを知らなかったから、今回初めて買い求めたのである。
ご高齢で一人暮らしなので、贈るのは何がいいかと日本橋三越を見て回ったのだが、なかなか決めかねていた。
こういっては、なんだが、このお店も隅っこの方にあったのだが、ただ、期間限定の日本に上陸したのは25個だけという解説につられて思わず買ってしまったのだ。限定品に弱いわたし、トホホ。
「わたし、イチゴジャムは食べられないんだけど、これはオレンジマーマレードでよかったわ」と喜んでいただき、ホッと胸をなでおろした。
なんだか、エリザベス女王の前で、緊張するキャサリン妃のようだ。
「わたしも、昔は、海外旅行が好きでよく行ったのよ。中国やヨーロッパに何度も。もうパスポートが切れてから10年近くになるけどね。だから、お金なんか全然残らないわ。」とひとしきり、旅の思い出のお話をした。
それにしても、お元気で何よりだ。
最近は、思うように外出できないと嘆いていらした。
春が来たら、またお花見ができるような状況になることを願ってやまない。
最期まで読んでくださってありがとうございます。誰かに読んでもらえるなんて、それだけで嬉しいです。もし、気に入っていただけたら、スキしていただければもちろんもっと嬉しいです。よろしくお願いします。