小説:「金・金・愛」#2
第2話:1年目の秋
一年目の秋頃には体調の悪い日が続いた。
休みの日には、布団から出ることが出来ず、何もする気が起きない。しかし、何に疲れているかもわからない。眠気だけが襲って来る。急にやる気を起こして部屋の掃除を始めることもあった。
仕事の日に一人暮らしの部屋に帰宅すると、疲れからか、何も考えずテレビをつけ、コンビニ弁当を食べ、シャワーを浴びる気が起きず、そのままベッドで寝る。その間もずっと無表情。楽しいも悲しい、美味しいの感情はない。
次の日の朝、シャワーを浴びてから会社に行く。なにも食べる気にはなれず、水だけが美味しい。そういえば、久しく何かを食べておいしいと感じたことがない。
この症状の原因はストレスと分かっていたが、これの対処法が解らない。
ストレスを抱えた会社員は、みんなこんな状況になっているのかなと考える。
会社の上司はストレスから血便が出ていると言っていた。それは本当なのか?
どこまでいったら、自分は血便したり、突然倒れて病院に運ばれると言うことになるのだろうか?そんな事を考えている自分はまだ、冷静を保てていると思い込むことができた。
これが酷くなると適応障害とかになるのか?それとも自分はもうなっているのか?はたまた全く違うことなのか?
一番の解決策は働くことだった。症状がひどくなるのは何も予定の入っていない土日休みだ。考える時間がとにかくある。借りてきたDVDでは、まだ時間が余る。
日曜日の昼ごろからは月曜日待ちになる。仕事の準備を完璧にして、早く月曜日が来ないかなあと考えるまでだった。
仕事が好きなわけではない、どちらかといえば働きたくない方だ。でも、休みの日に我に返って、色々考え、心が病んでしまう方がもっと辛かった。これが社畜というやつなのかと小さな脳みそで考えたが、社畜にしては仕事があまり出来ていないと考え、これ以上考えるのを辞めた。
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