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差し伸べられた手

次回、表紙&巻頭カラー…ペースが!ペースがものすごいのよアオのハコさん!新連載時を含めるともう3回目。まだコミックスは2巻なんですよ。コミックスの表紙間隔でジャンプの表紙を飾ってるの、すごすぎてめでたいという言葉しか出てきません。

さて、気を取り直して今週も週刊少年ジャンプ2021年46号掲載の『アオのハコ』第25話「お疲れ様」についてお話ししていきます。

今年インターハイの夢が破れた大喜はというと、期末試験という大喜にとってはインターハイ並みに高い壁に衝突していた。部活に集中していた大喜は当然のごとく勉強は疎かに、さらに雛ちゃんに話しかけるも同じく期末試験にピリピリの状態。

初っ端「諦めるしかない」のセリフから始めて大喜が何もかもを投げ出したように見せかけられたので、こちらとしては内心ドキッとしました。前回の引きからの繋ぎ方で上手く騙してくるあたり流石だなと思います。

体育館ではインターハイに向けて汗を流す千夏先輩たちの女バス。それを眺める大喜の手には教科書。この対比が辛い練習を頑張り、お互いに同じ目標を目指していた頃から存在が遠くに離れてしまったような、そんな空気が感じられるコマ表現で切ないんですよね。

気持ちを切り替えて張り切って練習に臨もうとする大喜を見る匡と雛ちゃんは、腐れ縁故というか元気がないことに気づいています。恋のライバルとはいえ、かたやインターハイ出場を決めた千夏先輩との家での気まずさを心配する雛ちゃんの人としての良さが描かれていたり。時間経過として、大喜は勉強をしている描写と千夏先輩は部活に励む描写になんとも言えない差を感じてしまうのが苦しいです。

自宅でも千夏先輩と家族がインターハイの話題で盛り上がるたび気にしないようにしたり。そして、このような精神状態で勉強に部活にと詰め込んだ結果、試験最終日の部活後は遊びに行く人が多い中そのまま帰って倒れ込んでしまいます。県大会が終わって落ち込みそうになったら身体を動かし現実を忘れようとしていたことも、頭痛で千夏先輩に宣言したことやあっさり負けてしまったことが頭の中でリプレイすると「かっこわりぃ…」とネガティブな本音が漏れてしまう。

そこに女神の如く現れた千夏先輩。「お疲れ様」と熱のある大喜のおでこに千夏先輩の手!あ〜、いけません!先輩、それは余計に熱が上がってしまうやつです!

恋愛のボルテージとスポーツというある種のバトル要素のボルテージを良い塩梅で上げてくれると、読者が求める恋愛のドキドキをより際立って味わうことができる。アオのハコは、このバランスが本当に素晴らしいと思います。僕はそろそろ大喜がちゃんと弱いところを出し切ってくれることを期待しております。また次回が楽しみで仕方ありません。



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