語学留学レポート(医療英語とOET試験対策)+留学前の勉強
前回の記事「語学留学をすれば英語力は伸びるのか?」の続きです。
↓できればこちらを先にお読みください。
私は薬剤師なので帰国後のキャリアにも役立てたく、医療英語の勉強にも力を入れました。
今回の記事では留学前、留学中どのように勉強していたかも記載してみました。(失敗談も含め)
英語学習中の方、特に医療関係の方に興味を持っていただける内容かと思います。
①なぜ医療英語を勉強しようと思ったのか?
1番最初の自己紹介記事にも少し書きましたが、私が勤めていた都内の病院が外国人患者の受け入れ病院としての認証(JMIP)を取得しました。
それによりじわじわと外国人の患者さんが増え、薬剤師も対応する機会が増えてきました。(コロナ前の話)
当時薬剤科には1人だけ英語が堪能な先輩がいたので、難しい案件はほぼその先輩にお願いしていました。
私も簡単な薬の説明を外来、入院患者にすることがありましたが、こちらが用意した内容は一方的に話せても、質問されると上手く答えられないという、応用力が完全に欠乏した状況にモヤモヤしていました。
これが私が語学留学に興味を持ち始めた最初のきっかけでした。
自分に足りなかったものは総合的な英語力(特に会話力)と医療現場で使うべき適切な単語と表現力でした。
②留学前の2年間でやっていたこと
本当は仕事を辞めたくなかったので、留学せずにどこまで英語力が伸びるか?を自分の中で約2年かけて実験していました。
まず「AEON」に週1時間、1年間通いました。値段は教材費含め、1年間で20万円くらいでした。
もちろんこれだけでは大きな伸びはありませんが、自宅で毎回予習が必要なこと、授業で少しでもアウトプットする場ができたので悪くなかったです。オリジナルの教材やCDもよく考えられていて好印象だったので、値段相応だと感じました。
通う時間と費用が許す方には週2時間以上の受講をおすすめします。
やってしまった!と思った学習の失敗例。
「おうちホームステイ」という英語学習サービスです…。(2020年7月でサービス終了(倒産?)したそうです。)
当時GoogleやLINEの広告などあらゆるところに出現し、「留学しなくても1日30分、2ヶ月間で英語がペラペラになる!」というような言葉巧みな文言で私を魅了し(笑)、ついに入会してしまいました…。最初に20万円支払いました…🤦♀️
冷静に考えればめちゃくちゃ怪しいんですけど、当時は試してみたい欲が勝ったんですよね。
2ヶ月間送られてくる動画を見たり、LINEボイスで自分の発音を送ったりと真面目に継続しました。
発音についてのフィードバックがLINEで返ってくるのだけは良かったですが、20万円は高すぎました。
セミナー参加券3回分も付いてきましたが、一度行って微妙だったのであと2回は行きませんでした😅
もちろんペラペラになるわけがないので、それならAEONなどの駅前留学やオンライン英会話をコツコツ続ける方が断然良いと思います。
このサービスはもう無くなったようですが、似たような業者は他にもあると思うので皆様もご注意下さい…。
その2年間の内にTOEICを2回と英検2級を受けました。それは以前の記事にも記載したように、独学のモチベーションが下がりそうな時に短期目標を自分に与えていました。やらないよりは良かったと思います。
英検2級がほぼ満点だったので、準1級も行けるかな?と思い過去問題集を買ってみましたが、レベルが大きく違い尻込みしました😅
英検準1級は一旦放置し、次に「医療通訳検定」(日本医療通訳協会主催)というものを見つけました。
同じ病院の事務さん(ほとんどの外国人患者対応をしていた)もそれを受験しようとしていたので、一緒に受けてみることにしました。
筆記試験合格者のみ口頭試験に進める形式で、それぞれの点数によって検定一級か二級の合否を与えられます。
専門的な医療単語をスペルまで正確に覚える必要があり、地道な努力と時間が必要となりました。
これは後に留学中医療英語を勉強する際、ものすごくアドバンテージとなりました。
筆記試験は一級の合格点を超えていたので、口頭試験に進みました。
場面は診察室。日本人の医師役(日本語のみ)と外国人患者役(英語のみ)の診察に立ち会い、自分がそれぞれの通訳をするというロールプレイです。
事前にお題となる2種類の病名を告げられるので、ある程度関連する単語や表現を調べて練習しておくことはできます。
しかし、当時英語レベル中級の私には相当きつかったです。応用力がないととても太刀打ちできませんでした。
当然のように口頭試験で不合格…。
勉強している内に、薬剤師+医療通訳として働けたら素敵だなという野望も芽生えつつ、独学での限界を感じました。
それが語学留学を決意する最終的な決定打となりました。
③留学中に受講した医療英語コース
私が最初に通っていた語学学校は「医療英語コース」を売りにしていたので、医療従事者が集結していました。
特に日本の医師、看護師向けのエージェントがゴリ押ししていた?のか、コロナ直前までは医療コースの受講者のほとんどが日本人でした。(笑)
春休みを利用して短期で来ている学生も多く、グループで意見を述べ合うときや先生に質問されても「わかりません」「…。」という生徒もいたので、"日本の学生よ、もう少し頑張れ…"と思ってしまうことも。
自分も学生時代はこんな感じだったのかもしれませんが…😅春休みを利用して留学する意欲は素晴らしいです。
授業では看護師向けのテキストを使用していました。
医療単語を使って一文を作る単語の試験が毎週あったり、英作文の宿題があったりとそれなりに充実していました。
コロナによりオンライン授業に切り替わると日本の春休みも終わり、生徒は13人→4人に減りました。
コロンビア人の歯科医2人と日本人の看護師1人と私というメンバー。
コロンビア人2人の会話力が強くて、負けないように必死でした。(笑) 正直、ここからこのコース(というかメンバー?)がより面白くなってきました。
まず、医療英語はラテン語ルーツの言語話者(スペイン語、ポルトガル語、フランス語など)にとっては有利です。多くの単語が似通っているので、勉強していなくても何となく何の事か分かるそうです。
日本人にとって医療英語は勉強しないとどうにもなりません。その点、日本で医療単語を勉強していた私は南米の生徒たちと同じ土俵に立てている感がありました。
留学中は何かと忙しいので医療単語の勉強を一から始めている時間はありません。単語の勉強は日本でもできるので、是非日本でやることをおすすめします。
私の日本人の友人(現地で知り合った薬剤師)も対面授業に戻った後コースに参加しましたが、当時のメンバーがブラジル人の医学部生、コロンビア人の歯科医と看護師、私というメンバーで先生も授業のレベルをかなり上げていたので、ついて行けず辛いと話していました…。(コロナ前の環境なら彼女も全く問題無かったと思います)
その医療英語コースを教えてくれていた先生は現在オーストラリアを離れてラオス🇱🇦で英語教師をやっているようです。
ですが、「International House Sydney」の学校HPにはまだ医療英語コース(English for health professional)があるようなので、興味がある方は問い合わせてみてください。
④OETについて
OETとは「Occupational English Test」の略で、医療従事者のための英語力検定試験です。
例えばオーストラリアで薬剤師の免許を取ろうと思えば、OETに合格→オーストラリアの薬剤師国家試験に合格→1年間の薬局でのトレーニング→最終試験に合格するとようやく日本の薬剤師免許を元にオーストラリアの免許を取得できるそうです。
長い道のりですが、本気で移住を考える医療従事者たちが必死で取り組む過程です。
OETの面白いところは、Readingと Listeningは全職種共通の内容ですが、SpeakingとWritingはそれぞれの職種によって違います。
例えば薬剤師なら、薬剤師としての患者対応のロールプレイがSpeakingの試験となります。
Writingのお題も薬剤師として、患者宛てに薬の説明をする手紙を書いたり、医師宛てに薬の変更の提案をしたり…というように自分の臨床経験と知識を活かせるところがポイントです。
私は仕事内で使える適切な英語表現を学びたかったので、この試験対策は為になることが多かったです。
Writingで患者や他のコメディカルに対して書く手紙は普通のformal文(丁寧文)で良いのですが、医師に対して提案する手紙を書く時はextremely formal(極めて丁寧な文)で書くということを学び、「あーオーストラリアの薬剤師も疑義紹介のときすごく気を遣うんだなぁ😂」と親近感を感じたりもしました。(笑)
ReadingとListeningはかなりAdvancedレベルであり、対策に苦しみました。
特にListeningはスピードが速く、発音もオーストラリアのアクセントだったり、ウェールズのアクセントだったり様々です。
患者と医師の会話のポイントを書き取る問題が最初にあり、そこである程度の点数を稼がないといけないのですが、それも難関でした。
TAFEの授業では多くの過去問を提示してもらえるので満足していましたが、3/4がオンラインだったのが残念でした。(なぜかListeningだけが対面授業という謎。speakingを対面にして欲しかった…。先生達の都合でしょうね。)
おそらく現在は全て対面授業に戻っていると思います。
⑤OETを受験してみた話
OET対策コース終了後、学生VISAの期限があと1ヶ月と少しに迫っていました。
OET試験は一回AUD$587(55,000円)という超高額なので、使う予定が無ければ受ける必要は無い上に、受かる気が全くしなかったのですが、受験しないとこれまでの勉強が無駄になる気がして、受けてみることにしました。
ところが、コロナの影響で申し込んでいた試験がその1ヶ月後に延期になってしまいました。迷った挙句、4万円ほど支払ってビジターVISAを取得し滞在を延期しました。(すごい出費…🤦♀️)
当時短期のアルバイトもしていたので、試験対策の時間が延びたことによって余裕が生まれたことはある意味良かったです。
同じ時期に受験予定だった日本人の看護師さん2人と図書館でspeakingの練習をしたりしました。
speakingは一人で対策しづらいので、相手役になってくれる人、フィードバックし合える人がいると助かります。
直前まで必死で対策し、受験し終わった後は謎の清々しさを感じました。(笑) 全く受かった気はしませんでしたが、やり切った感だけはありました。
日本に帰国後、結果がメールで送られて来ました。
なんとListening以外の3科目は合格…。Listeningもあと少しの点数だったので、自分が思っていたよりも良い成績でした。
半年以内に再度受験し、1回目に不合格だった科目が合格していれば2回分の結果を組み合わせて4科目合格とできるルールがあることを知っていたので(全ての職種に当てはまらない可能性あり)、日本で2度目の受験をしようと決意しました。
日本では大阪会場のみですが、月に2回(月後半は医師と看護師のみ)試験があることは知っていました。
公式HPで確認すると、当時2021年2月末でしたが、なんと8月まで全て定員オーバーになっていたのです…!!
日本では大して認知されていない試験だと思っていたのでこれはおかしいぞ?と思い、大阪会場に問い合わせてみました。
すると、コロナの影響で医師が米国の試験を受けられなくなり、代わりの試験としてOETが認められることになったので医師の申し込みが殺到しているとの事実が発覚しました…。
一回5万円以上する試験(しかも大阪在住じゃなければ旅費もかかる)を立て続けに申し込むなんて、医師にしかできないよなぁ…と納得しました。
ダメ元でオーストラリアのOETサービスセンターにメールで問い合わせをし、事情を説明しました。できるだけ直近でなんとか1枠空けてもらえないか?と散々メールでやり取りをした挙句、7月なら1枠空けてもらえるとのこと。
正直7月までにはフランスに渡航している予定だったのと、それまで英語力をキープできるか自信がなかったのですが、せっかく融通していただいたので7月の試験を受けることにしました。
結果はまたしてもListening不合格…。全ての科目が一回目と同じような点数でした。
日本で英語力をキープできていたものの、それ以上の成長はありませんでした。
OETは合格しても2年間しか有効では無いこと、今のところ使用する予定も無いので、一旦諦めました。
それが私のパッとしないOETの試験結果です🥲
オーストラリアからの帰国後、約半年間は調剤薬局で派遣薬剤師として働いていましたが、何度か外国人患者さんの対応をする機会があり、勉強してきたことを活かすことができました。
現在は南フランスで仕事をできていませんが、帰国後は英語を活かしたキャリア構築をしたい…と考えています。語学の勉強はいつまでも続きます。
長い文章、最後まで読んでくださってありがとうございました。
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