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里山の宝を届ける〜日本みつ蜂レモン石けんとはちみつの販売〜

空気が澄み、工房から見える山々が美しく秋色に染まる今日この頃。
「日本百景」にも選ばれている勝山の神庭の滝(かんばのたき)の紅葉も見頃を迎えています。

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今回のnoteでは、冬季限定で発売スタートした「日本みつ蜂レモン石けん」とその石けんの原材料としても使用している「奥吉備の里 日本みつ蜂のはちみつ」について書いていきたいと思います。

冬季限定「日本みつ蜂レモン石けん」と「奥吉備の里 日本みつ蜂のはちみつ」が販売スタート

少し前までの工房は、切り分けて乾燥中の「日本みつ蜂レモン石けん」の爽やかで甘い香りに満たされていました。

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真庭市北房地域の日本みつ蜂のはちみつを使用した、「冬季限定・日本みつ蜂レモン石けん」と「奥吉備の里日本みつ蜂のはちみつ」を今月より販売開始以来、お陰様で多くのご注文をいただいています。

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昨年も大人気だった日本みつ蜂レモン石けんはミルクティのような落ち着きのあるやさしい色合い。
はちみつで色づけした石けん生地の上に、カレンデュラの花を散らした白い層を流し込み、見た目からも心が明るく元気になる石けんです。

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はちみつとレモンは誰しもが大好きな香り。
石けんを使うときめ細やかな泡立ちと、瑞々しく爽やかなレモンと甘いはちみつの香りふわっと立ちのぼります。
たっぷりの泡に包まれた後にお湯で洗い流すと、お肌がなめらかでつるつるした手触りで、ふっくらやわらかくなるのは、良質なはちみつをたっぷり使用しているからこそ。

はちみつは古来よりビタミン類やミネラルをはじめ、アミノ酸や酵素といった栄養素を豊富に含む「薬」として使われてきました。
古代ギリシャの医学者ヒポクラテスも、はちみつが備えている強力な殺菌効果および消炎、保湿、創傷治癒効果よりはちみつを用いた多くの治療法を考案していたそうです。

そんな栄養豊富なはちみつならではのしっとりとした使用感と瑞々しく深呼吸したくなる心落ち着く香りに、購入後もすぐにリピートしてくださるお客様がいるほどMATSURIKAの人気商品です。
商品ページはこちら☆

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石けんにも使用している蜂ファーム中嶋さんの日本みつ蜂の非加熱はちみつも石けんと同時販売スタートしました。

西洋みつばちのハチミツは「アカシア」や「れんげ」などひとつの花から集める習性があるので単花蜜と言われるの対し、日本みつ蜂は多種多様な花から集める習性があり「百花蜜」と呼ばれています。

いわば百花蜜は日本みつ蜂がその土地の花々の蜜から作るカクテルなのです。
その複雑な味わいが特徴で、花の香りと柑橘の果実のようなフルーティーさ、奥深い甘みとコクがあり喉にひっかかるえぐみがない後味がきれいな美味しさ。
数々の日本みつ蜂のはちみつを今まで食べてこられたお客様でも
「こんなはちみつ初めて!」
「他のが食べられなくなるほど美味しい」と多くのお声をいただいています。

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※はちみつの商品ページはこちら→☆
※以前書いた「奥吉備の里 日本みつ蜂のはちみつ」についてのnoteはこちら↓

日本みつ蜂の採蜜見学に奥吉備の里・北房へ

そんなMATSURIKAにとって大切なはちみつ。
その採蜜現場を見学するために、この秋スタッフ達と一緒に蜂ファーム中嶋さんの蜂場へ行ってきました。
工房から車で40分ほど南下すると、国内有数のホタルの生息地として知られ環境省の「ふるさといきものの里百選」にも選ばれている北房地域。
その昔、岡山県は「吉備の国」で、その北部に位置する北房は「奥吉備」と呼ばれ、今も数多くの古墳が残っています。
訪れた時はちょうどコスモスのシーズンでした。

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花畑に巣箱が置いてある風景をイメージしていた私達は蜂場までの険しい山道にびっくり。
中嶋さんは軽快な足取りで登りながら、
『西洋みつ蜂は「草原の蜂」、日本みつ蜂は「密林の蜂」』なのだと、教えてくれました。

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中嶋さんによると、日本みつ蜂は「山蜜」と呼ばれる山に生える木々の花の蜜が大好きだそうです。
そして日本みつ蜂は夏の暑い日差しやスズメバチなどの外敵から身を守るために山の木の洞に巣を作る習性があるそうです。
人の管理のしやすさよりも、日本みつ蜂が好む山の中に巣箱を設置してあげるところが中嶋さんの蜂への愛を感じます。

蜂たちは、中嶋さんが「これから蜜をいただくよ〜」とコンコンと巣箱をノックするだけで、蜜がとりやすいようにザーッと下部に移動してくれます。
日本みつ蜂は賢くおだやか性格なので、蜂をおとなしくさせるくん煙機などは使いません。

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蜂たちが冬を越すための蜜は残して、重箱式の上部の箱のみを切り取ります。
切り取った断面には黄金色に輝く蜜がぎっしり詰まっています。

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在来種の日本みつ蜂は、養蜂が難しく採蜜量も西洋みつ蜂の1/5〜1/10と言われており、国内に流通しているはちみつの0.1%程度と言われるほど希少なものです。
はちみつは自然とミツバチ達からの「お裾分け」なのです。

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上部を切り取った重箱式の巣箱には、はちみつが詰まっているので4〜5kgの重さ、横箱式のものは20kgもあるとか。
重たい巣箱を抱えて山を下りるのも大変な重労働です。

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ミツロウでできた巣は透きとおるように薄くとても繊細で、手の中でほろほろと崩れるやわらかさは作業をさせてもらった私達も驚くほど。

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やさしく手で砕いて二重ガーゼで丁寧に濾していきます。

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むやみに機械で圧搾したり、搾ったりすると味に雑味が出るそうで、非効率でも自然にろ過されていく「垂れ蜜」が一番とのことです。

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国内に出まわっている99%以上のはちみつが加熱したはちみつと言われています。
加熱すれば蜜はサラサラになりろ過も瓶詰めも扱いが容易になるからです。

一方、中嶋さんは風味と栄養素を壊さないために、非加熱のまま作業していきますが、非加熱はちみつは低温で固まりやすいので、ろ過するのも瓶詰めも加熱はちみつの何倍もの手間と時間がかかります。

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中嶋さんの気の遠くなるような作業の積み重ねを間近で見たスタッフ達から、
「こんなに手間暇かかるなんて」
「これはがんばって売らないと!」
なんて言葉を聞くと、製造予定も目白押しだったけれど頑張って皆を連れて行って本当に良かったと思うのです。

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中嶋さんの丁寧なお仕事に触れて、私たちもこの貴重なはちみつを大切に使い、心を込めて美しい石けんにしていこうと背筋が伸びる思いです。

自然のままだからこその不均一


昨年から日本みつ蜂レモン石けんを作っていて興味深いのは、はちみつに含まれる糖分やアミノ酸が作用し、気温が上がるとメイラード反応という褐色現象が起こることが分かってきました。

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右がメイラード反応が起きて、上部が薄いピンク色になっているのが見てとれます。

よく味噌や酒かすが時間の経過と共に褐色に色が変化していくのと同じで、石けんに入れたはちみつの影響で、気温の高くなると特に出やすくなります。

自然のままのはちみつを使い、保存料もその他の着色料も入れていないから起きる現象で、使用には問題ないのですが、個体差があることをご理解いただけましたら幸いです。
希少な日本みつ蜂のはちみつを使い、気温が高くなると褐色になりやすくなるので冬季限定の石けんなのです。

そしてはちみつも、自然のままなので、均一ではありません。
採集する巣箱の場所によって咲く花も違うので微妙に味や香りが違います。
もともと加熱はちみつより非加熱はちみつの方が低温で結晶化しやすいのですが、木々の花の蜜が多いと固まりにくく、草花の蜜が多いと結晶化しやすいと言われています。

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この写真のはちみつはどちらも同じ巣箱から採れた蜜ですが、気温の下がりやすい場所に置いておいた左の瓶は、結晶化して見た目もぜんぜん違います。

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結晶化した蜜もとても美味しいですが、45℃以下のお湯でゆっくり瓶ごと湯煎すれば、右のようなきれいな状態に戻ります。

そして、非加熱だからこそ酵素が生きており、瓶によってはこのように泡立っているものもあります。

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中嶋さんは、「白く固まっていると、店頭ではお客さんは買ってくれないんじゃ」と残念そうに言っていました。

私たちが持つはちみつのイメージは透きとおったきれいな黄金色ですが、見た目や扱いやすさのために加熱されてしまうのは、はちみつの味や栄養素など本来の良さが損なわれてしまうので本当に勿体ないことです。※過去note参照↓

工業製品ではなく、自然のままの生きているはちみつだからこその不均一を、消費者の私たちがまずは知り、受け入れることが大事だと思うのです。

自分が心底いいと思える仕事ができる幸せ


先日、たくさんのはちみつと日本みつ蜂レモン石けんの発送作業を終えた時に、ふと工房の窓から外を見たら大きな虹がかかっていました。
しかも発売直後にたくさん発送を行った二日連続で見えたのです!

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社名のMATSURIKAの由来は花のジャスミンの名前が語源で現地の言葉で「神からの贈りもの」という意味。
そう私たちは、神様からの贈りものようなこの地の宝を皆さんにお届けする仕事をしているんだと、嬉しくなりました。

大量生産はできないけれど、この素晴らしいはちみつを作る在来種の蜂たちが元気でいられる自然豊かな里山を残したい。

MATSURIKAでは、このはちみつの収益の一部を日本みつ蜂を守る環境保全のために、蜂ファームの中嶋さんに還元しています。
私たちにできるのはハチドリのひとしずくのような小さな小さなことですが、美しい虹からエールを受け取ったような気がするのです。

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起業して日々大変なことばかりだけれど、「本当は良くないんだけど・・」と自分の信念を曲げながらの商品づくりはひとつもない。

秋雨後の澄みわたった空のように心はどこまでも自由で晴れやか。
自分が心底いいと思える、生産者さんの心のこもった宝物を皆さんにお届けできることを、本当に幸せだと思う今日この頃です。



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