松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質
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苦手意識がある人も、この機会に、食品に由来する有害物質 を一緒に完全攻略しよう!
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第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
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滝沢 幸穂
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問98-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質
こんにちは!薬学生の皆さん。BLNtです。
解説します。
薬剤師国家試験の衛生から食品に由来する有害物質を論点とした問題です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
第98回薬剤師国家試験の問123(問98-123)では、食品に由来するニトロソアミン、サイカシン、ベンゾ〔a〕ピレン、Glu-P-1、アクリルアミドという異なる5つの発がん物質に関する記述の正誤を問われました。
問98-123を解説します。
※画像はタップすると拡大できます。
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苦手意識がある人も、この機会に、食品に由来する有害物質を一緒に完全攻略しよう!
問98-123は、選択肢ごとにテーマ(ニトロソアミン、サイカシン、ベンゾ〔a〕ピレン、Glu-P-1、アクリルアミド)が異なるので、別々に解説します。
学習を始める前に、簡単に復習しておきましょう。
|
目次|
選択肢1.
論点:ニトロソアミン
テーマ1. ニトロソアミンの生成|
テーマ2. ニトロソアミンの発がん性|
テーマ 3. 硝酸および亜硝酸の安全性評価|
選択肢2.
論点:サイカシン
選択肢3.
論点:多環芳香族炭化水素 ベンゾ〔a〕ピレン
選択肢4.
論点:Glu-P-1
選択肢5.
論点:アクリルアミド
YouTube|
※論点解説動画で予習・復習ができます。
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質/第98回-問123(1)
|薬剤師国家試験対策ノート
https://youtu.be/r8XADEBiChs
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質/第98回-問123(2)
|薬剤師国家試験対策ノート
https://youtu.be/PCGA8kqIiaE
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質/第98回-問123(3)
|薬剤師国家試験対策ノート
https://youtu.be/2K9P6ROqRK4
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質/第98回-問123(4)
|薬剤師国家試験対策ノート
https://youtu.be/PsWTBerYLVw
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質/第98回-問123(5)
|薬剤師国家試験対策ノート
https://youtu.be/oSZdKSd81qg
走る!「衛生」Twitter Ver. 食品由来の有害物質/第98回-問123(6)
|薬剤師国家試験対策ノート
https://youtu.be/HENScnO1Lx8
YouTube 再生リスト|
第98回薬剤師国家試験
https://www.youtube.com/playlist?list=PLuPATLvMiAKrTtTMMMtVzeRjL8ZeBxS1i
再生リスト|
走る!「衛生」論点:食品の安全
https://www.youtube.com/playlist?list=PLuPATLvMiAKoSLWUOGE9UbcBILRvlGJ7u
論点解説|
選択肢1. 論点:ニトロソアミン
Q1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。A.【正|誤】|
テーマ1. ニトロソアミンの生成|
最新の詳細な情報として、J-Stageの科学文献(J-Stage|河合, ニトロソアミンの生成と代謝活性化について, 生活衛生, 22, 49-52 (1978) https://doi.org/10.11468/seikatsueisei1957.22.49 )を参考資料として解説します。
上記資料によれば、ニトロソアミンは、動物実験において発がん性が認められている物質であり、生体内で亜硝酸塩とアミン類との反応によって生成される可能性が指摘されています。
ニトロソアミンは、図1に示した構造式で表されます。
RおよびR'ともにメチル基を有するジメチルニトロソアミン、また、エチルまたはプロピル基を有するジアルキルニトロソアミンは、肝臓、腎臓、肺、消化器官等で実験的に発がんが確認されました。
図1に示したように、ニトロソアミンは、酸性条件下において亜硝酸塩と二級アミンが反応することによって生成されます。
亜硝酸は、dinitrogen trioxideとなって活性化され、そのニトロ基がアミンの窒素と反応し、ニトロソアミンを生成します。
この反応は酸性条件下で促進されることから、酸性である胃液内でニトロソアミン生成が起こりうると考えられます。
アミンのニトロ化を促進する物質にはハロ化合物およびチオシアネートがあり、一方で、食品中のアスコルビン酸、没食子酸、システインは、ニトロ化反応を抑制する物質です。
反応速度論的な視点からは、ニトロソアミン生成は2分子の亜硝酸塩と1分子のアミンとの反応であり、亜硝酸塩の濃度に対して2次反応であるため、亜硝酸の濃度が十分低ければ、ニトロソアミン生成を著しく抑えることができます。
YouTube|
https://youtu.be/PCGA8kqIiaE
図1 ニトロソアミンの生成 抜粋
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より
出典:J-Stage|河合, ニトロソアミンの生成と代謝活性化について, 生活衛生, 22, 49-52 (1978) https://doi.org/10.11468/seikatsueisei1957.22.49 図2
一方、唾液中や消化管のマイクロフローラ(細菌叢)によって、硝酸塩が還元され亜硝酸塩になることが報告され、硝酸塩および食品添加物である亜硝酸塩の、それぞれを合算した食品摂取量におけるリスク評価が必要であるとされました。
なお、加工食品中でも高温によるニトロソアミン生成が起こる例として、ベーコンにおけるプロリンと添加物としての亜硝酸塩との反応からニトロプロリンが生成され、脱カルボニル反応によってニトロソピリジンを生成する過程が報告されています。この反応の至適温度は200℃です。
テーマ2. ニトロソアミンの発がん性|
ニトロソアミンが発がん性を示すためには、代謝的活性化が必要であるとの報告があります(上記、参考資料参照)。
生体内ではアルキルニトロソアミンは水酸化と脱N-アルキル化を伴って活性アルキル基 (CH3+|カルボニウムイオン)を生成します。このように、ニトロソアミンはそれ自体は発がん性を示しませんが、NADPHおよび酵素の存在下で肝ミクロソーム系によって活性化されることによって、反応性に富んだ electrophilic reactant (求電子物質)であるカルボニウムイオン(CH3+)として ultimate carcinogen (究極がん原物質)となり、細胞内の核酸およびタンパク質の nucleophilic site (求核基)と反応します。
テーマ 3. 硝酸および亜硝酸の安全性評価|
最新の詳細な情報として、食品安全委員会 https://www.fsc.go.jp/ |「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&A Q III-20 https://www.fsc.go.jp/dial/dialqa20170608.html#a320 を参考資料として解説します。
上記、食品安全委員会|「食の安全ダイヤル」に寄せられた質問等Q&Aによれば、国際がん研究機関 (IARC)は、人の体内でニトロソ基(-NO)が物質に付加される条件下では、硝酸塩、亜硝酸塩ともに「人に対しておそらく発がん性がある」と評価しています。
国際がん研究機関 (IARC)
硝酸塩、亜硝酸塩|
人に対しておそらく発がん性がある
野菜に含まれる硝酸塩は、ヒトの体内で消化管内に常在している微生物によって還元されて亜硝酸塩に変化する可能性があり、メトヘモグロビン血症や発がん物質のニトロソ化合物(ニトロソ基-NOをもつ有機化合物)生成に関与するおそれがあると一部で指摘されていますが、国際連合食糧農業機関(FAO) /世界保健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA) は、「硝酸塩の主要な摂取源が野菜であることはわかっているが、野菜が人にとって有用だということもよく知られており、野菜中の硝酸塩がどの程度血液に取り込まれているのかというデータが得られていないことから、野菜中の硝酸塩について基準値を設けるのは適当でない」との見解を示しています。
我が国でも硝酸塩は、元々野菜に含まれている天然の硝酸塩に起因するものがほとんどであり、添加物に由来するものはごくわずかであることが、厚生労働省の調査で確認されています。
天然由来の食品に含まれる硝酸塩について、日本において基準値の設定はありません。
野菜中の硝酸塩について国内における健康被害は報告されていないとのことです。
一方、亜硝酸ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果とボツリヌス菌の繁殖抑制効果を有し、食肉製品の腐敗を防止する効果のある食品添加物としての成分規格・使用基準(対象食品、最大限度量)が食品衛生法で定められています。
以上引用。
その2につづく。。。
ポイント|
【A】と【B】からの【C】の生成は、pHが【D】で最も起こりやすい。
【C】自体は【E】を示さない。
【F】の存在下で【G】によって活性化されることで、細胞内の核酸およびタンパク質の【H】との反応性に富んだ【I】である【J】として【K】となる。
【L】は、人の体内でニトロソ基(-NO)が物質に付加される条件下で、硝酸塩、亜硝酸塩ともに「人に対して【M】」と評価した。
【A】ナトリウムは、安定した食肉の色を保持する効果とボツリヌス菌の繁殖抑制効果を有し、食肉製品の【N】効果を有する添加物(【O】)として使用するための成分規格や使用基準(【P】)が【Q】で定められている。
_____
A. 亜硝酸
B. 二級アミン
C. ニトロソアミン
D. 酸性側
E. 発がん性
F. NADPHおよび酵素
G. 肝ミクロソーム系
H. nucleophilic site(求核基)
I. electrophilic reactant(求電子物質)
J. カルボニウムイオン(CH3+)
K. ultimate carcinogen(究極がん原物質)
L. 国際がん研究機関(IARC)
M. おそらく発がん性がある
N. 腐敗防止
O. 食品添加物
P. 対象食品、最大限度量
Q. 食品衛生法
_____
では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
選択肢2. 論点:サイカシン
Q2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。A.【正|誤】|
最新の詳細な情報として、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構のコンテンツ(農研機構|写真で見る家畜の有毒植物と中毒 > 目次 http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/contents.html )から「ソテツ」を参考資料として解説します。
出典:農研機構|写真で見る家畜の有毒植物と中毒 > 目次 > ソテツ
http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/cycas.html
上記資料によれば、ソテツの種子・幹は、多量のでんぷんを含むため、食用とされてきましたが、有毒物質による食中毒がしばしば発生しました。
ソテツ由来の有毒物質は、サイカシン(Cycasin)であり、消化管微生物のβ-D-グルコシダーゼによってaglyconの methylazoxymethanol に代謝されて、その後、容易にホルムアルデヒド(formaldehyde)へと分解され、中毒を起こします。
なお、ホルムアルデヒドは、国際がん研究機関(IARC)の評価では グループ1(ヒト発がん性がある物質)に分類されています(参考資料:厚生労働省 職場のあんぜんサイト|安全データシート/ホルムアルデヒド https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0069.html )。
methylazoxymethanol は、発がん性を有します。
分解によって、ホルムアルデヒド(formaldehyde)とジアゾメタン(diazomethane)が発生しますが、ジアゾメタンもまた発がん性を有します。
出典:Wikipedia|ジアゾメタン
一方、ソテツ科植物の非タンパク性アミノ酸である β-N-methylamino-L-alanine は神経毒性を有し、人での神経障害との関連が指摘されました。
富士フィルム和光純薬株式会社の試薬に関するホームページ( https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/index.html )のコンテンツによれば、ジアゾメタンはカルボン酸やフェノールの O-メチル化剤として使用され、反応は迅速に完結します。しかしながら、ジアゾメタンは、高い爆発性および発がん性を持つため、ハンドリングが困難な試薬の一つです。
ジアゾメタンによるカルボン酸のメチル化は求電子付加反応に分類され、生体では、ジアゾメタンを介したアルキル化作用は、DNAの障害を引き起こします。
参考資料|
Chem-station|diazomethane
ジアゾメタンによるカルボン酸選択的メチル化
https://www.chem-station.com/odos/2010/08/-diazomethane.html
YouTube|
https://youtu.be/2K9P6ROqRK4
図2 ソテツの有毒物質サイカシン 抜粋
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:農研機構|写真で見る家畜の有毒植物と中毒 > 目次
サイカシン
http://www.naro.affrc.go.jp/org/niah/disease_poisoning/plants/cycas.html
その他、化合物の構造式等の出典:ジアゾメタン
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%BE%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3
Chem-station|diazomethane ジアゾメタンによるカルボン酸選択的メチル化 https://www.chem-station.com/odos/2010/08/-diazomethane.html
その3につづく。。。
ポイント|
【A】は、多量のでんぷん含むため、食用とされてきたが、有毒物質である【B】は、消化管微生物の【C】によってaglyconの【D】に代謝され、その後、容易に【E】へと分解され、中毒を起こす。【D】には【F】があり、その分解によって生成する【E】および【G】も【F】を有する。
【G】はカルボン酸・フェノールの【H】として使用され、【G】による【I】は【J】に分類される。【G】のアルキル化作用は生体では【K】の障害を引き起こす。
一方、ソテツ科植物の非タンパク性アミノ酸である【L】は【M】を有し、人での【N】との関連が指摘された。
_____
A. ソテツの種子・幹
B. サイカシン(Cycasin)
C. β-D-グルコシダーゼ
D. methylazoxymethanol
E. formaldehyde
F. 発がん性
G. diazomethane
H. O-メチル化剤
I. カルボン酸のメチル化
J. 求電子付加反応
K. DNA
L. β-N-methylamino-L-alanine
M. 神経毒性
N. 神経障害
_____
では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
_____
選択肢3. 論点:多環芳香族炭化水素 ベンゾ〔a〕ピレン
Q3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。A.【正|誤】|
最新の詳細な情報として、食品安全委員会のファクトシート>食品に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)[PDF](平成24年6月14日作成) https://www.fsc.go.jp/factsheets/ を参考資料として解説します。
上記資料によれば、食品に含まれる多環芳香族炭化水素 (PAHs:Polycyclic Aromatic Hydrocarbons)とは、縮合芳香環(炭素と水素原子から成る)を2つ以上含む有機化合物で、有機物質の不完全燃焼または熱分解、各種の工業過程で生成されます。
また、PAHsは火山活動、山火事、化石燃料の燃焼によって生成します。
食品に多く含まれるPAHsとしては、ベンゾ〔a〕ピレン (benzo[a]pyrene) を含む30種類程度の化合物が明らかとなっています。
PAHsは食品を焼く調理の過程や乾燥・加熱の製造過程で生成され、肉・魚介類の燻製、食品と炎が接触する調理(直火・網焼き)、植物油、穀物製品などに多く含まれます。
ヒトへのPAHs暴露経路は、喫煙者では喫煙が主な経路です。
他方、非喫煙者では食品摂取が主な経路です。
国際がん研究機関(IARC)は、PAHsの多くに発がん性あるいは遺伝毒性があること、並びに、ヒトに対する発がん性が疑われることを報告しています。
ベンゾ〔a〕ピレン (benzo[a]pyrene) は、国際がん研究機関(IARC)の評価でグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されました(2012年)。
なお、日本では、食品中PAHsの基準値は設定されていません。
次に、環境省|化学物質の環境リスク評価 第5巻[22]ベンゾ〔a〕ピレン https://www.env.go.jp/chemi/report/h18-12/ を参考資料として、ベンゾ〔a〕ピレンの代謝を解説します。
上記資料によれば、ベンゾ〔a〕ピレンの代謝物のうち、ジオールエポキシ体のBPDE(7,8-dihydro-7,8-dihydroxy benzo[a]pyrene 9,10-oxide)の反応性が最も高く、究極発がん物質とされています。
ジオールエポキシ体は遺伝子レベルでヒト肺がんとの直接的な因果関係を示す結果が報告されています。
エポキシ体またはジオールエポキシ体はグルタチオン抱合を受けます。
詳しくは、ベンゾ〔a〕ピレンの代謝はチトクロームP-450(CYP1A1)を介して始まり、1,2-、2,3-、4,5-、7,8-、9,10位が酸化されてエポキシ体、6-位が水酸化されてフェノール体となります。
フェノール体はキノン体、ヒドロキノン体へと代謝されて活性酸素を放出し、さらにグルクロン酸抱合・硫酸抱合を受けます。エポキシ体はジオール体またはジオールエポキシ体、フェノール体、トリオール体などに代謝され、ジオールエポキシ体はさらにテトロール体に代謝され、ジオール体やフェノール体ではグルクロン酸抱合または硫酸抱合、エポキシ体またはジオールエポキシ体ではグルタチオン抱合を受けます。
YouTube|
https://youtu.be/PsWTBerYLVw
図3 多環芳香族炭化水素 / ベンゾ〔a〕ピレン 抜粋
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より 出典:食品安全委員会のファクトシート>食品に含まれる多環芳香族炭化水素(PAHs)[PDF](平成24年6月14日作成) https://www.fsc.go.jp/factsheets/ 、環境省|化学物質の環境リスク評価 第5巻 https://www.env.go.jp/chemi/report/h18-12/ [22]ベンゾ〔a〕ピレン
その4につづく。。。
ポイント|
【A】などの【B】 (【C】)は、食品を焼く、乾燥・加熱する過程で生成され、肉・魚介類のくん製、直火焼の肉、植物油、穀物製品などに含まれる。【A】は、IARCによる評価でグループ1(ヒトに対して【D】)に分類され、その他の【C】の多くにも発がん性が認められる。【A】の代謝物のうち、【E】のBPDE(【F】)の反応性が最も高く、【G】とされている。【A】の代謝は【H】を介して始まり、BPDEは【I】を受ける。
_____
A. ベンゾ〔a〕ピレン
B. 多環芳香族炭化水素
C. PAHs,
D. 発がん性がある
E. ジオールエポキシ体
F. 7,8-dihydro-7,8-dihydroxy benzo[a]pyrene 9,10-oxide
G. 究極発がん物質
H. チトクロームP-450(CYP1A1)
I. グルタチオン抱合
_____
では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
_____
選択肢4. 論点:Glu-P-1
Q4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。A.【正|誤】|
最新の詳細な情報として、食品安全委員会|食品中に含まれるヘテロサイクリックアミンの安全性評価情報に関する調査報告書 https://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20100030001 を参考資料として解説します。
上記資料は、食品中に非意図的に含まれる10種類のヘテロサイクリックアミン(※発がん性が認められたもの)を調査対象とした安全性評価のためのシステマティックレビューです。
上記参考資料によれば、ヘテロサイクリックアミン(以下、HCA)は、1975年に初めて魚の焼け焦げから発見され、日常摂取の加熱食品に含まれる変異原物質群であることが見出されました。
HCA骨格を有する特徴を持ちます。
HCAは、シトクロムP450(CYP1A2)によって代謝されますが、CYP1A1、1B1および3A4もまたその代謝に関与します。
P450が関与する代謝によって生成したN-hydroxy体(R-NHOH)は、N(O)acetyl-transferase(NAT)により O-acetyl化されます。
HCAのN-acetoxy体は自動的に arylnitreniumイオン(R-NH+)に変化してDNAと反応し、グアニン塩基の8位炭素に付加します。
Glu-P-1は、L-グルタミン酸(Yamamoto et al., 1978)またはカゼイン(Yamaguti et al., 1979)の熱分解によって生成します。
Glu-P-1のIUPAC名は、2-Amino-6-methyldipyrido[1,2-α:3',2'-d]imidazoleです。
Glu-P-1に関しては、P450によって環外アミノ基が水酸化されて、N-hydroxy-Glu-P-1に代謝されたのち、NATによってO-acetyl化されN-O-acyl-Glu-P-1となってDNAと反応し、グアニン塩基の8位炭素に付加します。
以下の、J-Stageの参考文献(Hashimoto et al. Environ Health Perspect. 1985; 62: 209–214. Fig 2. Pathways of DNA modification by Trp-P-2 and Glu-P-1. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1568666/ )を確認しましょう(図4)。
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https://youtu.be/oSZdKSd81qg
解説15/20
図4 ヘテロサイクリックアミン / Trp-P-2およびGlu-P-1によるDNA付加反応経路 抜粋
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より
出典:Hashimoto et al. Environ Health Perspect. 1985; 62: 209–214. Fig 2. Pathways of DNA modification by Trp-P-2 and Glu-P-1. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1568666/
HCAは肉または魚を高温で調理したとき、濃縮されたクレアチン、クレアチニンおよびアミノ酸から生成します。
国際がん研究機関(IARC)による発がん性評価では、IQが1993年に2A(ヒトに対する発がん性がおそらくある)に分類されました。
それ以外の9種類のHCAは1987年または1993年に2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)に分類されました。
HCAのIARCによる発がん性の評価を図5に示します。
YouTube|
https://youtu.be/oSZdKSd81qg
解説16/20
図5 ヘテロサイクリックアミン / IARCによる発がん性の評価
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より
出典:食品安全委員会|食品中に含まれるヘテロサイクリックアミンの安全性評価情報に関する調査報告書 https://www.fsc.go.jp/fsciis/survey/show/cho20100030001
その5につづく。。。
ポイント|
【A】は【B】(HCA)の一つである。HCAは【C】したときに濃縮された【D】により生成され、発がん性が報告されている。HCAは【E】によって代謝され、【F】が生成、【G】はさらに【H】により【I】に代謝される。HCAの【J】は自動的に【K】に変化し、【L】と反応して【M】に付加体を生成する。
A. Glu-P-1
B. ヘテロサイクリックアミン
C. 肉・魚介類を高温調理
D. クレアチニンおよびアミノ酸
E. P450(CYP)
F. N-ヒドロキシ体
G. 水酸化アミノ基
H. N(O)acetyl-transferase(NAT)
I. O-acetyl体
J. N-acetoxy体
K. arylnitreniumイオン(R-NH+)
L. DNA
M. グアニン塩基の8位
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では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
_____
選択肢5. 論点:アクリルアミド
Q5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。A.【正|誤】|
問98-123-5は、論点「食品に由来する有害物質」のうち、アクリルアミドをテーマとした正誤問題でした。
同様のテーマの問題として、問101-123-1があります。
論点解説を読み終えたら、この過去問題(選択肢1)にチャレンジしよう。
_____
第101回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する有害物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. ポテトチップスを製造する際の加熱時に、ジャガイモに多く含まれるアスパラギンが糖と反応してアクリルアミドが生じる。
2. 魚の焼け焦げの部分に含まれるトリプトファン由来の変異原性物質は、トリプタミンである。
3. マーガリンやショートニングなどに含まれるトランス脂肪酸は発がん性を示すため、食品中含量の表示が義務づけられている。
4. 魚に含まれる2級アミンが胃の中で塩酸と反応することにより、ニトロソアミンが生じる。
5. 輸入ピーナッツと同様に、コウジ菌を用いる味噌・醤油についても、食品中のアフラトキシン濃度が重点的に検査されている
(論点:食品に由来する有害物質)
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート
問101-123【衛生】論点:食品に由来する有害物質
https://note.com/matsunoya_note/n/n5ed874b2e2aa
_____
はじめましょう。アクリルアミドについて解説します。
農林水産省HP「食品中のアクリルアミドに関する情報 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/index.html 」に、情報がわかり易く整理してありました。
詳細は、上記農林水産省HPをご参照ください。
アクリルアミド(CAS登録番号79-06-1)の化学的な情報は、PubChemのCompound Summary for CID 6579 ( https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/6579#section=Top )も参考になると思います。
農林水産省HP「食品中のアクリルアミドに関する情報」から、詳細編>食品中のアクリルアミドができる仕組み( http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/sikumi.html )を引用します。
アクリルアミド生成の主な原因|
食品原材料中のアミノ酸のうち、アスパラギンと、還元糖(果糖、ブドウ糖など)が、調理中の加熱(120℃以上)により「アミノカルボニル反応(メイラード反応)」を起こし、その過程でアクリルアミドが生成するためです。
ここで覚えておくべきことは、アミノ酸として「アスパラギン」が関与していることとその化学構造式、そして、アスパラギンとグルコースなどの還元糖が、調理中の加熱(120℃以上)によるアミノカルボニル反応(メイラード反応)の過程でアクリルアミドが生成することです。
アクリルアミドの健康影響|
農林水産省|アクリルアミドの健康影響 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.html によれば、アクリルアミドは、赤血球のヘモグロビンをはじめ、細胞骨格と関わるタンパク質や精子中のプロタミンといったタンパク質と特異的に結合します。
また、アクリルアミドの代謝物であるグリシドアミドは、DNAやヘモグロビンなどのタンパク質との結合力がアクリルアミドよりも強いと考えられています。
図6を参照して、必要な化学構造式や反応等について復習しましょう。
YouTube|
https://youtu.be/HENScnO1Lx8
図6 アクリルアミドの生成 抜粋
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より
出典:農林水産省HP「食品中のアクリルアミドに関する情報」詳細編>食品中のアクリルアミドができる仕組み
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/sikumi.html
詳細編>アクリルアミドの健康影響
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/eikyo.html
国際がん研究機関(IARC;世界保健機構(WHO)の一機関)は、アクリルアミドをグループ2A「ヒトに対しておそらく発がん性がある物質」と分類しました。
また、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)は、2005年の会合で食品中のアクリルアミドについての詳細なリスク評価を初めて行い、毒性の中でも重要なものは「遺伝毒性発がん性」であるとし、食品からのアクリルアミド摂取が、「神経の形態変化や発がんを引き起こす懸念がある」と評価、食品中のアクリルアミドを低減するための取組みを継続すべきと勧告しました。
アクリルアミドが多く含まれる食品|
アクリルアミドが多く含まれる食品は、農林水産省HP「詳細編」>アクリルアミドが含まれている食品( https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/syokuhin.html )を引用すると、ポテトチップス、フライドポテトなどのじゃがいもを揚げたスナックや、ビスケットなどの小麦を原料とする焼き菓子です。
コーヒー豆、ほうじ茶葉、煎り麦のように、高温で焙煎した食品にも多く含まれており、家庭やレストラン等で調理された食品からも検出されます。
そして、上記の他に、もやし、アスパラガス、かぼちゃなどの野菜類やリンゴなどの果実類をオーブンで加熱したものからもアクリルアミドが検出されます。
食品中のアクリルアミド含量を調査したデータは種々あります。
ここでは、上記参考資料から、第38回コーデックス委員会食品添加物汚染物質部会の報告(2006年)における食品中のアクリルアミド濃度(国際的なデータ)を示します。
図7は、上記データのアクリルアミド濃度最大値をもとに上位10位を抜粋して示したものです。食品の種類を確認しましょう。
YouTube|
https://youtu.be/HENScnO1Lx8
解説20/20
図7 食品中のアクリルアミド濃度(国際的なデータ:抜粋) 抜粋
※まとめと作図:松廼屋|論点解説(第98回薬剤師国家試験 薬学理論問題 衛生 問123)より
出典:農林水産省HP「詳細編」アクリルアミドが含まれている食品
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/syokuhin.html
以上の情報から、覚えておくべき項目は、アクリルアミドが含まれている主な食品の種類、健康影響としては、国際がん研究機関(IARC)が、アクリルアミドは上から2番目のグループ2A「ヒトに対しておそらく(probably)発がん性がある物質」としていること、およびFAO/WHO合同食品添加物専門家会議が、「低減するための取組みを継続すべき」と勧告、その再評価は継続的に行われていることなどです。
国内では、食品安全委員会HP(加熱時に生じるアクリルアミドに関連する情報 https://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.html )の評価結果など、最新情報をチェックしておくと、より理解が深まると思います。
食品安全委員会による最新の評価書「加熱時に生じるアクリルアミド(2016年4月) https://www.fsc.go.jp/osirase/acrylamide1.data/acrylamide_hyokasyo1.pdf 」によれば、アクリルアミドの発がん影響のリスクについては、ヒトにおける健康影響は明確ではないが、動物実験から求めたBMDL10と日本人の食品からのアクリルアミドの推定摂取量から算出したばく露マージンが十分ではないことから、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えないと判断し、ALARA(As Low As Reasonably Achievable)の原則に則り、引き続き合理的に達成可能な範囲で、できる限りアクリルアミドの低減に努める必要がある、とされています。
なお、日本人における食事由来のアクリルアミド摂取による非発がん影響は、一定のばく露マージンが確保されていることから極めてリスクは低いと判断されています。
完。。。
ポイント|
【A】に含まれる有害化学物質で、【B】ときに生成する【C】は、【D】(CH2=CH-CO-)と【E】(-CO-NH-)をもつ有機化合物である。原材料に含まれる【F】と【G】が、揚げる、焼く、焙るなどの【H】により【I】を起こす過程で主に生成し、 重要な健康影響は【J】であるとされ、また、【K】が懸念される。
_____
A. 加熱食品
B. ジャガイモを揚げた
C. アクリルアミド
D. アクリル基
E. アミド基
F. アスパラギン
G. 還元糖(果糖、ブドウ糖など)
H. 加熱(120℃以上)
I. アミノカルボニル反応(メイラード反応)
J. 遺伝毒性発がん性
K. 神経毒性
_____
では、問題を解いてみましょう!
すっきり、はっきりわかったら、合格です。
第98回薬剤師国家試験|薬学理論問題 / 問123
Q. 食品に由来する発がん物質に関する記述のうち、正しいのはどれか。
選択肢|
1. 亜硝酸と二級アミンからのニトロソアミンの生成は、pHが7付近で最も起こりやすい。
2. サイカシンは、体内でβ-グルコシダーゼによって代謝されたのちメチルカチオンを生じる。
3. ベンゾ〔a〕ピレンは、食品の焦げた部分などに含まれる多環芳香族炭化水素の一種である。
4. タンパク質を加熱したときに生成するGlu-P-1は、エポキシ体に代謝されて変異原性を示す。
5. ジャガイモを揚げたときなどに生成するアクリルアミドは、ヘテロサイクリックアミンの一種である。
(論点:食品に由来する有害物質)
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※このコンテンツと関連のある論点解説が matsunoya_note にあります。
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問101-123
【衛生】論点:食品に由来する有害物質
https://note.com/matsunoya_note/n/n5ed874b2e2aa
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-129
【衛生】論点:がん / 発生要因
https://note.com/matsunoya_note/n/n0519a08372f8
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問99-133
【衛生】論点:遺伝毒性試験
https://note.com/matsunoya_note/n/n6802cc3b9ccc
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-132
【衛生】論点:遺伝毒性試験
https://note.com/matsunoya_note/n/nef54ae8be834
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問101-132
【衛生】論点:代謝的活性化 / 発がん
https://note.com/matsunoya_note/n/n308a91a5bfe4
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-132
【衛生】論点:代謝 / 代謝的活性化
https://note.com/matsunoya_note/n/n8f07c0c670d5
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-131
【衛生】論点:代謝 / グルクロン酸抱合
https://note.com/matsunoya_note/n/n7ac9ae755f82
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-131
【衛生】論点:代謝 / 代謝的活性化
https://note.com/matsunoya_note/n/n85b2d1ef3173
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問100-131
【衛生】論点:代謝 / 代謝的活性化
https://note.com/matsunoya_note/n/n7003c0d0549f
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-130
【衛生】論点:代謝 / グルタチオン抱合
https://note.com/matsunoya_note/n/n2845df44200c
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-21、問97-131
【衛生】論点:代謝 / 生物学的モニタリング
https://note.com/matsunoya_note/n/nd9b91f28d803
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-130
【衛生】論点:労働安全衛生法 / 特化則
https://note.com/matsunoya_note/n/n00b2c9e494a4
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-124
【衛生】論点:人口動態 / 死亡率
https://note.com/matsunoya_note/n/nd0b1b2d6694e
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問102-128
【衛生】論点:人口動態 / 死因別の死亡率
https://note.com/matsunoya_note/n/n2afa3fff0f9f
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問100-124
【衛生】論点:人口動態 / 出生率・死亡率
https://note.com/matsunoya_note/n/n6df62e9d62bb
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問103-126
【衛生】論点:人口動態 悪性新生物
https://note.com/matsunoya_note/n/n134147c2d321
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松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問100-125
【衛生】論点:人口動態 / 平均寿命
https://note.com/matsunoya_note/n/n310b7214517b
|
松廼屋|論点解説 薬剤師国家試験対策ノート問97-17
【衛生】論点:人口動態 / 死亡率・死因
https://note.com/matsunoya_note/n/n394fc1e79db5
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