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自分から近づいてますか? ブルージャイアントは人生の教科書

素晴らしいマンガは人生の教科書になる、
常々、ボクは思ってます。

石塚 真さんの「ブルージャイアント」も、そんなマンガです。
石塚さんは、小栗 旬さん主演で映画化した『岳(がく)』という
登山マンガを描いた方です。

題材は登山から一転、音楽、
それもドマイナーなジャンル『JAZZ(ジャズ)』です。
マンガで音楽を描く、これは至難の業です。
だって、紙から音は聞こえませんから。

でも不思議なんです。
『ブルージャイアント』からは、音が聞こえてくるんです。
ジャズことはよくわからんけど、きっとこんな音が鳴っている。
そんなシーンがいくつも出てきます。

僕らは紙の上で起こる奇跡を、何度も目撃することになります。

地味だけど心に刺さったシーン

それは、テナーサックスを吹く、主人公の宮本 大(だい)
ドイツに渡ったばかりの時の話です。

大はどこかのお店で演奏したいと考えていました。
ヨーロッパのジャズは、どんな感じなのか、どんなレベルなのか、
期待と不安の中、思い切ってbarの扉を開けます。

そこで待っていたのは、盛り上がっていない演奏と冷めた観客、不愛想な店主でした。
大は慣れない英語で言います。

「I want to play  This jazz bar」(このジャズバーで演奏したいんです)

すると店主は冷たく答えます。
「No  You can NOT play hera」(ダメだ、ここで演奏できない)

それでも大は食らいつきます。
「I can play tenor sax Please…」(テナーサックスが吹けます、どうか)

店主は突っぱねます
「Are you famous in JAPAN?」(君は日本では有名なプレイヤーか?)

諦めない大
「I play now  You test me」(いま吹きます。試してください)

しかし、とどめの一言。
「We don't need you」(君は必要ない)

取りつく島がないとは、このことです。
さすがの大も諦め、お代を払い、出口の扉の手をかけます。
しかし、心の中でこうつぶやくんです。

「近づかねえと・・・」
「オレからドイツに、近づかねえと」

扉にかけた手を下ろし、店主の方を振り返って、こういうんです。

「ダンケシェン」(ありがとう)

単身ドイツに渡って、頼れる人はゼロ。
思い切って入ったbarでは、演奏するチャンスすら与えられず。

それでも、そこで腐らず、ありがとう。
これは店主だけに言ったのではありません。

ドイツに言ったのです。
後ずさりしそうになる気持ちを奮い立たせ
振り返って笑顔で。


避けてばかりじゃ何も始まらない

一歩でも前へ。

そんな当たり前のことを教えてくれるマンガです。

石塚 真さんを通してみる世界は、時に残酷で、胸を締め付けられます。

それでも、奥底にあるのは“人間賛歌”です。

人生の大事なことが詰まってます。

これはそんなマンガです。

魂のマンガです。


やがて紙から音が聞こえてきます。

宮本 大の魂のフレーズが、あなたの心を射抜く。



※サムネの画像は、前にツィッターのプレゼント企画で運よく当たった
 石塚さんのサイン入り複製原画です。
 このシーンもすごく好き、僕の大切な宝物です。





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