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そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編その5:後編]

🔲それぞれの大学院の未来・・・

こんにちは、まっつんです。
大学院で、修士号を取得する意味はあるのか?なんてことについて徒然なるままに書いてきました。特に社会人大学院はコスパもタイパも悪いのに、なぜか最近、倍率も高く、人気があります。
確かに学部と比べて、院生の募集人数は少ないことから、少し応募者が増えただけでも高倍率になるということはあります。
でも、本当にそれだけなのでしょうか?
その4:前編「なんとなくアカデミック」で書いたように、イノベーションが起きにくい人事の世界で、今、大きな変化が起きています。
まっつんは、この会社での「人」への評価が変わることで、今後、大学院に求められる役割も変化していくことになると考えています。まあ、空想みたいなところもありますので、そのつもりでお読みください。

🔲大学院のおさらい

大学とは最高学府として存在する。
その大学にあるのが「学部」です。そして、もう一つ学士課程(学部)の上級機関となる「研究科」というものが設置されています。
研究科は、専攻分野を大括りにした「研究科」と呼称し、さらに細分化されたものを「専攻」といいます。
つまり、大学院は「〇〇学部」ではなく、「〇〇研究科〇〇専攻」となります。
そして大学院は大きく修士課程、博士課程、専門職学位課程の3つに分類される。

出典:Wikipedia 大学院より

そもそも、博士課程は、学部卒業後の標準修業年限が一般に5年の課程であり、前期2年、後期3年とすることが可能なため、博士前期課程を修士課程、博士後期課程を博士課程としている学校が多いと思います。

各大学によって異なるが、しばしば学則等では、「修士課程」「博士前期課程」「博士後期課程」「一貫制博士課程」「後期3年博士課程」「4年制博士課程」「専門職学位課程」などに区分する方法が見られる。

出典:Wikipedia 大学院より
出典:Wikipedia 大学院より

🔲大学院側の考える「大学院の未来」

今や生涯学習機関と思われていた放送大学にも「博士課程」がある時代です。最高学府と名乗るなら大学院を、そして博士課程を設置したい。ということなのでしょうか?
大学院の設置は、文科省の平成28年の資料によると、国立大学は100%、公立大学で87%、私立大学でも77%とほとんどの大学には大学院が設置されています。

文部科学省HP中央教育審議会大学分科会 大学院部会(第81回)資料より

しかし、大学院の募集する学生数は少なく、大学院単体では経営は苦しいことは容易に想像できます。大学ビジネスとしては、収支を合わせることすら難しいことでしょう。それでも尚、多くの大学が大学院を設置しているのは、やはりそれなりの魅力があるということでしょうか。
実際には外国人を大量に受け入れることで、定員を確保している大学も多いとは思います。まっつんの学んだ某大学の大学院は、同じ期で入学した院生は、修士課程20人、博士課程4人でした。そして24人中、日本人は4人(全員が社会人院生)でした。(※一応、学部は難関大学として知られています)
新型コロナウイルス感染拡大前でしたが、なかなかびっくりしたものです。(思わず自己紹介の挨拶に、「日本からきました」と枕詞とつけてしまいました)
ここ数年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、日本人の社会人大学院生が増加しています。逆に学部から、修士課程へ、そして博士課程に進む学生さんは減少しています。
つまり、大学院側も、今更ですが、外国人や社会人大学院生のニーズを満たすことで新たな需要を開拓する時代になっているのです。特に社会人大学院生は、前にも指摘しましたが、その研究が仕事に関係したものという特徴があり、アカデミックにおける知見と企業のビジネスにおける知見の接点となる可能性が期待できるのです。

🔲企業の考える「大学院の未来」

では、そんな大学院を企業はどう考えているのでしょうか?
これまでは、前編「なんとなくアカデミック・・・」で書いたように、企業にとっての大学院卒は、あまり評価対象となっていませんでした。社員を人材(資源)として見た際に就労期間の短い院卒は、企業は積極的に雇用するメリットがなかったといえます。
しかし、人的資本経営となると少し話が変わってきます。
社員を人財(資本)として見た際に、学士の能力開発にかかる費用をすでに自費で習得している可能性の高い修士は、教育・研修費用を捻出できない企業側にとっても都合が良いのです。ここに企業ニーズが生じる可能性が出てきました。
では、これまで懸念されてきた就労期間の短いというデメリットはどうなったのでしょう。企業は現在、年功序列を廃止し始めています。それは、現在最も企業を苦しめているのは、一括大量採用した社員の高齢化による生産性の低下です。
つまり、大量発生している「働かないおじさん」の人件費諸々が企業収益に貢献しないどころか、若手が彼らの仕事ぶりを見て絶望して転職するというオマケ付きなのです。
まっつんもその働かないおじさんの再生を担当してましたが、ほとんど平均以下の稼働を維持することも難しい状況で、下手をすると働かせることで余計にトラブルを起こして、復旧に手間がかかり、一段と生産性が落ちるという悪循環でした。
当然、それには理由がります。企業側が、社員を資源と見ており、教育というインプットもなしに、長時間労働という形で、アウトプットばかりを求めた結果、当然のようにアウトカムが、想定よりも著しく低くなってしまっているという点にあるのです。
しかし、2020年アメリカで上場企業への人的資本の情報開示が義務付けられたこともあり、追随する日本も2022年12月に金融庁が、人的資本情報の開示を有価証券報告書の提出義務のある上場企業約4,000社に対して2023年3月決算以降義務つけられました。
そして、その人的資本経営の指針を「伊藤レポート」が示しています
その中では、人材戦略の中で組織にリスキル・学び直しのカルチャーを構築することを取り組むこととされているのです。

出典:経済産業省HP 人材版伊藤レポートより

すでに企業によっては、従業員が受講するために大学院のWebプログラムを購入して従業員に無料解放したり、大学院への入学支援を行うところまで出てきています。
なぜならば、人的資本は時間の経過とともに減耗するという考えがあるからです。つまり、死亡率の低下、寿命の長寿化によって、これまでの高等教育を修了した社員を再教育する必要性に注目が集まっているのです。
そのため政府は、社員に投資し、人的資本を増大させることで、より多くの利益を獲得する人的資本経営へと企業を指導をしているのです。

🔲個人の考える「大学院の未来」

では、当の従業員、つまり個々人は、大学院をどう考えているのでしょうか?
まっつんの大学院の後輩には、外資企業でワールドセールスNo4という成績を上げていた方がいましたが、その方の入学理由は、「いくら良い成績を上げても、博士号がないと極東アジアの副社長しか任されない」というものでした。外資は日本以上に学歴社会のようです。また、NYに住む先輩は、「Ph. Dがあるのとないのでは、扱いが大きく違う」と言って博士号を取得していました。
一方で、修士課程の社会人院生はどうだったかというと、上場企業や外資の部長、執行役員レベルの方がゴロゴロいました。
彼らは、MBAの取得動機は、出世というより学び直しによってより学術的な知的思考を深めることにあるようでした。
一方で、若手社員を見ると、例えば管理系の女性社員の中には、キャリアコンサルタントの資格を自費で取得している子も多くいました。入社5年目くらいの社員でも大学院を目指すために勉強を開始したという話を聞くようになりました。(今は、1on1の面談やキャリア形成の面談を実施しているので、そのような学び直しを志向する社員が増えています。
アフターコロナで、「飲み会解禁!」と喜んでいるバブル期入社の中年社員とは、大きく異なる動きを見せているのです。
大学院を始めとする学び直しには、会社の中年層を除いて、会社の管理職も、若手社員も従来とは異なる動きを見せていると思われます。

🔲まとめ

伊藤レポートが提示した人的資本経営という人を資本として扱う概念は、会社での「人」への評価が変わるきっかけとなった。それに伴い、大学院に求められる役割も変化していくと予測される。
大学院側も、今更ながらではあるが、外国人や社会人大学院生のニーズを満たすことで新たな需要を開拓する時代となったことを認識し始めている。
また、個人レベルでも金銭的に余裕のある大手企業や外資企業のエクゼクティブたちは自費で大学院での学び直しを選択している。一方で、若手社員の中には、これまでの社員とは異なり、キャリア形成の一環として資格や大学院での学び直しを志向する人も現れ始めた。そして、中年社員は置き去りにされている。
金融庁が、人的資本情報の開示を有価証券報告書の提出義務のある上場企業約4,000社に対して2023年3月決算以降義務つけたこともあり、今後の上場企業の社員の動きに注目をする必要がある。
自分の周りを見てもそんな人はいないと考えていると新しいトレンドに乗り遅れるリスクがある。
なぜならば、経済産業省の発表では、現在日本の企業数は421万社となっているが、上場企業は約4,000社であり、日本の労働者数は6,676万人の中の約300万人だからである。2023年3月決算以降、伊藤レポートの影響を受けるのはその300万人であり、その中で学び直しに動く社員はさらに絞られることになる。
これは、時間の経過とともに減耗する資本をそのままにして、作業員として雇用されるか、自ら学び直しを行い仕事に誇りを持って勤務していくのか、現在はその岐路に立っていると考えた方が良さそうです。
自身の未来は、横並び意識によって周りに流されることなく、自身の頭で考える必要がある。
あなたはどの未来を選択するのでしょう。

以上、今回は「そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編その5:後編]「それぞれの大学院の未来・・・を書いてみました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
次回もよろしくお願いします。

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