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【800字 ショートショート】#50 準返礼は死んでいる

 命はどこから来るのか?それはこの世界の暗がりの洞窟からやってくるんだよ。幼少期から教え込まれたこの世界の成り立ち。その成り立ちに自分も参加する時期がやってきた。

 世の中に産み落とされた不出来な生命体は、周りにあるものをかき集めながら生きていく。そうやってやっとこしらえた自分の体を引っ張り出して、準返礼の旅へと向かう。

「礼を返せ。そうすれば暗がりの洞窟からまた生命は生まれてくるだろう」

 私はどうしても作ることが出来なかった右腕を染物義手で補い、足りなかった武器を集めて準返礼へ向かっていく。

その道中に有るもの全てを使ってでも返礼をしなければいけないのだから。

彩方師は私にこう告げる

「もう、準返礼は死んでいる。あんたがやることは残ってない。だからさっさとお家へお帰り」

私はそれでも彩方師に食いついた。

「生きているということは、準返礼をすることだ。それを怠った時、この後の世界の人間が困るだろう。そんなことを言うんじゃない。本当のことを教えてくれ」

彩法師は私の言葉を聞くと大笑いして、煙草を咥えた。

「・・いいよ。そこまで言うならやろうじゃん。行きたいんでしょう?凡庸ではない世界の端っこへ。そうすればいいじゃないか」

そういうと私に一つの武器を渡した。

それから私の旅は2つになった。

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