『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本』を読んで【読書感想文】
4月2日の世界自閉症啓発デーをいい機会だと思い、翔泳社さんの『発達障害の人が上手に働くための本』を読んだので、その内容や感想をまとめます。
この本はひとことで言うと、会社で働いている発達障害当事者の人にとてもおすすめできる本だと思います。
どんなことが書かれているの?
本の内容は、主に発達障害を持つ大人が会社で働くときに発生しがちな困難の原因とその対策です。
また、本文の合間にはコラムとして、障害者が利用できる社会制度の解説なんかもあり、親切です。
この本に書かれているトピックは以下のとおりです。
・先延ばしや集中力
・時間管理
・ケアレスミス
・メモ取り
・タスク、情報、モノの整理
・報連相、コミュニケーション
上記のトピックはすべて会社で働いているときに直面する困難を想定しています。(会社以外の日常生活は想定していないようです)
トピックごとに状況→原因→対策の構成となっていて、随所にかわいいイラストがあり、読みやすいですよ。
良かった点
僕が読んでまず驚いたのは、発達障害者が陥りがちな困難がとても具体的に書いてあるところです。首をブンブン縦に振ってしまうような「あるあるシチュエーション」だらけなのです…!
そして、同じひとつの困難に対しても、ADHD、ASD、LDで原因と対策が異なる場合はそれぞれの解説が詳しくなされているところ。
僕はASDの傾向が特に強くあるので、その部分に集中して読むことができました。
さらに舌を巻いたのが、問題を解決するのに役に立つアプリの紹介です。ところどころで便利なアプリを紹介してくれるのですが、それがスクリーンショットとともに利用手順まで解説されているのです。し、親切すぎる…。
OSは主にWindowsの解説なのでMacユーザーは注意が必要です。
個人的にイマイチだった点
イマイチだったところはほとんどありませんが、強いていうなら問題への対策が統計的な根拠に基づいていない(であろう)ところです。
どういうことかというと、こんなふうに対策を書いてほしいのです。
「ASD当事者〇〇人を対象にし、2グループに分け、グループごとにA、Bと違うスケジュール帳を○ヶ月使ってもらったところ、Aを使ったグループのほうは○%仕事のミスが減った。」
本書では、「ASDは〇〇という特徴があるので、このタイプのスケジュール帳を使うのがいいです。」といった解説がされています。それでももちろん納得感はあるのですが、個人的には参考にしながらも一歩引いた目で見てしまうところがあります。
僕は基本的に統計的な情報を信じることにしているので、対策の根拠が書いていない(つまり誰かの主観である)のは少し残念でした。
これも僕のASDなりのこだわりのひとつなのかもしれませんね。
さらに会社の人間関係をなんとかしたい場合は
この本と同じ翔泳社さんの本で、『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本』というものがあります。
こちらは、『上手に働くための本』の「報連相・コミュニケーション」のトピックをさらに膨らませて1冊にしたものとなっています。
「とにかく人間関係で苦労している!」という人はこちらもあわせてチェックしておくといいかもしれません。
まとめ
翔泳社さんの『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に働くための本』の紹介でした。
読んで良かったところをまとめると以下です!
・困りごとが非常に具体的である
・原因と対策を障害ごとに分けて解説している
・アプリの紹介がスクショ満載で詳しい
僕は特に「報連相・コミュニケーション」の章が参考になりました。今後に活かせればと思います。
もし興味が湧いたらぜひチェックしてみてくださいませ。
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