見出し画像

水素を発生させる石。生命の起源につながったかもしれない話。

水素を発生させる石ってどんな石…?

その石が、なぜ生命の起源につながるかもしれないの…?


写真はイメージです


世界には道端に転がる石から宝石まで様々な石や岩石が存在します。

それらの石は主に3つの生成法で分類されています。

火成岩
地中のマグマが冷えて固まった岩石。地表からの深さによって、深成岩と火山岩に分類できます。

変成岩
既存の岩石が熱や圧力などにより再結晶化してできた岩石。

堆積岩
水や風によって砂や土、動物などの死骸が堆積してできた岩石。何が堆積してできたかにより、石種の特徴が異なります。

 引用:関ヶ原石材株式会社

これらのうち、火成岩の深成岩に分類される橄欖岩かんらんがんという石があります。

8月の誕生石でもあるペリドットという宝石を挙げればピンとくる方もいるのではないでしょうか。

原石はこんな感じ。


地球の核を覆っているマントルと言ったらどうでしょう…。

マントルは下部、上部とあり、その上が外殻です。外殻は僕らが立っている地上の岩石のことですね。

この上部マントルを構成する岩石の一つが橄欖岩かんらんがんです。


この橄欖岩かんらんがん、変成作用を受けやすく地表にまで上がってくると、ほとんどは蛇紋岩じゃもんがんという石に変化しているとのこと。


この蛇紋岩化に欠かせないのが高温の水となります。


マントル上部が何かの拍子で外殻に剥き出してくる。

そこには何があるか…。

そう、海水です。

しかも、超高圧の海水、深海です。

超高圧状態では水が沸騰する温度は200度、300度と跳ね上がっていきます。

この熱水が湧き出る付近、深海熱水活動域にこの橄欖岩かんらんがんを多く含む岩が存在していたならば何が起きるのか…。


水素発生


です。

外殻にあたる一般的な海洋地殻は玄武岩という岩で覆われており、この玄武岩では水素反応がおこりません。


熱水が湧き出る付近に橄欖岩かんらんがんがなくとも、近くにあれば海水が地下に染み込み、マントル上部の熱によって海水は温められ水素が発生します。

水素を多く含んだ海水が熱水として湧き出てくるという図式となります。


で、この水素がどんな影響をもたらすのかというと


深海独立生態系の下支えを担うようになります。


写真はイメージです


深海では光合成できませんからね。

食物連鎖の下支えに水素が一役買うようになるんですね。


これは水素と二酸化炭素を利用してメタンを生成する超高熱メタン菌という存在が重要なポイントとなっており、さらにそのメタンを栄養源として利用しているのが超高熱発酵菌となります。

海水に水素が豊富に含まれていない場所では深海独立生態系が見当たらなかったとのこと。

そのため、この橄欖岩かんらんがんの存在有無は非常に大きな意味があります。

地球が誕生して間もない頃は空気中や海水中の成分も今とは大きく違っていたはずですが、深海における仕組みは似たようなものだったのではないか。

これら微生物を手助けしていたのが、マグマから生成された橄欖岩かんらんがんであったのではないか。

そう言えると…。


現代でも、これら微生物を頼りに生きる深海の生き物たちがいますが、そんな生態系を支えているのは、実は石!

マントルにある石!!

石、とっても重要!!


石の上にも40億年…。



***

写真:ストックフォト


ここまで読んでくださりありがとうございます。

この記事は書籍「生命の起源はどこまでわかったか」をベースに生命の起源に関わる深海の話や宇宙の話、そして科学を学ぶために書いている記事です。

もっと詳しく知りたい方は書籍をご覧ください。



【参考文献】

編者:高井研 生命の起源はどこまでわかったか 岩波書店 2018年3月15日発行

Wikipedia
ペリドットかんらん岩蛇紋岩玄武岩

関ヶ原石材株式会社
石のご紹介 石材の種類


この記事が参加している募集

このnoteはみなさんのスキやコメントが励みになって続けられています。 ありがとうございます。