子どもを「将来〇〇にしたい」という親と私の経験談
年末にテレビを見ていたら、「私の子達はサーファーにするんです」って言っているお母さんを見かけて私はびっくりした。
サーファーにするんです…するのか…子供たちがなりたがっているのなら全く問題はないが、それは親の欲望を子供に押し付けていないか?と疑問だった。
私は親の夢を押し付けられてしんどい思いをした張本人だからだ。
決められた部活動
私には4つ上の姉がいる。
中学進学と同時に部活動を決めるのだが、父はずっと吹奏楽部を勧めていた。父自身も楽器を吹いていて、一緒に演奏をしたかったからである。しかし姉は水泳部に入った。それ自体は別に悪いことではなかったと思う。
困ったのは私であった。
まだ小学3年生になりたての私の方へ、その誘いが向いてきたのだ。
中学になったら吹奏楽部に、という父の勧め。勧めといいつつ私の中では違う部活に入ったら機嫌が悪くなる、というどうしても抗えないものがあった。
しかし小学校の高学年の頃、陸上の先生に猛烈アピールをされて陸上に入り、指導のおかげでぐんぐんタイムも縮み何より私は走ることの楽しさに目覚めていた。
そしていざ中学校入学。
自分の進みたい道は陸上にあったが、特注の楽器をあげるから吹奏楽へと言われ、そのまま私は吹奏楽部に入ることとなった。
先輩からの執拗ないじめ
自前の楽器が特注だったのがまずかった。
他に同じような待遇の同級生はおらず、一番に先輩から目をつけられてしまった。
二つ上の部長と副部長から呼び出され「顧問に気に入られてるか知らんけどさぁ、調子乗らんときや」と言われたり、体調が悪くて早退したら門まで何人もの先輩が追っかけてきて「ほんまに体調悪いん?なぁ、無視すんなや」などと執拗に付き纏われた。
自分の入りたい部活だったらまだ我慢もできたが、好きだった音楽も嫌いになりそうなほど辛かった。
学年が上がって仲のいい後輩が何人もでき、顧問もとてもいい人だったのが救いでなんとか最後まで辞めずに済んだ。
高校へ進学
吹奏楽部である程度成績を収め、結果的に私は高校も部活動推薦という形で進学したが、高校の進学先でも同じ楽器の先輩だった人に執拗に嫌がらせをされ体調を崩して部活動は2年になってすぐに辞めた。
辞めることを親に話す時、ものすごくしんどかった。
かかりつけの医師からもストレスが原因なのは明らかだったらしく、辞めた方がいいよと言われていたことを踏まえて話した。
ものすごく残念そうだったけどひとまず承諾を得て辞めたが、私はそこからしばらく楽器を見るのも演奏を聴くのもとにかく嫌になり、父が自分の演奏を聴きに来たら?と誘ってくるのが腹立たしくなっていった。
誰のせいでこんな思いしたと思ってるんだと父に怒りをぶつけたかった。
私自身は元々エレクトーンを習っていて音楽が好きだったが、別に吹奏楽部に入りたかったわけではない。
もし親が私の意見を尊重してくれていたら私は陸上部に入っていただろう。自分の選んだ道はどんなことがあっても自分の責任だと思えるものだが、父の意向に沿って進んだ道は険しすぎてわたしには耐えられなかった。
子は親の希望を叶えるためのものではない
父はいまだに「お母さんしながら楽団に入っている人がいる」「〇〇の楽団はいいぞ」と勧めてくるのだが、一切引き受けない。
父は3世代で楽器を吹くのが夢みたいなのだが、正直それは諦めてもらうつもりだ。
娘がおもちゃの楽器を吹いているとそれをSNSにあげ、同じ音楽仲間からは「将来はおじいちゃんと同じ楽器だね!」とか「もうこんなに吹けるならきっとうまくなるね」とか言いたい放題言われているのだが、娘の親は私だ。そのうち娘にも楽器をあげるからと言い出しそうな勢いなので全力で止めている。
私は娘がしたいことを後押ししたいのだ。
親がやるべきことは将来の選択肢をなるべく多く見せることであって道を決めることではないと思っている。
子どもにはあとで後悔しても自分が選んだ道を進んでほしい。私の願いはそれだけだ。
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