数学坂47

香川県丸亀市出身 1999年横浜市立大学理学部数理科学科卒業(1期生) 2002年東京…

数学坂47

香川県丸亀市出身 1999年横浜市立大学理学部数理科学科卒業(1期生) 2002年東京大学大学院数理科学研究科修士課程修了 ご支援の程宜しくお願いします。 https://ofuse.me/mathematics47

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平成11年度 東京大学大学院数理科学研究科修士課程 専門科目B 代数学解答

平成11年度東京大学大学院数理科学研究科修士課程専門科目Bの中から代数学の問題(B第1問〜B第4問)の解答を作成しました。 B第1問 (群論) $${GL_2(\mathbb{F}_q)}$$ の部分群に関する問題 B第2問 (可換環論) $${\mathbb{Z}[X]}$$のクルル次元が2以下(実際はちょうど2に等しい)であることを示す問題。 B第3問 (ガロア理論) $${\mathbb{C}(x)}$$のある代数拡大がガロア拡大であることを示し、その中間体を求め

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    • 冪零でない複素可解リー環でキリング形式が恒等的に0である例

      佐武一郎著「リー環の話」第5章問題4の冪零でない可解複素リー環でキリング形式が恒等的に0である例を見つけました。 $${\mathfrak{g}}$$ を $${e_1,e_2,e_3}$$ を基底とする3次元複素ベクトル空間として,括弧積を $${[e_1,e_2]=0,[e_1,e_3]=e_1,[e_2,e_3]=ie_2}$$ で定義します. (これを双線形性と交代性を用いて $${\mathfrak{g}}$$ 全体に拡張することで括弧積を定義します.) す

      • 令和6年度 東京大学大学院数理科学研究科 専門科目B 第13問

        令和6年度東大数理専門科目B 第13問の解答を載せます.おそらく18問の中でこれが一番簡単でしょう. 専門科目B問題はこちら https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/kyoumu/b_cover0325.pdf

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        • 令和6年度東京大学大学院数理科学研究科 専門科目Aの積分の問題

          東京大学大学院数理科学研究の令和6年度修士課程の院試問題から専門科目Aの積分の問題(第4問と第6問)が解けたので解答を載せておきます。 専門科目A問題はこちら https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/kyoumu/a_final0325.pdf 第6問の積分は微分積分の範囲でも複素解析を使っても解けるので,両方の方法を載せておきます。

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        平成11年度 東京大学大学院数理科学研究科修士課程 専門科…

          正井先生からの挑戦状!

          本日開催された東京工業大学×すうがくぶんか「現代数学レクチャーシリーズ2024 微分方程式祭り」。実は先月正井先生からの挑戦状がすうがくぶんかの公式X(旧Twitter)に投稿されており解答を提出していました。 後日すうがくぶんかからリプライがあり、どうやら一番乗りだったそうです。 というわけで私が作成した解答を公開致します。(別解がその後思いついたので再提出しました。)

          正井先生からの挑戦状!

          前層の層化の2つの定義の同等性

          最近廣惠先生の「重点解説 微分方程式とモジュライ空間」を読んであるのですが、層化の定義が寺杣先生の「リーマン面の理論」の定義と異なっていたのでそれらが同等であることを確かめてみました。

          前層の層化の2つの定義の同等性

          2020年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程 専門科目A 解答例

          2020年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程 専門科目A の解答例を書きました。 第1問(線形代数)ある3次複素上三角行列が対角化可能であるための必要十分条件 各固有値の重複度と対応する固有空間の次元が等しいことに気づけば容易である. 第2問(微分積分)平面上のパラメータつきの領域上での重積分の計算と極限の計算 どちらも計算は容易である. 第3問(微分積分)ふたつの関数の大小関係およびそれらのグラフで囲まれた領域の面積についての評価 (1)は$${t=x^

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          2020年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程 専門科…

          √-1の5進展開を途中まで計算してみた

          $${i=\sqrt{-1}}$$の5進展開を計算してみました. 計算方法を説明する前に、まず $${p}$$ 進整数について簡単に述べておきます. $${p}$$ を整数とするとき,次の形で表される数を $${p}$$ 進整数と呼びます. $${a_0+a_1p+a_2p^2+a_3p^3+\cdots +a_np^n+\cdots}$$ ここで$${a_n (n=0,1,2,\dots)}$$は 0以上$${p}$$ 未満の整数です. $${p}$$ 進整数全

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          2019年東大第1問の定積分の計算

          2019年の東大数学(理系第1問)の定積分を少し変わった方法で計算してみたいと思います. $${\displaystyle\int_0^1 \biggl(x^2+\frac{x}{\sqrt{x^2+1}}\biggr)\biggl(1+\frac{x}{\sqrt{x^2+1}(x^2+1)}\biggr) dx}$$ 求める積分値を$${I}$$とおく. $${\displaystyle\frac{x}{\sqrt{x^2+1}(x^2+1)}=\frac{d}{d

          2019年東大第1問の定積分の計算

          円周率の近似計算に使われた定積分

          先日X(旧Twitter)で円周率 $${\pi}$$の近似計算に使われた定積分のポストを見かけたので早速計算してみました。 $${\displaystyle\int_0^1\frac{x^4(1-x)^4}{1+x^2} dx}$$ において$${x=\tan\theta\quad(0\leq\theta\leq\frac{\pi}{4})}$$ と変数変換すると $${\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{4}}\tan^4\theta(1

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          発散級数の和をどのように捉えるか

          先日放送されたNHK「笑わない数学」のテーマは$${1+2+3+4+\cdots=-\frac{1}{12}}$$でした。 勿論普通の級数の定義では無限大に発散するのでこの等式は意味をもちませんが、適当に解釈することでこの等式に意味をもたせることができるのです。 それを考える前にいくつか簡単な例を考えることにしましょう。 例1.関数$${\displaystyle f(z)=\frac{\sin z}{z}}$$を考えましょう。$${z}$$は複素変数ですが、複素関数を

          発散級数の和をどのように捉えるか

          ある2次体のイデアルについて

          先日高木貞治「代数的整数論」(第2版)をメルカリで購入したので、少しずつ読んでいます。その中から第2章問題3を取り上げたいと思います。(現代表記に変えてあります。) [問題] 2次体 $${\mathbf{Q}(\sqrt{-5})}$$ において $${(3+\sqrt{-5},1-7\sqrt{-5})=[2,1+\sqrt{-5}]}$$ を示し,それは単項イデアルではないことを示せ. 注意 左辺は$${3+\sqrt{-5},1-7\sqrt{-5}}$$ で

          ある2次体のイデアルについて

          MITの積分問題解いてみた

          昨日YouTubeでプレミアム公開された積分サークルの動画で出題された積分の問題を解いてみました。 *3ページの「求める極限値は」の部分は「求める積分値は」の誤植です。

          MITの積分問題解いてみた

          有限環上の2次一般線型群と特殊線型群の位数計算してみた

          有限環 $${\mathbb{Z}/N\mathbb{Z}}$$ 上の2次一般線型群 $${GL(2, \mathbb{Z}/N\mathbb{Z})}$$ 及び 特殊線型群 $${SL(2, \mathbb{Z}/N\mathbb{Z})}$$ の位数を計算してみました。 $${N=p_1^{e_1}\cdots p_r^{e_r} }$$ を $${N}$$ の素因数分解とすると,中国剰余定理より環同型写像 $${\displaystyle\phi:\mathbb{Z}

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          令和4年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程入試問題 専門科目A解答

          令和4年度の東京大学大学院数理科学研究科修士課程専門科目Aの解答です. A第1問(必答) 線型代数 次数が2以下の実係数多項式のなす実線型空間の線型変換S,Tが同時対角化可能であるための必要十分条件を求める問題. A第2問(必答) 微分積分 $${\mathbf{R}^2}$$ のある領域における重積分の計算問題.頻出問題である. A第3問 微分積分または複素解析 定積分の計算問題.微分積分でも複素解析でも解ける.頻出問題である. A第4問 常微分方程式 連立

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          令和4年度東京大学大学院数理科学研究科 修士課程入試問題…

          Jacobiの三重積公式証明してみた

          Jacobiの三重積公式を Daniel Bump 「Automorphic Forms and Representations」内の演習問題(Exercise 1.3.2) の誘導に従って証明してみました. Jacobiの三重積公式とは次のような公式です. $${q}$$ を $${0<|q|<1}$$ なる複素数,$${x}$$ を0でない複素数とするとき次が成り立つ. $${\displaystyle\sum_{n=-\infty}^{\infty}q^{n^2

          Jacobiの三重積公式証明してみた