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電卓の3つのE~最近印象に残った授業~

この記事の主な内容

はじめに

大人のための数学教室和(なごみ)の講師の松中です。最近印象に残った授業シリーズとして不定期に授業の内容を紹介していきたいと思います。今回紹介したいのは電卓に現れる3つのEに関してです。

なおこちらの記事の内容は動画でも解説しています。


ネイピア数のe?

先日統計の授業の冒頭でお客様から、「ネイピア数eについて教えてください」とリクエストをいただきました。eは数学界では言わずと知れた超重要な定数です。自然科学、工学のあらゆる分野に現れるとても大事な定数であり、統計学の分野でも正規分布の確率密度関数にはeが現れます。リクエストに続けてお客様はこのeが電卓にも現れると話されました。

私は関数電卓でeを使うことはあるのですが、普通の電卓では見たことがありませんでした。これはエラーのEと勘違いしているなと思って確認したところ、エラーのEでもな別のEでした。

ということで、電卓に現れる3つのEについて紹介したいと思います。

エラー(error)のE

私が子供の頃からよく見かけていたのは「エラーのE」です。これは電卓が答えを表示できないくらいの大きな桁の掛け算を行ったり、数学的には許されない0除算や、マイナスの数のルートを計算しようとすると現れるものです。

これは誰しもが目撃したことのある、もっともなじみ深いEだと思います。

ネイピア数(Euler’s Number)のe

元々お客様が学びたいとおっしゃっていたネイピア数のeも電卓に現れます。と言っても普通の事務用の電卓では出てきません。事務作業にはeは不要です。私は事務作業でeを見かけたことがありません。

先述の通りネイピア数eは関数電卓は必ず現れます。関数電卓には「e」ボタン、あるいは「ex」ボタンは必ず搭載されているでしょう。

ちなみにiPhoneの電卓は横向きにすると関数電卓モードになります。関数電卓を持っていないあなたもiPhoneを横に傾けるだけで「e」ボタンで遊ぶことができるので是非試してみてください。

このネイピア数eは欧米ではオイラー数(Euler’s Number)と呼ばれているそうです。ネイピア(Napier)数なのにeで表わされる理由は大数学者オイラーの頭文字だったからなのです。


指数(exponent)のe

最後はお客様がネイピア数と勘違いしていた指数(exponent)のeです。これも私は通常の事務電卓では見たことがありません。

関数電卓では計算結果が電卓に表示できる桁数を超えてしまった場合にeを使って結果を表示します。eの意味を具体例で紹介します。例えば、電卓の画面に「7.34702e20」と表示されていたとしましょう。この数字列が表す数値は7.34702×1020であり、7.34702に10を20回かけたものになります。つまり「7.34702e20」は734702000000000000000を表しているのです。

大きい数だけでなく絶対値が0に近い数も表せます。例えば、電卓の画面に「3.23687e-10」と表示されれば、この数字列が表す数値は。3.23687×10−10であり、3.23687を10で10回割ったものになります。つまり「3.23687e-10」は0.000000000323687を表しているのです。

指数表記により電卓で表示できる数の範囲が非常に大きくなることがわかると思います。また、指数表記は2つの大きな数、または2つの小さな数(絶対値が0に近い数)の大小を比較しやすいという点でメリットがあります。

まとめ

電卓には3つのEが出てくるので、だれかと電卓の話をするときは意思疎通が取れているか十分気をつけてください。

ネイピア数eは対数関数の微分をしようとすると自然に出てくる定数です。eをもっと知りたいという方は以下の講座がおすすめです。

(文/松中)

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