6000万人、15兆円目標は堅持。斉藤新国交大臣は就任会見で何を語った? 週刊インバウンドニュースマガジン10月2週号
1. 新国土交通大臣に斉藤鉄夫氏が就任。インバウンドについては前向きな発言
岸田内閣の発足で、観光分野を管轄する国土交通省にも新たに斉藤鉄夫氏が、新大臣として就任しました。
10月5日には就任会見が行われ、今後の方針等について発言されています。
大臣の就任会見要旨から、ポイントを抜粋いたします。
・外国人観光客6000万人、訪日消費額15兆円目標を堅持
・感染対策を前提に、ダメージを受けた観光業を支援
・GoToトラベル事業は必要不可欠
・中長期的に、国際観光市場の重要性は変わらない
概ねインバウンドに対しては前向きな印象です。また、まずは疲弊した観光業界を支援するという方針は、以前にご紹介した観光庁予算概算要求の全体方針にも合致しています。
その他、岸田首相の掲げる「デジタル田園都市」構想にも言及されています。こちらのキーワードは、今後観光や地方創生分野へも強く影響してくると推察され、いずれこのマガジンでも別途分析・解説していきたいと思います。
2.制限緩和のきっかけになるか?ワクチン・検査パッケージの実証を行う旅行会社・ツアーが決定
さて、先程の斉藤大臣の会見でも触れられていた「ワクチン・検査パッケージ」を皆さんはご存知ですか?
ワクチン接種記録の確認、PCR検査等による陰性確認などを通じて感染防止を行う枠組みで、今後の制限緩和措置に活用される見込みです。
飲食店への入店、イベントへの参加、旅行に際し、事前に接種歴を確認したり検査を行ったりすることで、感染拡大を防止するイメージです。
まだ実際の運用や効果は明らかになっていない状況ですが、現在そのための実証の準備が進められています。
さて、ここからが本題です。そんな「ワクチン・検査パッケージ」の運用や効果を確かめるため、観光分野でも実証が行われる予定です。10月5日、実証に参加する旅行会社11社とそのツアー38件が選定されました。
以下の通りです。
北は北海道から南は沖縄までが対象となり、移動手段も飛行機・鉄道・バス・フェリーなど様々。概ね10月中に実施されますが、一部は11月に実施が予定されています。
これらの実証を経て、日本式の感染防止&経済活動の両立スタイルが形成されるのでしょう。
GoToトラベルなどの景気刺激政策はその後だと思われますので、その推移に注目しています。
3.米・富裕層向け旅行誌「最も魅力的な都市ランキング」で東京・大阪・京都がトップ3独占
高所得層を読者とするアメリカの旅行専門雑誌「Condé Nast Traveler(コンデ・ナスト・トラベラー)」にて毎年恒例の読者投票が行われ、世界で最も魅力的な都市のランキングで日本の3都市、東京・大阪・京都が上位3位を独占しました。
米旅行雑誌の「世界で最も魅力的な大都市ランキング」で 東京、大阪、京都が 3 トップを独占 (JNTO)
CNT誌の「世界で最も魅力的な都市のランキング」
同一国の都市がトップ3を占めるのは異例のこと。なお、東京は昨年の6位から、大阪は圏外からのランクアップ。京都は昨年の1位からランクダウンしています。
ランキングの中で東京は、近代的なビル群と、それとは対照的な寺社仏閣が混在する魅力的な都市として評されています。また、ミシュランの星付きレストランが世界で最も多い食の都である点も評価されているようです。
2位の大阪も東京と同様に食文化を評価されています。またニューヨークに匹敵する野球文化(阪神でしょうか?)に触れられている点が個人的にはユニークに感じました。
3位の京都は、よく保存された伝統的町並み、工芸品やアート、食文化が評価されています。
本ランキングは読者投票ですので、あくまで当雑誌の読者が主観で選んだものであり、どれほど信頼できるかはわかりません。しかし、日本以外の都市の評価を見てみると、アメリカの人々が観光地に何を求めるのかが見えてくるのではないでしょうか?
4.あとがき
先日大学生の方とお話をする機会があり、好きなサービス・面白いサービスについて聞いてみました。
皆さんはKiT Video(キットビデオ)をご存知ですか?
キノビデオ(キットビデオ)とは?|使い方とテレビでの視聴方法 Kihno KiT Video
https://kpopnotice.com/kihno-video/
正方形のデバイスで、スマホのイヤホンジャックに接続させることで、スマホで音楽・映像を再生させることができるというもの。
韓国のアーティストが自分の音楽、MVを流通させる際に使用し、浸透し始めたようです。詳しいイメージは上記のサイトをご覧ください。
どうやらKiT Videoのデバイスにデータが入っているわけではなく、認証キーのような役割を持っているようです。
要は、かつてのテープ、CD、MDのように、再生機と組み合わせることで音楽を聞くことができるわけです。
「ダウンロードの時代になぜわざわざ嵩張るものを?」と、思わずにはいられませんが、「モノ」として形があることでコレクション・保有する楽しみがあるようです。
数年前からインスタントカメラの「写ルンです」が人気なのも記憶に新しいですね。
デジタルの便利さが浸透したことで、逆にアナログの不便さやモノとしての存在感、一点物の特別感が大事にされてきているのでしょうか?
DXという言葉が観光の分野でも流行していますが、お客さんの愛するニーズにフォーカスを当てれば、実はアナログなものが求められる場面もあるのかもしれません。
「時代は◯◯だから」と形式を追うのではなく、観光資源の本質的な価値を見つめなくてはな、と改めて思い知らされた次第です。
今週もお読みいただきありがとうございました。
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