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【エッセイ】履歴書だけはお嬢様

就職活動をしたのもだいぶ前になってきた。
会社内で年下の子が多くなってきたのは気のせいではなく現実。
自分が年次を重ねたバロメーター。

働いた経験のある人は、
誰しも一度は「履歴書」を書いたことがあるのではないか。
就活は勿論、アルバイトやパートの面接では必須アイテムである。

物事にはそれぞれイメージっていうものがあり、
そのイメージが”人となり”ならぬ、”物となり”を表し、
その中に入ることで”人となり”の形成にも影響したりする。

履歴書は一律には測れない”人となり”を、
ある程度までなら測ることのできる定規のようなものだと思う。

この大学出身ってことは偏差値はこれくらいか。
この企業出身ってことはあんな仕事をしていたのか。
じゃあこんな雰囲気の人なのか。
といった様子で。

私は東京にある中高一貫の女子校出身である。
インターネットで調べると東京にあるお嬢様学校と紹介されている。
大学は都心にキャンパスがあり、女子アナを多く輩出しているところ。
そして学部は文学部。

これらの書かれた履歴書を携えて回った新卒採用。
ある面接官に、
「君は金融とかの方が向いているんじゃないかな」
と言われた。
どこの会社の人だったかは覚えていない。
沢山の学生を見てきた新卒採用担当者からみたら、
その会社の中で私は色味の違う学生だったのだろうか。

確かに育ってきた環境で
同じものでも違う色味に育つことは
自然界でもよくあることだ。

人生を歩めば歩むほど、
置いた環境によってそれぞれの色味がついてくる。
そう思うと私の歩んできた道は
いささか自認している部分との相違が大きいらしい。

集団面接で両脇に座る学生を見る。
見た目では明確な違いは見えない。
じゃあやっぱりその色を出しているのは
面接官の手元に収まる履歴書なのだろうか。

そんな私は、履歴書だけはお嬢様。

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