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エアー鬼ごっこ

子どもってすごい。平常授業になって3日目。休み時間の鬼ごっこが禁止された兄とクラスメイトたちは、エアー鬼ごっこなるもので遊び始めたらしい。通常の鬼ごっこ同様、鬼がターゲットに近づき、タッチをする代わりに手を広げてハグする寸前まで追い込んだら、鬼の勝ちとなるそうだ。

人気のゲームは即座にカスタマイズされていく。兄たちがエアー鬼ごっこで楽しんでいると、学校のサッカーチームに所属する子たちが、隣でエアー鬼ごっこスピード速いバージョン(速く走るってだけ。サッカーチームの子たちは足が速い)をやり始めたという。すると「そっちの方がおもしろそう」と、鞍替えする子が続出。元祖エアー鬼ごっこには、兄を含めて3人しかいなくなってしまった。

隣の芝が青く見えた兄も、スピード速いバージョンに入りたいと告げたらしい。しかし、入れたくないと言い出した子がいて、その場の雰囲気でその子の意見が通り、残念ながら入れなかったとのこと。「入りたいけど入れてもらえない話」も幾度となく聞いてきたので、「そっか、しょうがないね。3人で楽しめたんだからいいじゃない」と軽く慰めた。

男子の世界は「誰とでも、その場にいる子と楽しく遊べればいい」という、割と単純な場所なのだと思っていた。でも兄の就学後、こうした「縄張りに入ってくるな」的な対応をちょくちょく受けるようになり、私の男子像はガラガラと崩れた。そのときどきのグループで強い力を持つ子がチームの基準を作り、リーダーのお眼鏡にかなわなければ、弾き出されることもある。

兄は前述した「誰とでも、その場にいる子と楽しく遊べればいい」というタイプである。一緒に楽しめればそれでいいから、誰でもウェルカムな対応をとる。一方で、誰かの遊びに入れてもらうには、走るのも特段速くなく、得意なスポーツもなく、スポーツチームにも所属していないので、選んでまで一緒に遊びたい子ではないのかもしれない。いつか「来るもの拒まず、去るもの追わず」という言葉の意味がわかるようになると、いろいろ楽になるのかもしれない。

ボールや固定遊具の使用も禁止されているとのことで、休み時間の子どもたちの遊びには、大変革が起きるだろう。今までも、さまざまな摩擦を乗り越えながら成長してきた兄。次はどんな遊びのムーブメントが起きるのか。これからのお土産話が楽しみである。

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