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弟の新しいお弁当箱

先日、幼稚園カバンの中に、お弁当箱が6日も放置されていたという、ちょっとした事件があった。分散登園の年長の休園日が水曜なので、弟は5日間のシルバーウィークを堪能。よって、お弁当箱がないことに気づいたのは、次週の木曜の朝という顛末になってしまったのである。

気づかなかった私も悪い。だが、自分の持ち物には、責任を持たねばならないことを教えるチャンスだ。その旨、弟に説教したのち、6日が経過したお弁当箱を一緒にオープン。お残しなく食べてくれていたのは不幸中の幸いだったが、残念ながら中身はカビだらけ。洗剤で洗ってはみたものの、兄のお古だったからか、どうもすべてを取りきれない。これはもうお陀仏かな。新しいお弁当箱を購入することにした。

お弁当箱のラインナップが豊富な近所の雑貨店に弟と向かう。まずは容量をどうしようか。兄のお古は360ml。パツパツに詰めると弟にちょうど良い量なのだが、取り出しやすくするためにサイズアップしようと思っていた。だが、ひとつ上となると、約100mlアップの450mlになってしまう。

お店の子ども用弁当箱のラインナップは、280ml→360ml→450ml→560mlという具合だった。450mlに緩く詰めると寄ってしまうだろうし、ピッチリ詰めたら多すぎるのでは…と、弟の好きなキャラクター(ドラえもん、スヌーピー、トトロ)のお弁当箱を4箱も抱えて悩んでいたら、腕からスルリと抜けて落とし、ひとつは隣にいた人の足にまで飛んでいってしまった。

すぐに謝罪し、慌てて拾い集めている私の横で、どこ吹く風の弟。「これにするー」と、私が抱え直したのとはまったく違う、恐竜のイラストが入った450mlのお弁当箱を選んだ。おぉ、そうかい、それがいいのかい。じゃあそれでいい、それにしよう。

そういえば、園外保育で使うお手拭きケースのフタの調子も悪かった。ひねるタイプに替えよう。「このドラえもんのどう?」と弟に尋ねると、「うーん」と言って、お手拭きケースが所狭しと入ったボックスをゴソゴソし始めた。「これにするー」と、取り出したのは新幹線のデザイン。おぉ、そうかい、それがいいのかい。じゃあそれでいい。それにしよう。

母の見立ては完全なる空振りに終わり、買物は無事に終了。どうやら私は、弟の趣向を押さえきれていないようである。こういうときは、必ず本人を連れてきて、自分で決めさせなきゃダメだな。

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