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5分で読める、最新Tiktokの動向記事、考察まとめ【中国リサーチメモ】

1、狙うはEC取引の主導権 TikTokがECミニプログラムをリリース

TikTokは昨年3月に、EC最大手「タオバオ(淘宝)」と提携する形でEC事業に参入、タオバオのショッピングカートとTikTokのプラットフォームを連携させた。昨年11月11日の「独身の日」には、ショッピングカートシェア機能を持つTikTokアカウントが売り上げた商品は10万点に上り、売上高2億元(約33億円)をたたき出した。
しかし今、TikTokは自社システム内で消費者の購買行動を完結させることを目指しており、その各プロセスにおける主導権を握りたい考えだ。
昨年5月にTikTokは自社EC店舗の開設を始めた。アプリに組み込まれたEC店舗ならTikTok上で直接購入ができるというわけだ。それに続くTikTokの一連のアクションは全て自前のECエコシステムの基礎固めであり、購買環境をさらに整備する狙いがある。
オンラインでコンテンツ制作から購入に至るまでのEC体系の整備を進めると同時に、オフラインでは位置情報サービスに基づいて販売業者との関係を構築していく
新しいECミニプログラムでこれらのプロセスが1つにつながり、コンテンツ閲覧から購入に至る全てがTikTokのプラットフォーム内で完結可能になり、必要な外部サービスは決済サービスのみとなる。

↓上記記事内のECサイトリリース記事。

ブルームバーグの報道によれば、TikTokの運営会社である「バイトダンス(字節跳動)」の2018年売上高は500~550億元(約8300~9100億円)とのこと。36Krの調べでは、このうち半分近くがTikTok由来の売り上げだという。今年、バイトダンスは売上高1000億元(約1兆6600億円)を目標に掲げており、当然TikTokも相応のプレッシャーを抱えることになる。これまでのインフィード広告やショッピングカート機能などに続く今回のECミニプログラム投入、TikTokはまさに商業化への道をひた走っている。

→TiktokJapanもくるはず。ユニコーン級!

2、「TikTok(抖音)」が映画配給6社と戦略的提携 ショート動画を映画やドラマのプロモーションに

4月19日、ショート動画共有アプリ「TikTok(抖音)」は、「安楽(北京)電影発行有限公司(EDKO (Beijing) Distribution)」、不動産大手「万達集団(Wanda Group)」傘下の「万達影視伝媒(Wanda Media)」、「光線影業(Enlight Pictures)」、アリババ傘下の「アリババ・ピクチャーズ(Alibaba Pictures Group )」、「新麗伝媒(New Classics Media)」、「英皇電影(EMP:Emperor Motion Pictures)」ら映画やドラマを制作・配給する6社と戦略的に提携し、メディアミックスの新たなプロモーション戦略「視界計劃」を共同でおこなっていくと発表した。今後、TikTokは上記6社と、楽曲のプロモーション、コンテンツのメディア展開等で協力していく。
ショート動画アプリに注目が集中している。こういった状況で、映画配給会社がこれをプロモーションに利用しない手はない。光線影業がプロモーションを手掛けた映画「超時空同居(How Long Will I Love U)」の例では、まず人気タレントやアイドルがTikTokに関連動画を投稿すると、再生回数が1億3900万回にのぼった。さらにユーザーにも参加を促すと、最終的には2万4000人が参加し、再生回数は8億3300万回にも達したのだ。
またTikTokにとっても、ユーザーを惹きつけてプラットフォームを盛り上げるためには多くの映画やドラマ、音楽コンテンツが必要だ。2019年1月の時点で、TikTokのデイリーアクティブユーザー(DAU)は2億5000万人、月間アクティブユーザー(MAU)は5億人を超え、ショート動画の業界第1位となっている。しかし、その地位に胡座をかいてはいられない。追い上げて来る多くのライバルには注意が必要だ。

3、「TikTok」:アーティスト発掘プロジェクト「TikTok Spotlight」を始動

日本と韓国でアーティスト発掘プロジェクト「TikTok Spotlight」を新たに始動させた。両国の音楽業界と連携してTikTok上で優れたインディーズ・アーティストを選出し、支援を行う。同プロジェクトには、ユニバーサルミュージックやソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナーミュージックなど、日韓21社のレーベルや音楽出版社が参加。また26人のトッププロデューサー、ソングライター、シンガーがアドバイザー兼審査員として名を連ねている。

→日本の話ですよ。

4、TikTok国際化における隠れたリスクとは

TikTokを運営する「バイトダンス(字節跳動)」にとって、IPOと売り上げ1000億元(約1兆6000万円)の目標を掲げる2019年は間違いなくプレッシャーの大きな一年になるだろう。
IPOも1000億の売り上げ目標も、達成するためには国際化が最も重要な鍵だ
。国際化に関しては、TikTokはWeChatの先を行っている。Tiktokの海外でのダウンロード数は10億を超え、今年1月のダウンロード数上位3市場はインド、アメリカ、インドネシアだ。バイトダンスは、3年以内に海外ユーザーの数が国内を上回ることを期待している。

【ソーシャルメディアアプリが陥りやすい落とし穴】
→権利問題、ユーザーへの権限付与問題、アダルト倫理問題。

米国だけを見ても、中国とは青少年のプライバシー保護条例に大きな違いがある。米国の未成年者保護に関する法律は詳細に規定されているが、中国の未成年者保護法は子供のプライバシーについて具体的な規定をしていない。Tiktokは今後、米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に従わなければならず、アカウント開設者が13歳以上であることを確認しなければならないという難題をクリアする必要がある。同社は先月末、青少年ユーザーのためのプライバシー保護措置を追加した。対応する年齢に適したTikTok環境を提供するもので、青少年向けの環境下では個人データの共有は許可されない。
エンターテインメントコンテンツアプリという性質上、Tiktokはコンテンツについて基本的なチェックを行う義務がある。アプリ内のコンテンツが権利を侵害していると通知を受け取った場合、「セーフハーバー条項」の適用を受けるためにそのコンテンツを速やかに削除しなければならない。この条項は多くの欧米諸国で設定されており、デジタルコンテンツのサービスプロバイダーは、権利侵害の通知を受けた後、速やかに該当するコンテンツを削除すれば違法行為とはみなされないというものだ。また逆にユーザーのコンテンツが他に転載されたりした場合の権利保護など、TikTokは知的財産権について様々なリスクを抱える。
昨年7月、インドネシア情報通信省は不適切なコンテンツの問題で、TikTokを一時ブロックした。また今年2月、インド政府関係者が「若者の堕落を招く」としてTiktokをブロックすべきだと発言している。ツイッター上では「anititiktok(アンチTiktok)」というハッシュタグがあり、フォロワーの大部分はTiktokが宗教的価値観に反すると考えるインドネシアとマレーシアのユーザーだ。
ダウンロード数からすれば、Tiktokの海外進出は順調に見える。東南アジア諸国には競合相手が少なく、エンターテインメントの需要を取り込んでいる。 Tiktokのダウンロード数の25%はインドからのものだ。今年1月には新規ユーザーの43%がインドで、昨年同期の9.5%から急成長した。
だが、海外事業で収益を上げるにはまだ時間がかかりそうだ。バイトダンスがインドのテレビやオンライン広告に注ぎ込んだ資金は既に数千万ドルに上るが、インドでの広告収入は非常に限られている。米国市場の競争は激烈で、同社は昨年、グーグルだけで3億ドル(約330億円)以上の広告費を投じたが、米国でのダウンロード後30日のユーザー維持率はわずか10%でインドの30%に比べかなり低い。

5、TikTok、本国では若年ユーザーの利用制限へ「1日40分まで、夜10時以降は不可」

CACの要請を受け、TikTokや快手(Kwai)はすでに3月末に同システムを試験的に導入済み。TikTokの場合は、利用時間は1日40分以内、午後10時から午前6時までは利用不可としている。また、ライブ配信機能は使用できない。快手もTikTokと同様の利用時間制限を設けるが、ライブ配信機能に関しては保留とした。ただし、投げ銭(ライブ配信者に送金する機能)や現金チャージは禁止としている。
成人と比較して自制心が育っていない未成年の間で最近、ライブ配信の投げ銭で高額を稼ぎ出すケースが多数報じられている。
利用制限措置以外に、TikTokでは未成年者に不適切なコンテンツに対してフィルタリングを行っている。快手は未成年向けコンテンツのレイティング組織を発足させた。さらに、各アプリではビッグデータを活用してユーザーの利用履歴を分析し、未成年のユーザーに対し、自動的に利用制限システムを起動させる。
今のところ、ソーシャル動画が若者に及ぼす影響については、ゲームほど非難の対象にはなっていない。今回は弊害が拡大する前に先手を打ったかたちだが、今後は商業的利益と社会的責任の両立が課題となってくるだろう。しかし、ユーザーの多くが若年層である中、本来のコンセプトから外れた優等生的なコンテンツを並べても、ユーザー離れを引き起こしかねない。

まとめ/考察

・Tiktokがただのトラフィックツールから、本気で上場を狙って、ECなどマネタイズのチャネルを増やしてきている。
・コンテンツの質向上のために、アーティストや映画系との提携も増えている。
・反面、ソーシャルコンテンツという部分での規制が厳しく、伸び悩んでいる。
⇒今後、どう規制のなかで、ポジショニングをしていくのかに期待。

おまけ ひま部

⇒日本のソーシャル学生コミュニティ

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