ベトナムの焙煎士、バリスタとの交流。そして、トライ~ベトナム渡航記2023
前回のnoteで書いたベトナムのロースターの競技会のチャンピオンとの出会いが、思いもよらぬ幸運な体験に導いてくれました。
コーヒー農園のある中部高原地帯をあとにして、ホーチミンに戻った僕たちの元へ一本の連絡があり、チャンピオンである彼のロースタリーを訪れることができることになったのです。
コーヒー屋でありロースター(焙煎士)である前に、僕は一人のコーヒー好きなので招待されずとも彼のお店に押しかけようと思っていました(笑)だって、飲んでみたいじゃないですか。チャンピオンの焙煎したコーヒーを。
ちなみに彼の受賞の経歴は
すごいですよね。コーヒーに詳しくない方にはイメージしづらいかもしれませんが、こういう競技会というので優勝するためには並大抵の努力では足りません。多くの人間が"そこを"目指し、切磋琢磨します。まさに激戦です。
僕たちが訪れさせてもらったロースタリーは、焙煎所ともにコーヒートレーニングルームが設置され、現地のバリスタやロースターがいろんな話をしながらトレーニングをしていました。その雰囲気は、とてもアカデミックそのもの。コーヒーは科学。数字、データに基づいて、さらなるおいしさを求めて、試行錯誤を繰り返します。サイエンティフィックです。
あまりのかっこよさに、僕は上の写真のように間抜けた顔をしてその雰囲気に飲まれています(笑)これが一流のロースタリーか!と。
現地バリスタが淹れてくれたファインロブスタ100%のエスプレッソは、めちゃくちゃおいしかった。クレマは、シルキーでクリーミー。まったくザラつきのない味わいにも関わらず、しっかりとコクがあり、後味にはキャラメルような甘さとベリー感のある酸味を感じられまったくしつこさを感じないエスプレッソ。いやーすごい!と感嘆しっぱなし。
そのエスプレッソを楽しみながら、しばしチャンピオンとの会話を楽しんでいると、ふとチャンピオンから「日本のバリスタの淹れたコーヒーを飲んでみたい」とのリクエスト!!
まがりなりにもTHE MIDFLOW coffee roastという我が店舗でコーヒーを毎日淹れているわたくし。ここはいっちょやってみるか!ということで、みなさんの前に立って、ブリューをやってみました。
"やってみました"なんて、気軽に書いてますが心臓はバクバクもんでした。
だって、その場でやって飲んでもらうというのは、「評価の対象」になるわけですから。「あいつたいしたことねーな」って思われてしまう可能性もあるわけですから、そりゃビビらないわけはないです。
でも、僕は自分の行動指針として一つの「決め事」をしているんです。
それは「ビビったらやる」というもの。この行動指針は、かつてお世話になった方に教わったものです。「ビビってもやる」なんて根性論ではなく、「ビビったらやる」という条件論です。「あービビるなぁ。ん〜やってみようかなぁ、どうしょうかぁ」なんて考えるまでもなく、「あービビってんなぁ。よし、やるかぁ」的な感じです。ビビるということは、そこにはハードルがあるわけで、そのハードルを超えることができようが、引っかかってしまおうが、まずはそこにトライをすることで"さらに進んだ景色"を見られることは間違いがありません。だから、いつもどんなときも「ビビったらやる」。この行動指針を繰り返したおかげで、僕は「THE MIDFLOW coffee roast」というお店を開業することができました。
チャピオンからの「コーヒー淹れてほしい」リクエストも、この行動指針によってトライ!!
最初は、ファインロブスタの抽出。これは、当店でも取り扱っていますし、チャンピオンの焙煎プロファイル(レシピ)は僕とほぼ同じで、焙煎具合もほぼ同じだったのでいつもどおり抽出をしました。チャンピオン、現地バリスタも「so sweet」と称えてくれました。
2回目の抽出からは浅煎りのコーヒー豆にトライ。これは、当店では取り扱っていないくらいの浅煎り。いつもとやり方を変えてしまうと、フィードバックも生きないかもしれないといつも同じやり方でトライ。抽出し終わったコーヒーを自分で飲んでみると、酸味が強すぎると感じました。よく言えば、豆の特徴を出せていると言えますが、それでもこれは「too acidity」です。現地バリスタたちも「ふぅむ・・・」みたい表情。
それそれ!その表情待ってたぜ!と僕は思いました。成長するために必要不可欠なもの、それは「ダメ出し」です。ダメを出されてこそ、修正、訂正、そして、成長が望めます。もちろん「これはダメだな」という表情をされると、少しは傷つきますよ。でも、僕はその場で"表面的に"社交辞令的に褒めてもらうよりも「ふぅむ・・・」みたいな遠慮のない表情の方がありがたいんです。これでこそ、決して少なくはないお金を支払って、航空券を買って渡航している甲斐があるってもんです。
現地バリスタの女性が、「私が抽出してみるから、見てみて。」と実演。実はこの女性、チャンピオンの彼女!かわいい!にくいぜ!チャンピオン!(笑)
彼女淹れてくれたコーヒーは、お世辞抜きにとてもおいしかったです。まさに「so sweet.」。彼女の素敵なところは、自分で自分が「これがいい!」と思う自分オリジナルの「抽出レシピ」を構築しているところです。この1回目の抽出が終わった後に、「アラビカとロブスタのブレンドコーヒーも試してみたいですか?」と聞いてくれたので、「もちろん!」と答えて彼女の抽出を見ていたのですが、まさに度肝抜かれる彼女オリジナルのレシピ!その方法があったか!と驚きました。
彼女のは「アラビカのさわやかな酸味と、ロブスタのコクのある甘みを存分に生かすためにはどうしたらいいんだろう?と何度も何度も試行錯誤をして、このレシピに辿り着いたんです。」と話してくれました。そして、淹れてくれたそのブレンドコーヒーを飲んでみると、さらに度肝を抜かれました。「うっま!」と思わず日本語で彼女に伝えてしまうくらいの衝撃でした。彼女のいうとおり、アラビカの良さとロブスタの良さが存分に表現されていました。めっちゃおいしかった。彼女はとても太っ腹で、信じられないことに、そのレシピを僕に何の躊躇もなく僕に教えてくれたんです。しかもメモまで書いて。彼女の汗の結晶を何の躊躇もなくそんなふうに共有してくれたことに、僕はリスペクトの気持ちでいっぱいです。これを活かして、僕はTHE MIDFLOWというお店の味作りに精を出したいと思います。感謝!!
そのあともさらにびっくりの展開で、チャンピオンから「焙煎もしてみない?」と言われて、なんとチャンピオンに見られながらの焙煎。これも緊張するっすよね〜(笑)
仲良しの大阪のコーヒー焙煎所「N2@珈琲中毒製作所®️」のなっちゃんと二人で、彼の使っている焙煎機で焙煎体験。彼も太っ腹で、彼の焙煎プロファイル(レシピ)を共有してくれたんです。そんなことって考えられないことですよ、普通。上記で、僕と彼の焙煎プロファイルがほぼ同じだというのは、そんなふうに見せてもらっていたのでわかったことでした。
いつもと違う焙煎機だと、やはり勝手がちがうのでやりづらくはありましたが、チャンピオンの焙煎への準備の様子などが見れたので本当に勉強になりました。
僕は、体系的になにかを勉強するというのは、どちらかというと苦手なタイプの人間です。でも、こんなふうに同じ業界の人たちと交流することで、まさに血の通った知識や技術、そしてそれぞれを想いに触れて、それを自分の血肉としています。異国の地で、さらにベトナムというコーヒーの生産地において、より高みを目指そうとして、日々努力を重ねて額に汗をしている彼、彼女たちの交流をさせてもらえたことは、とても貴重な体験で、生涯の思い出に残るものでした。
こんなふうに、現地のロースター、バリスタが僕たちにここまでの好意的なことをしてくれたのは、ファインロブスタを誕生させベトナムコーヒーに革命を起こしたFuture Coffee FarmのToiさんの存在、そして、数年にわたって、ベトナムのハイクオリティコーヒーを広めるために、日本へのコーヒー豆の輸入だけにとどまらず、様々な方面での交流を重ねてて、いろいろな形で尽力を重ねてきた(株)8coffee roastの黒田吉範社長が築き上げてこられた「信頼」のおかげです。
現地のロースター、バリスタへの感謝と共に、Toiさん、ハチさん(黒田社長)へのお礼も申し上げます。ありがとうございます!!
THE MIDFLOW coffee roastは、今後もToiさんのFINE ROBUSTAを始めとするベトナムのハイクオリティコーヒーを世に広めるために、尽力を重ねたいと思います!
下の写真は、現地ロースタリーのアカウントで僕たちが紹介してもらってものです。これからも日越友好!
Good Coffee! Good Life!! and Good World!!!!
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