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我が家にはもう石炭がありません。ドビュッシー最後の一年

 「ドビュッシー最後の一年 青柳いづみこ著」を読みました。

 昨年2018年は、ドビュッシー没後100年のメモリアルイヤーだったのに〜ああ〜なぜ、ドビュッシーを深めなかったんだろう。
 この本を読んで後悔しました。

 去年は、生誕100年のメモリアルイヤーのレナード・バーンスタインが好きすぎて、彼の自曲演奏会にはかなり足を運んだりして深めているうちに、1年が終わってしまいました。

 ドビュッシーさん、ごめんなさい。

 この本では、55歳で生涯を閉じたドビュッシーの最後の一年に絞って、手紙や日記などをもとに偉大な作曲家の終活を描いています。

 ドビュッシーといえば、僕が中学生の頃、ピアノを習っていた妹が家で、ピアノ小品「夢」を練習していたのが出会いでした。幻想的なメロディを繰り返し聴かされているうちに、いつしかドビュッシーにはまっていきます。
 初めて買ったアルバムは、女流ピアニスト、モニク・アースさんのドビュッシーのピアノ作品集でした。
 YouTubeあったのでのせておきます。
 1曲めが「夢」ですね。素晴らしい演奏です。

 それにしても、ドビュッシーは、死の最後の年、石炭を買うお金がなかったようです。
 この年、パリは大寒波に見舞われてマイナス15度を記録したといいます。それに直腸がんにもなって、ドビュッシーの残した名曲の数々をみれば、現在までどれほどのお金を生み出したでしょうか。
 どれだけの音楽家を食べさせてきたでしょうか。
 
 現代なら、ネットを通して、世界中から石炭が届いていただろうに、なんともやるせない気持ちになります。

 それでも、石炭が買えないことによって、最後のピアノ曲ができてしまいます。

 そのところの本文載せます。

 「私の小さな娘はあなたの手紙に狂喜していました。我々の時代には、少女たちは人形よりも石炭の袋を好むのです」(二月一日)「気温は下がり……我が家にはもう石炭がありません。必要に迫られてお願いするのですが、できるだけ早くお送りいただけませんでしょうか」(三月十六日)
 トロンカンという石炭商に宛てた何通かの手紙を見ると、この状態が数週間続いたことがわかる。しかし、病気(直腸癌)で仕事のできないドビュッシーには、石炭を買うお金もなかった。
 音楽が好きだったらしい石炭商は、作曲家の窮状を見かねて、では、私に何か曲を書いてくだされば石炭を持ってきましょうと提案した。
 ドビュッシー最後のピアノ曲『石炭の明かりに照らし出されたタベ』はこうして生まれた。

 ドビュッシー最後の一年 青柳いづみこ著 P29より

 現代でも多くの人達に愛される名曲の数々を生み出した、大作曲家の最後の一年が悲しすぎます。それでも、ドビュッシーが石炭が買えなかったために生まれた最後のピアノ曲聴いてみたくなります。

 今は、読書しながら、すぐにネットから曲を聴くことができて便利です。

 それでは、ドビュッシー最後のピアノ曲『石炭の明かりに照らし出されたタベ』聴いてみましょう。


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