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ニシエヒガシエ(短編小説『ミスチルが聴こえる』)
【AM10時。大阪】
「なあ、猿」
「どうした、雉子」
「俺、ラーメン食いたい」
「なんの?」
「とんこつ」
「じゃあ、博多のラーメンがいいな」
「よし、行くか」
【PM1時 福岡】
「美味かったな、猿」
「ああ、めっちゃ美味かった。やっぱり本場は違うな」
「俺、デザート食いたい」
「なんの?」
「メロン」
「じゃあ、北海道がいいな」
「よし、行くか」
【PM5時 札幌】
「札幌に夕張メロンのパフェがあってよかったな、猿」
「ああ、やっぱり北海道といえば夕張メロンだよ」
「俺、夜景がみたい」
「夜景?」
「そうそう。どうせなら大都会がいいな」
「じゃあ、東京がいいな」
「よし、行くか」
【PM9時 東京】
「綺麗だなあ、猿」
「俺、東京タワー初めて登ったよ、雉子」
「そうか。実は俺も初めてなんだ」
「しかしどうする。勢いでいろいろ回ったけど、俺たち大阪に帰れなくね?」
「そうだな。飛行機も飛んでないし、新幹線もちょっと厳しいか。だとしたら、あいつに連絡して家に泊めてもらおう。たしかあいつ、埼玉に住んでいるって話だったから」
「まじか、助かるわ」
【PM11時 埼玉】
「っていうわけで、俺たちを泊めてくれ、犬」
「お前ら、暇な大学生か」
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