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アオマスの小説

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どんな一面にも些細な物語が存在する。それを上手に掬って、鮮明に描いていく。文士を目指す蒼日向真澄によって紡がれる短編集です。
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#2000字のドラマ

『日常的ランドスケープ』(6畳部屋の片隅にて) (2000字のドラマ応募作品)

 わたし、彩りがある景色って、当たり前の光景だと思ってた。だけど違うんだね。輝く太陽がモ…

蒼乃真澄
2年前
6

『芋虫が笑う』(6畳部屋の片隅にて) (2000字のドラマ応募作品)

 雨が降っている。それは日常茶飯事で、日常のたった一面に過ぎない。 「お前、虫が嫌いだっ…

蒼乃真澄
2年前
9

『照、闇に包まれし桜吹雪』

「今夜も月が綺麗ですね」  美智さんが囁く先には、まん丸としたお月様が僕たちを見守ってい…

蒼乃真澄
2年前
7

『浮上』(2000字のドラマ応募作品)

 あざとい君が僕の現を輝かせるのなら、引き算をしてもゼロ地点を突破することはないだろう。…

蒼乃真澄
2年前
12

『バースデイ』(2000字のドラマ応募作品)

 もう、二十四か。いや、まだ二十四しか生きていないのか。時々、自分の年齢が分からなくなる…

蒼乃真澄
2年前
10

『サヨナラのメロンパン』(2000字のドラマ応募作品)

 秀人が突然転校したから、僕らのバンドは呆気なく解散した。 「あいつ、なんで福岡に行った…

蒼乃真澄
2年前
8

『ちょっとの優しさが欲しいのよ』 (2000字のドラマ応募作品)

「レジ袋おつけいたしますか?」  どっかの誰かが有料化したせいで、また一つ手間が増えた。そして悪い連鎖が起きる。 「エコバック持ってるからいらねえよ」  しょうがない。この国はマニュアルで出来ているのだから。俺はにっこりとした笑顔で、 「失礼いたしました」  と動揺せずに受け流す。  別のお客さんは苛立ちながらこんな言葉を吐きかけてくる。 「いつもいつも同じこと聞きやがって、喧しいわ!」  そんなことはこっちが一番知っている。俺もあんたに同意するが、不自然なくらいの微笑みと甲

『落日』 (2000字のドラマ応募作品)

「俺、お前の分まで頑張るから」  日が落ち始める夕暮れの空の下、僕と真島は二人で花壇の縁…

蒼乃真澄
2年前
12

『道端の向日葵』(2000字のドラマ応募作品)

 逃げ水が見えるほど、灼熱の日照りが差す盛夏。長袖を羽織っていた半年前など記憶の片隅にも…

蒼乃真澄
2年前
12

『それでも』(2000字でドラマ応募作品)

 人と縁が切れるって、どうしてこんなに心が痛むのだろう。僕と華奈のラブストーリーは、あっ…

蒼乃真澄
2年前
6

『教科書には載っていないけど』(2000字のドラマ 応募小説)

 歴史の教科書を開くと、人間が犯した悪事と、数々の民が苦しんできた現実を目の当たりにする…

蒼乃真澄
2年前
36

『若林の全て』(2000字のドラマ 応募小説)

 その男はヒョロリとした身体で、トイプードルの毛みたいに髪がうねっている。本人曰く、「ノ…

蒼乃真澄
2年前
9

『学食』(2000字のドラマ応募小説)

「なあ、真澄。突然だけど、あそこにいる瑠璃さんが何を頼むか、予想しようぜ」  昼休みの学…

蒼乃真澄
2年前
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