六徳(りっとく)

なんかいろいろやってる人

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動画編集で考えてることとか書いてみる

ありがたいことに動画制作のご依頼を頂くことがあります。本当にうれしい。どしどし受付中ですので、動画をご用命の方はTwitter(現X)か、つなぐからぜひお気軽にご依頼ください。(宣伝) さて、先日ご依頼いただいた動画が無事納品・公開と相成ったので、備忘録的に「何を考えて制作したか」を書いておこうと五か月ぶりにnoteにやってきました。 本件の動画はこちら。オリジナルTRPGシステムの紹介宣伝用ムービーです。 画像素材や挿入文などのご指定は頂きましたが、全体の構成はこちらの

    • ボウルにバスタブ

       そりゃ最初はビビったよ。朝起きたら自分の体が生クリームになってんだもん、普通ビビるでしょ。  なんかあれだっけ、そういう小説なかった? 起きたらキモい虫になってたとかいうやつ。「変身」? そうそうそれ。  でもさ、あたし生クリームよ。虫よかマシじゃん? て思わん? 形はあたしのままだし、手で触ってもクリームがあちこちにベタベタ付くとかもないしさ。  いやマジでそれな! こないだ染めたばっかの髪が真っ白になったのはマジで納得いってない! ヘアカラーだってタダじゃねーんだっつ

      • 凪の歌を知る者よ

        「見つけた、泣き虫」  イチヨが声をかけると、バンデは涙と鼻水まみれの顔をのろのろと上げた。  村はずれの土手、いちばん夕焼けが綺麗に見えるこの場所は、バンデの定位置だ。百発百中とまではいかなくとも、十中八九くらいはここにいる。イチヨはちり紙を差し出してやりながら、バンデの隣に腰を下ろした。 「飽きもせずよくやるね」 「……イチヨが、わるく言われるのに、慣れることなんて、ない」  ちり紙で乱暴に擦るものだから、バンデの顔は空より赤い。  先生に拾われてからの半年間、ハルナ

        • 【オリジナル短編】さよならスタンドバイミー

          友人主催の性癖シャッフルアンソロに寄稿したものです。主催は「本を作ったあとの原稿は好きにしていい」と言ってくれており、せっかくなので公開することにしました。私が引いたお題は、 「大人びた少年と平凡な少年(小5から中2が特に良い)が二人で大人に近づこうとする」 です。ぴん、とこられましたらごゆるりとどうぞ。 --------------------------------------------------------------- さよならスタンドバイミー 食べて遊ん

        動画編集で考えてることとか書いてみる

          ルック・アット・ミー、マイ・マスター!!◆本文サンプル#1

          ブラックドラゴン×シャドウウィーヴ小説本のサンプルです。 にんかくでは文庫サイズ(本文164P)での頒布となります。 # 1 【リアル・ドリーム】   幸福だった。   ここには自分と相手しかいない。この場どころか、世界中にたった二人だけの心地すらする。夜の闇を全て抱え込んだかのような瞳は、まっすぐに自分を向いていて、自分は臆することなくそれを見つめ返す。その闇にいっそ飲み込まれてしまいたい。夜空に溶けて、彼とひとつになるのだ。それはとても良い考えに思えた。  手

          ルック・アット・ミー、マイ・マスター!!◆本文サンプル#1

          どこにでもある出会いを、どこかの君と◆本文サンプル

          フィメール時空のユンレイ本サンプルです。  行き交う人々は自分の足元など気に留めない。例えばうっかり躓きかけたときなんかに、ようやく視界が下にぶれる程度だろう。そうでなければ、自分もそのまま見逃していたはずだ。  無邪気なエレメンタリー・スクール生の群れにぶつかられ、ユンオは足がもつれそうになったのをなんとか踏みとどまった。その勢いで頭が地面に向いたとき、ユンオの両目に、黒い小さなメモパッドが写り込んだ。  体勢を整えたユンオはメモパッドを拾い上げ、サイバネアイを回転

          どこにでもある出会いを、どこかの君と◆本文サンプル

          ニューロンの速度より遅い会話◆本文サンプル

          「ニューロンの速度より遅い会話」収録の【美と愛の話】【花と星の話】【舞と詞の話】【私と俺の話】より、前半二本のサンプルです。 【美と愛の話】 「そのフード、取って」  唐突な命令に影はきょとんとし、それから常時かぶっている装束のフードを後ろに払った。さしたる手入れもされていない黒髪がばさりと散らばる。これがどうしたかと尋ねようとして、じっとこちらを見つめる皇女の真剣な顔に、影は思わず言葉を詰まらせた。そのまましばし互いに沈黙したのち、おもむろに皇女は口を開いた。 「

          ニューロンの速度より遅い会話◆本文サンプル