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日伊通訳者の地獄名所5選

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

通訳者として問い合わせがあり新たな仕事を頂く事は、とても嬉しく喜ばしいことだ。だが、その気持ちは5秒と続かない。その後は地獄の始まりなのである。

お引き受けするにあたり準備、交渉、条件(追加料金やキャンセル料や延長など)が次々と迫ってくる。その中で資料の提供、スケジュールの流れ、移動先の確保をしながら具体的な通訳としての動きが始まる。

イタリア語の資料の場合、見て一瞬で不安が滝のように流れてくるが、準備を進めていくうちに分からなかった専門用語も理解できるようになっていき少しづつ楽しさを見出すことができる。そこからなんと、新たな地獄に飲み込まれていく。第2の地獄だ。日本側の追加資料やプレゼンの翻訳依頼が舞い込むのである。日本の担当者とやりとりを進めていくうちに、少しづつ距離感が縮まりいつしか信頼感が生まれる。そんな時に担当者が「海外出張へ行くので連絡は新たな担当者(担当者の上司)にお願いします」の連絡がくる。お気づきだろうが、これが第3の地獄の始まりである。

ある日、別件で横浜出張に行っていた時、新担当者から「日本側とイタリア側の社長同士のビジネスディナーの通訳をして欲しい」と依頼があった。早速、第4の地獄が始まる。

事務的なやり取りがやっと終わったと思いきや、また追加で作り直さなければならない。ディナーの細かい内容や流れを確認した際は、1番の強敵が現れて精神的な不安やストレスが再度爆発する。「内輪ネタ」である。社長同士の共通の話題、知り合い、思い出などの話が出た際は、僕は何も分からないし考えが追い付かなくなってしまう。

ツイートを見て頂けると分かるように、当時の緊張感や不安が見て取れる。

社長同士のディナーなのでよく言われるのが、高級な料理を食べることができて羨ましいというような言葉だが、言うまでもなく通訳中は食べるか話すか、両方は出来ないし失礼。社長は気を遣って、「食べて」と言われるが、食べ始めた途端に会話がスタートし僕の見えない地獄がまたスタートする。これが第5の地獄だ。

無事何事もなく終わったとしても安心はできない。いくら「またよろしくお願いします」と言われたとしても、社交辞令であることが多い。本当に良い内容だったかは分からない。本当にいい通訳ができたと安心できる瞬間は、同じお客様から依頼が来た時である。リピートとは、良い通訳者の証拠なのだ。

通訳者とは一見端から見ると、外国語がペラペラでかっこよく高給が取れる楽な仕事と思われがちだが、実は不安なことやプレッシャーに押し潰されそうになったり、案件ごとに今までのことがゼロからのスタートになったりする。毎度毎度、新たな「地獄」に踏み入れなければいけない、それが「通訳」という仕事なのだ。

地獄名所を観光したい方は是非、通訳者への道へどうぞ。


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