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フォークの存在を日本人に聞いてみた話

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

イタリア生まれ育ちの僕は、子供の頃からフォークを使うのが当たり前だった。そんな僕はフォークの存在を深く考えたことがなくて、来日してから少しずつフォークの新発見をしていった。
イタリア料理は自由さがある中で、食器の決まりが非常に強い。そのルールを守らないと、多くのイタリア人は文句や違和感が出てくると思う。実は僕も来日した最初の頃はそうだった。15年間をかけて、フォークに対する本当の大切さがやっとわかってきたと思う。

Twitterで皆さんに「パスタを食べる時に使うもの」を聞いてみた結果が面白かった。多くの日本人の使い方と感覚に、僕も近かったのが驚きだ。食器の自由さを感じるようになった。

投稿してくれた人は13,000人以上、リプは102件。ということは、日本人にとっても、日常生活に食器の大切さを感じられる。
イタリアと日本の面白い食文化の共通点は「麺を食べる」こと。その中でパスタは日本人も作ったりアレンジしたりするから、自宅でもイタリアを楽しめる。
イタリアではパスタといえば、フォークのみ。スプーンを合わせて使うのは、実は子どもだけなのだ。

ここで、イタリアと日本の面白い共通点を発見した!

イタリアの子どもはフォークだけでうまくスパゲッティーのようなロングパスタを食べることが難しい。スプーンを合わせて使うことで、食べやすくなっていいバランスを取れるようになる。
このようなことは実は日本にもあるけど、フォークではなく、お箸だ。日本人の子どもも最初からお箸をうまく使えないから子ども用矯正箸から練習している子が多い。

パスタを食べるときに、フォークかお箸か、フォーク&スプーンか。正解はない。自分らしくその料理を楽しめるような形で食べた方が、最高の時間になると感じている。僕はパスタとそのソースによって、使う食器が自然に変わる。リプ欄を見て、食べる自由さが伝わってきてほっこりした。

外食か自宅か、イタリアンか和食か。使う食器を変えたくなる理由はやっとわかってきた。和風パスタのお店に行くと、お箸で食べたくなる。ショートパスタならスプーンの方が楽。家なら日常生活の流れで、お箸で食べるかフォークで行くか。

イタリアではその料理の食べ方と食器の決まりがあるけど、日本では感じたのは場所によって食器の使い方が変わるということ。例えば、コンビニのパスタ、洋麺亭、イタリア料理店など。それぞれの雰囲気と感覚が知らないうちに変わるから、体が勝手に食器を選ぶ。
僕はコメダのナポリタンをお箸で食べるのが好きだけど、名古屋の鉄板ナポリタンはフォークの方が美味しく感じられる。
パスタのようなうどん、ラーメン、そばなどはどうしてもお箸で食べてしまう。もしフォークで食べたら美味しさが落ちると思うし、日本の食文化も楽しめない。

日本のスタイルは、その場に出た料理に合わせて食器を変えるということをイタリア人にも教えたい。やってもらいたい。仕事でイタリア人のお客様と、日本でイタリア料理店に行ったときに、お箸でパスタを食べている日本人を見て「考えられない!」という言葉が珍しくないからだ。

Twitterで出したアンケートはフォークが60%以上だけど、絶対フォークで食べるということでもない。両方を使い分けている印象だ。
同じことをイタリア人に聞いたらおそらく、95%以上の人はフォーク以外の選択肢がないと思う。

もう一つの大事なポイントは、周りの人に見られても文句などを言わないということ。イタリアで大人がフォーク&スプーンを使って食べていたら、変な人だと思われることが多いと思う。イタリア料理は美味しいのに、このような硬いルールがあって、今の僕は残念だと感じる。

フォークでものを刺すことより、お箸で優しくものを取って口に運ぶのが好きだということで、日本の食文化とその発祥から離れられなくなった。

日本の食文化の中にある自由さのおかげで、料理の楽しさがより一層膨らんで、僕の毎日をより美味しくさせたのだった。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。