新谷雅先

新谷雅先(しんたにまさき) 昭和32年福岡県くきなみ村生まれ。詩やエッセイを書いて、今…

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新谷雅先(しんたにまさき) 昭和32年福岡県くきなみ村生まれ。詩やエッセイを書いて、今世を遊んでいます。ここでは高校時代から作っている詩や歌を紹介しています。日記は⇒ https://blog.goo.ne.jp/shinta1488/

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【music】湖上

中原中也の詩『湖上』をイメージして作った曲です。

    • 修学旅行

      秋風の吹く晴天の富士スバルラインを バスは軽快に登っていく。 バスガイドの説明そっちのけで ぼくたちは好き勝手に歌をうたう。 誰かが『岬めぐり』を歌っている時、 窓から湖が見えてきた。 それが思い出のひとつになった。 白糸の滝で濡れながらの写真撮影。 他のクラスの記念写真に 霊の手が写っているとわかったのは、 修学旅行が終わって数日後のことだった。 とりあえずその時は滝に濡れた記念撮影、 それが思い出のひとつになった。 修学旅行生がおみやげ屋に殺到し、 どこにでもあるよう

      • バナナランド

        ぼくは毎日、弁当と一緒に バナナを持っていっている。 休日にスーパーに行っては 数本買い込み、その保存を それほど日の射し込まない 北寄りの部屋でやっている。 さて、毎日バナナを弁当と 一緒に持っていっているが 週のうち何日かは忙しくて 昼食をとれないことがある。 そんな日は手をつけないで そのまま家に持帰っている。 食べなかったバナナは再び 日の射し込まない北寄りの 部屋に持込んで保存しては 翌日それをまた持っていく。 だが、翌日も食べられない ということがしょっ中ある

        • 【詩】愛という名の貸借表

          愛という名の貸借表には、 資本がとても大切なのです。 その大小によって愛の資産は 大きく変わってくるものなのです。 お金の話ではありません。 愛情の深さでもありません。 人の心の豊かさが愛という名の 貸借表の資本なのです。 見た目が悪くてもいいのです。 理想と違ったっていいのです。 ただただ心を豊かに保っていれば 自ずと愛の資産が増えるから どんな状況におかれても 夢を見ていけるものなのです。

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        【music】湖上

        【music】湖上

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        記事

          ご近所様の声

           以前近所にあった居酒屋は、いつもお客の入りが悪かった。まったくお客のいない日もあり、そういう時は決まって大将が、三十メートルほど先にある焼き鳥屋の前まで行き、腕を組んで窓の外から店の中を覗いていた。そして時々「チッ」と舌打ちする。おそらくその焼き鳥屋に、お客を取られたとでも思っていたのだろう。  だけど、ぼくたちご近所様は知っていた。焼き鳥屋がお客を取ったのではなく、お客がその居酒屋を好まないのだと。いや、居酒屋を好まないのではなく、その居酒屋の大将を好まないのだと。

          ご近所様の声

          【詩】お惣菜

          スーパーで売っているお惣菜が すぐになくなってしまうのは、 決してそれが「うまい!」 という理由ではなくて、 値段がそこそこ安いからだ。 実はそこに並べてあるような お手軽で脂っこい食べ物くらい、 ちょっとばかり料理を かじったことのある人なら 誰でも作ることは出来るのだ。 だってそうでしょう、 それらお惣菜を作っているのは ガチガチのプロではなくて、 時給何百円で雇われた近所の おばちゃんたちなんだから。 それなら買う必要もないのだが 作るとなると手間暇がかかり 煩わ

          【詩】お惣菜

          もう一人の自分

          自分の心をどこまでも掘り下げていけば 別の人間にたどり着くのではないか と常々ぼくは思っている。 時々こういう夢を見ることがある。 現実とはまったく違った環境の中で 生活している夢だ。 なぜかその内容がえらく現実味を帯びていて そこでの生活が自然に感じるのだ。 その中に登場する人物も 現実では知らない人ばかりだが 夢の中ではえらく親しく懐かしい。 そういうことをぼくは 夢の中だけで体験しているのではない。 ちょっと瞑想している時にだって体験している。 ふと気づけばそこの人

          もう一人の自分

          【詩】自由

          70年頃に流行った言葉の一つが 「自由」だった。何でこの言葉が 流行ったのかは知らないが周りは 事あるごとに自由を主張していた。 深夜ラジオの影響もあって、当時 中学生だったぼくも時代に便乗し 何かにつけて「自由、自由、自由」 と連発して口にしていたのだった。 もちろんそこに思想などはなくて 自由という言葉を口にすることで 時代の最先端にいるように思えて 自分の中でカッコよかったのです。 迷惑していたのは父さん母さんで 何かにつけて「自由、自由、自由」 と言う青二才を相

          【詩】自由

          頑固な婆さん

           物心ついた時から40歳までの間、ぼくは県の団地に住んでいた。  その団地、ぼくが社会に出るまでは二階長屋だったのだか、社会に出た頃に、建物の老朽化ということで、高層団地に建て替えられることになった。  それに伴い、建て替えるまでの約1年間、近くの市の高層団地で生活することとなった。その高層団地は13階建てで、出来て間もない団地だった。県住住民には、10階から13階までが割り当てられた。  そこに一人、わがままなばあさんがいた。 「私は足が悪いから、そんな高いところでよう

          頑固な婆さん

          【詩】健康診断

          機械がぼくの将来の死因を探っている。 検尿、血圧、採血、バリウム、心電図、 レントゲン、問診、再び血圧血圧血圧。 この数値、血圧がどうたら、こうたら。 これは高い。やれ脳梗塞だ心筋梗塞だ。 お医者様お医者様大丈夫ですよ大丈夫。 わたしゃこんなことでは死にはしない。 死ぬのは昔から老衰と決めております。 深呼吸して眠るようにして逝きますよ。 だからお医者様大丈夫。大丈夫だから、 わたしの命にかかわらないで下さいな。

          【詩】健康診断

          印象

           たとえば深夜、街が寝静まっている時に一匹の猫の子が鳴いたとしましょう。これが妙に心に響くのです。昼間、喧噪の中で重大な事件があったとしても、人にはその声の方が一日の印象として残るものなのです。  仕事でも同じことでしてね、会議が行き詰まって誰も発言が出なくなった時に、意見を吐く人がいたとしましょう。そういう意見は大体が下らん意見だったり、誰かの意見の受け売りだったりするわけですが、人々の印象にはその人の意見が残るのです。いや、その人が残るのです。結局そういう人が勝ち組なっ

          【詩】公園仁義

          公園に数羽のスズメがいた。 何かをひろって食べていた。 スズメの周りにハトがいた。 何かをひろって食べていた。 一羽のカラスがやって来た。 スズメは慌てて飛び去った。 ハトはトコトコ遠ざかった。 カラスはそこにいすわった。 新手のカラスがやって来た。 いすわるカラスを威嚇した。 カラスはカァと逃げ去った。 新手のカラスは追いかけた。 あたりに誰もいなくなった。 ハトがトコトコ戻って来た。 空からスズメも戻って来た。 遠くでカラスが鳴いている。

          【詩】公園仁義

          どつちもどっち

          スマホで調べものをしている時に 同世代と思しき方が近づいてきて、 「見えるんですか」と言うのです。 『おかしな人だ』と思っていると、 同世代のぼくがメガネもかけずに スマホの細文字を見ていることが 羨ましく思えて声をかけたんだと。 六十を超えた今もスマホの文字は 見えるのですが、遠い所の文字が ダブって見える、ぼくは乱視モノ。 これはこれで大変なのです。故に 悲観することないですよ、ご同輩。

          どつちもどっち

          【詩】秋の夜

          夜の竿は 星を刺し さてここいらで泣きましょか 暗い街に 影を刺し つゆなかけるな 深い雨 裸電球 闇に濡れ 過ぎし光を 追いまする しだれ柳 風に揺れ 落ち葉ひらひら 終列車  うっすら三日月 闇に浮かびます  弱った体が 街に陰ります  犬の遠吠え 闇に響きます  疲れた声が 街に狂います 夜の竿は 星を抜け さてここいらで やみましょう 暗い街に 影を抜け つゆなかけるな 通り雨

          【詩】秋の夜

          趣味の欄

           若い頃、就活をしていた時期に、いつも困っていたのが履歴書にある趣味の欄だった。当時やっていた『作詞』『作曲』などと素直に書けばすんだ話なのだが、「作詞や作曲は趣味ではなく人生だ!」などと変な方向に考えてしまって、その趣味の欄だけがなかなか埋まらないでいた。  そこで仕方なく、ありふれた『読書』と書こうとするのだ。しかし『読書』と言っても、誰もが読んでいるような小説などを読んでいるわけではない。主にマンガを読み、気が向いたら軽い人文書を読む程度だ。だから面接の時に、 「好き

          【詩】せわしい道

          ここからこの道を歩いて行けば、 ずいぶん近道になるのだけれど、 ぼくはあえてこの道を歩かない。 別に車が多く通る道ではないし、 舗装してない砂利道でもないし、 とくに霊が集まる道でもないし。 でも直感とでもいうのだろうか、 なぜだかこの道は気が進まない。 気持ちが晴れてくれないのです。 だから倍の時間をかけてぼくは、 どの家も大きな犬を飼っている、 せわしい道を歩いているのです。

          【詩】せわしい道