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【詩】確かに今でも君はぼくの中にいる

あれは高校一年、
国語の授業の時だった。
何となく後ろを振り向くと
君がぼくを見ていた。
その時からいくつもの歌を
君のために作った。
だけど君にその歌を
聞かせることもなく。
 時は過ぎて行った、
 ドラマなど起こらないままに。
 だけど、
 確かに今でも君はぼくの中にいる。

高校二年の秋、
ひとりで校庭を歩いてた。
その時君が現れて
ぼくに話しかけた。
ぼくは何と言っていいのか
わからず言葉を伏せた。
あれが運命の
分かれ道だったと思う。
 それ以来君と話すことに
 ためらいを感じてしまった。
 だけど、
 確かに今でも君はぼくの中にいる。

高校三年の冬、
帰りのバスを待っていた。
向かいのバス停で
君がバスに乗るのが見えた。
ぼくはバスを目で追った。
君の姿を探した。
その時目に映った君は、
ぼくを見ていた。
 それが君の最後の
 さよならだったと思う。
 だけど、
 確かに今でも君はぼくの中にいる。

あれから何年経っただろう、
同窓会に君がいた。
少し髪を伸ばした君が
ぼくを見ていた。
今は遠くの空で
幸せに暮らしているという。
そして今でもぼくは
君の歌をうたう。
 時は過ぎて行った、
 ドラマなど起こらないままに。
 だけど、
 確かに今でも君はぼくの中にいる。

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