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あなたは自分の名前が好きですか?

私は自分の名前が好きになれずに40数年生きている。
自分の名前が気に入っていると言う人に出会ったり、両親が想いを込めて名前をつけられた人の話を聞くたびに、猛烈に羨ましく思うのである。

私の名前は、父方の祖父母が持ってきたという姓名判断で良いとされたリストの中の名前から付けられた。
父母、そして祖父母の会議によって、満場一致である名前に決定。
「じゃあ、役所に行ってくる!」
と、意気揚々と出掛けた父がしばらくして帰ってくると、なんと家族会議で決めた名前とは全く異なる名前を提出してきたと言うのである。
それは候補の片隅にはあったが会議では一度もあがらなかった名前だったそうだ。
それが、今の私の名前である。

これは、我が父の超マイペースっぷりを象徴するエピソードだと言える。

もちろん、母は知った瞬間、愕然として激怒したそうだが、
「まぁ、リストにはあったからいっかー」
と、事も無げにあっけらかんと話す祖父母の手前、その場であまりきつくも言えなかったらしい。
何より、どうして父がこの名前にしたのか?本人は全く説明しなかったのだ。未だに本人にしか真意はわからない。
私も子供の頃、父に名前を変えた理由を聞いたことがあったと思うが、明確な答えは得られなかったと記憶している。

しかし、母は余程許せなかったのだろう。
「本当はあなたは〇〇って名前だったのに、お父さんが勝手に変えたのよ!」
幼い私に、このエピソードを繰り返し話しては、思い出して憤っていたのだ。
「えー!そっちの名前が良かった…」
と、子供ながらに思ったこともあり、今の自分の名前が好きになれなかったのだと思う。

このエピソードを全く知らない友だちや知人からも、
「なんか、あなたって雰囲気と名前が合ってないよね?」
と、不思議と言われることも多い。
何だろう。このしっくりこない感…。

しかも、今は結婚して苗字が変わり、このエピソードでも書いた様に、

日本でもとても多い苗字になったこともあり、姓も名もありふれて、益々しっくりこない名前になってしまったのである。

「では、どんな名前だったら納得できるんだろう…」
ふと考えるのだが、そこには明確な答えは導き出せないのである。

ハンドルネームやペンネームを考えることも苦手で、それが故にSNSの登録で立ち止まり、なかなか前へ進めないのだ。

改めてこのエピソードを思い出したのには理由がある。
数か月前から、出産を控えて子供の名前を考えているからである。
名前をつけることに向き合ってみて、人の一生に関わるものを考える責任って本当に大きいな…と改めて実感している。
懸命に考えた名前を一生気に入ってもらえるだろうか…

そして、父のエピソードをまた今までとは違った目線で捉えている。
本当とんでもないな…私なら母の様に寛大に許せないと思うのだ。

私は今回里帰り出産のため、出生届は夫に託すことになっているのだが、
無論そのようなことはしない人であるとわかってはいるが、
夫には絶対に決めた名前を変更しない様に今からきつく言っているのである。

そして、何よりも、今入院中の父が出産までに退院できたなら、
もう一度私の名前に込められた真意も尋ねてみたいとも考えている。

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