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「派遣社員は見た!~20社でのぞき見た職場物語」―はじめに

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文章スタジオ東京青猫ワークス 月イチ文章講座【STEP1】の課題
<自分が未来に書こうとする本の「はじめに」ページを作成する>
として作成した文章です。
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未来の本のタイトル
「派遣社員は見た!~20社でのぞき見た職場物語」

「はじめに」

自慢できることでは決してないが、私はこれまで派遣社員として約20社の企業を渡り歩いてきた。

音楽大学を卒業した私は、恥ずかしいぐらいに世間知らずで、
自分のことも社会の仕組みも何も理解せずに社会人になり、1社目を5年で退職した。
その後は転職活動するも上手くいかず、
また図らずも夫の転勤で大阪から東京に引っ越すことになり、
そのことをきっかけに、本意ではなかったが、派遣社員として働き始めることになった。

派遣社員として幅広い業界の企業を経験していく中で、
その都度新しい発見があったり、
今まで出会うことがなかったような人たちに出会ったり…
と、目から鱗の連続だった。

未だに新しい職場に行くのは緊張するし、仕事を完全に覚えるまでは必死だ。
1日だけの就業のところもあれば、数年お世話になったところもある。
居心地のいい職場もあれば、その逆に存在自体が歓迎されない職場もある。
派遣会社の事前説明ではアットホームと聞いていたのに、殺伐とした雰囲気の職場だったり、
予期せず会社都合で契約を切られたりすることもあったが、
ひとつひとつアウェイ感を乗り越えながら、少しずつだが社会への戦闘能力を上げて、
図太くなっているのではないかと思う。

どの職場も派遣社員は即戦力を求められているので、できるだけ早く職場に馴染まなければならない。
しかも企業側から業務の説明はあっても、
人間関係が構築されていない段階ではそれ以外のことを丁寧に説明してもらえることは皆無だ。

お昼は社内に食べる場所があるのか?
給湯室はどの程度まで使用していいのか?
ペンなどの文房具は用意してもらえるのか?
意外と企業によってバラバラなのである。

周囲の様子を見ながら何となくその職場の社風、部署間のパワーバランス、社員同士の人間関係などを読み解く。
よく社内を観察していると、
その会社にしかない個性的な仕事、
ひとクセある人と摩擦を起こさないよう開発された秀逸な対策方法、
社内共通の謎のルール 等
興味が尽きない。

毎回そんな職場の日常を目の当たりにすると、
自分が正社員時代には見えなかった自分の居場所の作り方や、
精神的に追い込まれない方法が少しずつ見えてきたのだ。

2020年のこのコロナ禍において、
自分の仕事や働き方、そして人生について改めて思いを巡らせた人は決して少なくないだろう。
私自身、この状況の中で非正規雇用の不安定さを痛感し、このままでいいのか?と改めて考えさせられている。

昨今、多種多様な働き方を選択できる時代になってきてはいるが、
職場環境、業務内容、職場の人間関係…仕事で思い悩み、
辛い毎日を送る人は尽きないだろう。

そんな人たちに私の今までの派遣生活のエピソードは決してお手本や参考にはならないかもしれない。
だが、私自身のこれまでの様々な企業や社員と向き合った体験から、
何らかのヒントを与えられたり、あるいはただ笑えたり、気分転換になったりするかもしれない。

この本が職場には常にいろいろな物語があふれていると、
想像力を働かせるきっかけの一助になれば幸いだ。

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