アテネの空が火星のようなオレンジに!?空の色の仕組みを調べてみた
2024年4月25日、ギリシャ南部アテネの空がオレンジ色に染まりました。強い南風に乗って、アフリカのサハラ砂漠から砂塵が飛来したためだそうです。
サハラ砂漠とアテネとの直線距離は600kmくらいです。これは上海と長崎県と同じくらいの距離です。サハラ砂漠とアテネとの間はほぼ海で遮蔽物がありませんから、大量の砂塵が飛来してしまうのも当然です。
今回はそもそもなぜ空が青いのか、仕組みを解説してみます。
空の色はなぜ青い?
光の散乱
そもそも空の色はなぜ青いかご存知でしょうか?
太陽の光は地球に到達すると、地球上空の大気の粒子に入り込みます。そして一つの光が入り込んだはずが、沢山の光が様々な方向へ出ていくのです。これを散乱と呼びます。
出て行った光は別の粒子に入り込み散乱する、また別の粒子に入り込み散乱…という風に次々と繰り返して行きます。
しかし、ここで問題が発生します
光の減衰
何かの中を進むにつれて、光はどんどん弱くなっていきます(減衰)。
例えば大気の粒子の中に入ってしまうと、そうで無い場合と比べてより大きく減衰します。
光には波の性質がありますが、減衰が進むにつれて、波の高さがどんどん小さくなったり、波の頻度が減ったりするため、最後には光は見えなくなってしまいます。
この減衰に耐えて最後まで生き残れるのが波長の短い光です。
波長が短い、を言い換えると1秒間に振動する回数(周波数)が多いとも言えます。減衰を受けると振動数が減りますから、初めから高い振動数を持つ短波長の光の方が生き残れるのです
空が青い理由
この「波長が短い光の方が長く生き残る」という現象が地球上空では顕著に現れる事を証明したのがレイリーです。
レイリーによると、光の波長よりも小さい粒子の場合、散乱する光の強度は"1 / (波長の4乗)"に比例します(レイリー散乱)。つまり波長が短ければ短いほど散乱する光の強度が大きくなります。
粒子が非常に小さい場合という条件は、地球上空で満たしています。大気が薄く、空気の粒子同士の間隔が遠いので、粒子同士がくっつきずらいためです。
上のグラフは、レイリー散乱を図示したものです。散乱して我々に届く光の中に、どの波長がどの位の割合あるか示しています。波長の最も短い青紫色の可視光は、赤色の可視光と比べて4.5倍多く散乱しています。
そのため、空は青く見えるのです。
因みに雲の場合、粒子が大きいためレイリー散乱は起きず、すべての波長の光が散乱されて白い色に見えます(ミー散乱)。
アテネの空は?
アテネの空には砂つぶが舞っています。砂つぶは上空で散乱した青色の光を遮り、砂つぶ自身がもともと赤っぽい光を反射するため、我々の目に届く赤色の光の割合が多くなり、赤い空に見えるようになります。
因みに映画等で見る火星の空は、今回のアテネのように常時赤っぽい色をしていますが、実際は異なります。
火星の大気は地球の100分の1の薄い大気で、二酸化炭素が主成分です。火星上空にも光を散乱する粒子が少なく、鉄分を含む砂が多く舞っています。この砂が青っぽい光を反射するため、上のような青自い空も見られるそうです。
おわりに
空の色がなぜ青いかについて解説してみました。私自身理解できていない部分もあったので色々調べながら書いたので、分かりづらい箇所がありましたら恐縮です。
イラストについて
自分の家の犬がどちらか見分けがつかないという状況をイラストにしました。ブランケットに見えるのは私が普段使っている足拭きマットです。
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