#22 私がベルリンに移住しなかった理由
ベルリンはドイツの中で異色の都市です。
英語は通じるし、外国人なんて珍しくないし、フリーランス人口がめちゃくちゃ多い。
街中のカフェには『なんでこんなにノマドが多いのか』と驚くくらい、PCを広げている人たちがいます。
そんなベルリンには2019年夏、1ヶ月間ほど滞在していました。
ベルリンで特によかったのが食生活。これまで暮らした国の中でいちばん食があうと感じた都市でした。
日本では飲めないビールもベルリン(ドイツ)のものは何故かおいしく飲めます。
肉屋に並ぶ生で食べられるひき肉や、スーパーに並ぶ加工品。もちもちのプレッツェルもドイツならではです。
さらに、スーパーには惣菜コーナーに餃子と寿司が当たり前のように並び、食べたいと思えば近場で鰻すらも食べられました。
ドイツのことわざである『朝食は皇帝のように 、昼食は国王のように、夕食は乞食のように』という言葉のとおり、カフェで食べられる朝食は種類豊富でたくさんあります。
ベルリンのカフェは珈琲豆にこだわったお店が多く、チェーン店よりも個人でブランディングしているカフェの方がよく見かけました。
毎日のようにカフェに行って、夜はビールとお肉で晩酌して。日本食もいつでも食べられるし、世界各国の料理も東京と同じくらい揃っています。
ベルリンで食の嗜好に困ることはまずないのではないでしょうか。
ひとつだけ難点をあげるとすれば、アイスコーヒーを頼むとホイップ盛り盛りがデフォルトなのだけはいまだに許せませんが…本当にそれくらいです。
街中はグラフィティアートで埋め尽くされ、広々とした公園も、土日にひらかれる蚤の市も、日本の本が手に入る本屋さんも、あらゆるコスメとファッションが網羅されたデパートもあります。
ベルリン生活はあまりにも、あまりにも順調でした。
いま思えば私が「ベルリンに移住したい」とならなかった理由を、あえて上げるとすればこれだろうなと思います。
ポッときた外国人があまりにも苦労なく過ごせてしまうところ。
人との会話も、スーパーでのやり取りも、日常の暮らしも、すごく東京と似ていると感じました。
何も不便がないからつまらないなんて贅沢な奴だなと自分でも思いますが。
いや、もちろん違うところはたくさんあるんです。
フリーランスが多い街中も、グラフィティが当たり前の景観も、東西の歴史が色濃く残る側面も。あちらこちらにベルリンらしさが溢れています。
少し郊外に行けば落ち着いた街並みがあって、とても住み心地よさそうでした。
(☞本場のバウムクーヘンが食べたい!ベルリン郊外の老舗『Rabien』に行ってみました)
ベルリンはドイツの中の一都市ではなく、ニューヨークのようにその名前自体が存在感のある場所です。
写真を見返していると『これほど楽にノマドができる都市もないな』としみじみ感じました。
フリーランス=特別ではない。
そういう次元では東京とはまったく違う都市です。
けれど、上記の理由からベルリンでの生活があまりにも東京とリンクしているように感じて「日本となにがちがうんだろう?」と考えたとき、わざわざ「ここで生活していきたい」とはなりませんでした。
東京、ロンドン、ベルリン、ニューヨーク。
これまで住んできたこれらの都会にはある種の共通点を感じます。それは東京でできることはベルリンでもできるし、ニューヨークでもできるということです。
上手く言葉にできませんが、私はその国の味が残っている街並みや都会すぎない都市に魅力を感じるのかなと。
パリやアムステルダム、ドイツの中ならミュンヘンの方が住んでみたいと思います。
今回振り返ってみて、その国、その都市じゃないと味わえない、自分にとってそういう場所を求めているんだなと気付かされました。
そしてそれは人の数だけ違いがあります。
日本人が移住しやすいからとか、物価が安いからとかではなく「暮らしているだけで楽しい」一人ひとりにとってのそんな場所が世界中にあるんだろうなと思います。
関連リンク
☑︎ベルリンで暮らすのにかかった1ヶ月の費用【デジタルノマド・家計簿】
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