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京都大学基礎物理学研究所

今回は私が所属する京都大学基礎物理学研究所をざっくりと”非公式的に”紹介してみたいと思う。

基礎物理学研究所、通称基研は(※1)、京都大学内の理論物理学の研究所で、元々湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞した記念に設立された京都大学湯川記念館が前身(wikipedia参照)。英語名は、Yukawa Institute for Theoretical PhysicsYITPと略されがち(※2)。場所は京大の北部キャンパスの東北方向の隅っこにあるグラウンドの近くで、植物園や数理解析研究所(RIMS)の隣だ。

研究所内は6つのグループに分かれていて、現在
 素粒子・原子核・宇宙・凝縮系物理・統計動力学・量子情報
のグループがあり(※3)、これは理論物理学の広範囲をカバーしている。一応グループには分かれているが、研究所内のメンバーの居室はグループに依らずごちゃ混ぜで配置されているし、研究所全体でのイベントがあったり、他のグループが開催するイベントにも基本自由に参加していいので、グループの垣根を越えた議論や共同研究をすることもちょいちょいある感じだ。

基研はいわゆる共同利用・共同研究拠点の1つだ(※4)。共同利用・共同研究拠点というのは簡単にいうと、(メンバーの研究活動に加えて)個々の大学の壁を超えた同じ分野のコミュニティ全体の利益のための活動を行うところだ。全国的には実験設備を提供するところが多いと思うが、基研の場合は、計算機関係の設備の提供・研究会の開催・外部研究者の滞在の受け入れ・資料の管理と提供などを行っている。

基研には大学院生も所属することができ、理学研究科の大学院生向けの講義や研究指導も行っている。そのため基研内の教員の主な仕事は、研究活動・大学院教育・共同利用関係の業務となる。他の研究機関と比べて特徴的なのは、共同利用関係の業務があることと、学部教育が基本的には含まれていないことあたりだろう(※5)。学部教育は(有意義なのはもちろんだが)通常準備などにとても時間がかかるので、基研の教員は他研究機関の同程度の職位と比べて、研究時間が多く取れる傾向にある(多分)。また、メンバーの構成としては、(グループにかなり依るが)学生の数に対して教員・研究員の割合が比較的多いという特徴がある。

基研は研究会が開かれたり外部の研究者が滞在することが多い場所であるため、日々国内外の多くの研究者が出入りしている。このような理論物理学の研究機関は国内にはあまりないため、基研は外部の研究者との情報交換や共同研究を比較的行いやすい場所であると言っていいだろう。

上に書いたような特徴などにより、基研は国内における理論物理学の研究機関としては最も研究環境が良い場所の1つと見なされている(おそらく)。ぱっと思いつく一般論っぽい特徴はこんなものだろうか。そのうち素粒子論グループの紹介もするかもしれないが、しないかもしれない。じゃあの。


※1 研究者は「基研」と呼ぶことが多いと思うけど、京大内での事務関係のやり取りでは(なぜか)よく「基礎研」と呼ばれる。着任するまで知らなかった。

※2 Stony BrookのYang Institute for Theoretical PhysicsもYITPと略されることが多いので海外の人と話すときは注意。

※3 凝縮系物理と統計動力学はひとまとめにして物性とされるときもあるが、ここでは分けた。

※4 ちなみにつくばにある高エネルギー加速器研究機構(KEK)は共同利用・共同研究拠点ではなく、大学共同利用機関法人だ。

※5 京大内のオムニバス形式での授業を担当したり、外部から呼ばれて学部生が対象の集中講義をしたりすることはある。

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