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横並びで運動部は愚策かも。進学校の学生はぜひ「アカデミック部活」をやってみよう

運動部に5割も入部!?

日本ではほぼ全ての中学校・高校に部活動が存在しており、多くの生徒が何かしらの部活に加入しています。

多くの人は、部活というと真っ先にスポーツをする"運動部"を思い浮かべ、次いで音楽や美術といった"文化部"を挙げます。中でも運動部の人気は高いようで、↓の記事によると何と全高校2年生の約半分が運動部に所属しています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20181025-00101428

しかし、私にはなぜこれだけの人が運動部を目指すのか、とても謎です。別にダメというわけではないんですが、客観的にみて運動部って凄く条件が悪いし、万人受けするようなものではないように思いませんか?以下にいくつか理由を出してみます。

①週5~6で拘束され身体を酷使し、後遺症を伴うけがのリスクもある

これが痛い。多くの運動部では、平日毎日2〜3時間も練習し、土日もどちらかは拘束される場合が多いです。週6も活動していたらあまりに拘束時間が長すぎて肉体的疲労や自由時間・睡眠時間の削減が避けられませんし、けがのリスクも大きいですよね。冷房の効いた自習室でゆっくりしていたら、窓の外で陸上部の子が剥離骨折で倒れたのを見たことがあります(笑)。投じるべき時間と負うべきリスクがあまりに大きすぎます。

②県大会すら狭き門

特に知名度の高い部活では、莫大なリスクの割にリターンも希少です。単純計算ですが、トーナメント式の大会では参加校の大半(87.5%)は3回戦までに敗退します。東京や神奈川では、3回戦敗退だと県ベスト16にすら届かないでしょう。初戦勝利とかで喜んでいる人も結構いますが、3年間をその後の人生につながらない活動に捧げて、ようやく得られた結果がそれで満足か??と思ってしまいます。
この程度の成果だと推薦入試でアピールするのも難しく、公立生は部活に費やした膨大な時間を捨てて高3の夏から地獄の受験勉強をする羽目になります。

③勉強や仕事に結びつかない

もちろん、部活で得られる忍耐力コミュ力が!!と言いたくなる人もいるでしょう。しかし、現代社会で必要な力を得るにあたって、週5回炎天下でガムシャラに走り続けるというような方法をとるのはあまりに遠回りが過ぎるのではないでしょうか。考えなしに上司に頭を下げまくり、必死にアポ電をかけまくるような昭和の働き方は、流石にそろそろ絶滅しつつあります。言うまでもなく受験勉強に部活の知見はほぼ活きませんしね。

それでもみんな運動部なの?

このように、多くの運動部というのは、週6も拘束され超肉体疲労・県大会すら狭き門・将来との互換性皆無というように、悪条件が三拍子そろっています。これだけ悪条件がそろっててもなお運動部に入るって、余程そのスポーツが好きな物好きか、大会で上位目指せる優秀なスポーツ人材しかできないことだと思うんです。

しかし現実はというと、統計が示すように、全高校生の半分以上の人が運動部に所属しています。で、少なくともその半分くらいは、週5~6とかで必死にやったのに初戦・2回戦で敗退、みたいな人たちなんじゃないかと思います。

もちろん、余程そのスポーツが好きで苦にならない物好きの人もいるでしょう。しかし、高校生のおよそ5割もの人すべてが、本当に自分から望んでこうしたきつい運動部に志願したとは、正直私は考えにくいです。

横並び意識に流されて、入部してませんか?

では、なぜこんなに多くの人が運動部に入っているのか。私は、横並び意識に流されて、友達やまわりの人に言われるがままに入部して、そのまま続けてる人が多いんじゃないかと思います。私の同級生でも、特に考えずに運動部に入って、成績が落ちてもけがをしても相変わらず部活仲間と群れ続けているような人がゴロゴロいました。一応偏差値68くらいの進学校だったんですけどね。

なんだかんだ、部活引退後に受験勉強しまくればそれなりの大学くらい行けるのかもしれません。でもね、私はそんな遠回りは嫌でしたよ。週6で部活しまくって体壊して、その後いきなり受験勉強漬けしてというのは、さすがにコスパが悪すぎます。

とはいえ、何も部活とかをしないというのはそれはそれで不安があります。何かしら属せるコミュニティがあった方がいいし、仲間と高めあう経験もしたいですよね。しかし運動部ではコスパが悪すぎると。

そこで皆さん。もし週2~3回程度の適切な活動量で、合理的思考のできるハイレベルな仲間たちと楽しく高め合い、全国大会も目指せるような活動があったとしたら。ついでに得られた知見がダイレクトにその後の人生に活きるとしたら。そんな部活に入ってみたいとは思いませんか?

アカデミック部活のすすめ

前置きが長くなりましたね。そんな部活こそが、「アカデミック部活」です。

アカデミック部活というのは、その名前の通り、学術的な(アカデミックな)部活です。例えば以下のような部活が当てはまります:

英語・国際系:英語部、ESS、英語ディベート部、国際交流部など
理科系:自然科学部、理科部、生物部、地学部、数学部、物理部、化学部、ロボコンなど
社会系:歴史部、地理部など
国語系:弁論部、放送部など

残念ながら、ある程度レベルの高い高校でないと、こうした部活は存在しないことも多いです。しかし逆に言えば、ある程度レベルの高い高校には結構あります。特に最近のグローバル化の流れに乗る国際系部活や、SSH(super science highschool)認定校の理科系部活は、かなり力を入れている傾向があります。

え、文化部じゃなくて?と思った方。確かに一般的には文化部にカテゴライズされている部活です。しかし、文化部といっても、実際のところ音楽系の部活などは運動部と似たような長時間の活動が常態化しているケースが多く、逆にだらけてるだけで何も身につかないような幽霊部活もあります。なので私はアカデミック部活は文化部とは分けて考えるのが適切だと思います。

これまで考えたこともなかったような部活だ!と思った方も多いでしょう。しかし、それこそが横並び意識というものです。以下に高校時代国際部(インターナショナル・クラブ)と地学部・生物部で活動していた私が、アカデミック部活がどれだけ楽しく人間的で有用であるかを書き散らしましよう。

①受験や、その先のキャリアパスとの一貫性

これはめちゃくちゃ大きいです。アカデミック部活の内容は、基本的に受験などに直結します。一方で受験勉強に比べると孤独感や義務感は圧倒的に薄いので、楽しいです。
例えば私の国際部は英語ディベートを中心にしていました。ディベートは相手のいるゲームなので、とても楽しくハキハキと活動することができます。チームの仲間同士で作戦を練るのも楽しいです。そしてありがたいことに、英語力が伸びる伸びる。教師からの受けもいいですし、TOEFLのスピーキングとかにも大いに役立ちました。
地学部で学んだのは探究の方法やものの見方ですね。研究テーマを決めて一つのポスターを完成させるということをするので、とても力がつきますし、良い思い出になります。合宿に行ってまで走ったり楽器を吹くようなことはなく、合宿地でしかできないような巡検や天体観測に充実した時間を費やすことが可能です。この研究経験は大学での長期インターンに現状大いに役立っています。

②努力のコスパの良さ

アカデミック部活では、学力のある程度高い人たちしかもともと競争相手になりません(高校入試が一次予選を兼ねているようなものです)。つまり何が良いかというと、運動部と違って競争率が徒らに高くなりません。私の英語ディベート大会では、最初から県内で16校のエントリーしかなく、しっかり準備して臨んだところ週3の練習で県予選を通過して全国10位まで行きました。内容が時代に即しているので、別に運動部より低くみられるようなこともありません。私はこの実績を引っ提げて早稲田の指定校推薦を獲得しましたし、一般入試を選択した場合でも部活で培った知力はとても役立ったと思います。
また、理科系は議論の余地があるにせよ、基本的に英語部に後遺症を伴う怪我のリスクはありませんよね。ディベートの論壇を踏み外して脳に損傷を…んな人は流石にいないでしょう(笑)。極めて低い肉体的リスクで、全国大会などの大きなリターンを得やすいアカデミック部活は、努力のコスパが非常に高いのです。

③知的で人間的な楽しさ

アカデミック部活の人間は基本的に頭が良いので、運動部のような脳筋プレーはしません。練習は週2~3回で要領よく行われることが多く、体をすり減らす必要はありません。不合理な先輩後輩関係も滅多にありませんし、とても楽しいです。今の時代に即したコミュニケーション能力・論理的思考力など、いろいろなものを培うことができます。炎天下でトラックを回り続ける人たちを横目に、冷房の効いた部屋で文明人らしく研鑽を重ねられます。


いかがでしょうか。あなたが合理的な現代人であれば、アカデミック部活がどれだけ魅力的かは十分おわかりいただけたと思います。
巷では「ゆる部活」といって、活動量が少ない代わりに大会も目指さないという部活が流行っているようですが、活動量が少なければ大会を目指せないというのは大きな勘違いです。土俵選びと練習方法さえ間違えなければ、週2〜3の活動でも全国大会を目指すことは十分可能なのです。

あったらぜひ気にしてみよう

もちろん中には、アカデミック部活がない高校もあります。でも、ある程度の進学校なら、たいてい1つくらいはあるんじゃないでしょうか?ぜひ一度、あなたの高校の部活や課外活動を調べてみてください。実は私も、地元の普通の中学ではアカデミック部活が無いため部活はしておらず、高校で進学校に行ってから入部しました。

私の場合も、先述のように英語ディベートでとても高い実績を上げてたんですが、校内での知名度はあんまりなかったですね。指定校面接での食いつきは明らかに良かったし、社会的需要も高いスキルをコスパ良く学べる有益な経験ができたのですが、そういう部活があることすら知らない人が校内には結構いたわけです。(仮入部やったり部活紹介の冊子に寄稿したりはちゃんとしてましたよ)

それはなぜか。やはり横並び意識のせいじゃないかなと思います。なんとなく友達の意見だけを参考にして意思決定した人は、特に疑問ももたずにコスパの悪い運動部に入ってしまい、コスパの良いアカデミック部活のことは知りもしないわけです。

もちろん、中には大会で活躍できる見通しがあったり、明確な目標があったりして、自分の意志で運動部を選んでいる人はいます。それは良い意思決定だと思います。でも、なんとなくや友達の意見だけを参考にして運動部に入ってヒーヒー言ってるような人は、ハッキリ言って情弱にしか見えません。
ぜひ、この記事を読んだ人は、自分で確実に情報を集めて、総合的に的確な判断ができる人になってください。


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