田原真人

生命体の可能性が花開くことに喜びを感じるデジタルファシリテータ。非暴力アナキスト。20…

田原真人

生命体の可能性が花開くことに喜びを感じるデジタルファシリテータ。非暴力アナキスト。2011年にマレーシア移住。「反転授業の研究」主催、IAFジャパン理事。『Zoomオンライン革命』『出現する参加型社会』など。執筆&講演依頼⇒  http://masatotahara.com/

マガジン

  • 参加型社会学会

    参加型社会を目指す人のための情報共有の場です。

  • 田原イコール物語

    トランスナショナルなコミュニティ生成雑誌、田原真人責任編集号「イコール」が生まれたバックストーリーを連載します。

  • 深呼吸学部・参加型社会学科

    • 76本

    深呼吸学部・参加型社会学科 学科長 田原真人 ●日程 2022年1月5日から2月23日まで、毎週水曜日20時30分から22時まで。 第一期8回限定。 ●内容 毎週1回、田原講義(30分)議論(60分)の授業 *橘川は通常は参加しません。質問や背景説明など、ゲストとして呼ばれる日がある時に参加します。 ●参加費 1期8回(2ヶ月)で1万円。 *途中参加でも金額は変わりません。 *深呼吸学部の正規受講生は無料で受講出来ます。 ●開設趣旨 *参加型社会の実践と理論を追求してきた橘川幸夫の書籍を最初から読んで解説と議論を行う。

  • イコール「書評の書店」

    • 47本

    深呼吸書店は雑誌「イコール」の書評頁と連動しています。編集部に参加した人たちは自分で読んだ本の書評をアーカイブしてください。

  • 深呼吸する言葉(2020-2023深呼吸学部)

    • 132本

    2020-2023深呼吸学部の塾生の深呼吸する言葉の部屋です。

最近の記事

田原イコール物語19 対極を統合する試みと挫折

「自己組織化コミュニティの作り方」は、自分が思うことを思いっきりぶつけた試みだった。それを、企業にも通用する形に展開しようとした「自己組織化ラーニングファシリテーター講座」は、異なる原理のはざまで揺れた。外部の組織文化の中で常識とされていることと、「わたしたち」の中で常識となりつつあるものとが違うので、接触点ではハレーションが起こり続けた。 それは、組織文化で生きてこなかった僕にとっては、学びの多い経験だったが、様々なところで摩擦が生じた。組織文化に完全に合わせるのであれば

    • 田原イコール物語18 機械論と生命論のはざま

      自己組織化を中心に据えて立ち上がった与贈工房は、「自己組織化コミュニティの作り方」で出会った仲間を巻き込んで数十名のコミュニティへと拡大していった。活動は完全オンラインだったので、国内外の様々なところから参加していた。僕自身もマレーシアのペナン島から参加していた。 自己組織化が起こるファシリテーションとは何か?という問いがあり、工房ー工場ー変容と三つ巴で巡る原理が、ぼんやりと中心に据えられていた。 まずは、自己組織化ファシリテーションの濃縮液を作り、それを、学習、組織開発

      • 田原イコール物語17 自己組織化コミュニティの作り方

        自分が今までやってきたこと、収入を得ていたことを手放すことは、過去の延長線上の未来を手放したということだ。過去を手放すと未来から引っ張られるようになってくる。 自分は、どのような未来へ引っ張られているのか? そのとき、自分がずっとやってきたことは、「自己組織化」だなぁーと思った。自然の摂理によって何かがひとりでに形成されていくということ、自己組織化=self-organization にずっと惹かれてきたのだ。 粘菌の自己組織化の研究に始まり、反転授業の研究ではコミュニ

        • 田原イコール物語16 自己組織化する学校プロジェクト

          2018年に「自己組織化する学校」プロジェクトをスタートした。学校という決められた構造があるのではなく、自己組織化するプロセスの中で自然発生する学びのコミュニティが、結果として学校のようなものになっていけないかという発想だった。 様々な学習拠点が緩やかに繋がって、個別にできることと、一緒にできることを、それぞれ追及していけないかと思ったのだ。自己組織化する学校・準備グループというFacebookグループを作り、定期的にミーティングを重ねた。クラファンしてホームページを作り、

        田原イコール物語19 対極を統合する試みと挫折

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        記事

          田原イコール物語15 フリースペースつなぎと「田原の窓」

          気仙沼にあるフリースペースつなぎの代表の中村みちよさんとは、2018年に知り合った。みちよさんがつなぎを維持するためのクラウドファンディングをやっているのを見かけて、彼女が紡ぎだす言葉に心を掴まれた。 みちよさんも僕も、震災前は宮城県に住んでいた。震災をきっかけに学校の教員をやめて、フリースペースをはじめたみちよさんと、震災をきっかけにマレーシアに移住した自分とは、選んだ道は違うけれど、自分の内奥に潜って本質的な生き方をしていこうというところは同じで、想いは通じていると思っ

          田原イコール物語15 フリースペースつなぎと「田原の窓」

          田原イコール物語14 「地球を取り囲んでオンライン対話する」

          14か国の人たちとスカイプでラングエッジエクスチェンジをしていた2015年ころ、中国で反日運動が過熱していた。中国人の友人が、「マサト、私は悲しいよ」と泣いていた。僕は、「日本人とか中国人とかという単位で考えるのがおかしいよ。知らない日本人より、毎週しゃべっていて、毎朝、ゆで卵を食べていることを知っている君のほうが大事だ。」と言った。 エインと二人で何かできないかなと相談して、「Green Bird Cafe」というFacebookグループを作った。そこに、各国の友達を招待

          田原イコール物語14 「地球を取り囲んでオンライン対話する」

          田原イコール物語13「Zoomオンライン革命」

          Zoomのことを教えてくれたのは、社会変革ファシリテーターのBob Stilgerだった。スカイプで話しませんか?という僕の提案に対して、Bobさんは、「Zoomで話そう」と言ってURLを送ってきた。 Bobさんと話した後、次にZoomで話したのは、Amy Lenzoだった。彼女にペイフォワードした後、「Zoomで話そう」と言われて3回話した。彼女は、ZoomとGoogle hungoutを組み合わせたオンラインワールドカフェを企画していた。僕は、WizIQを使ってグループ

          田原イコール物語13「Zoomオンライン革命」

          田原イコール物語12「2項対立を超える共存在サイクル」

          機械論的パラダイムの構造の中で育った自分に気づいたとき、最初は、そこから逃れるためにそれを否定して、そうじゃないものとして生命論的パラダイムをイメージした。 しかし、そうすると、機械論的なものがすべて目の敵みたいになってしまって、「アンチ機械論」みたいになってきた。自分の中で機械論を否定しているので、機械論で培った工夫なども使いにくくなり、仕事の効率も悪くなってきた。カッピングで背中が紫色になって過労で倒れたのも、それが原因だった。 機械論パラダイムの外側に出たうえで、も

          田原イコール物語12「2項対立を超える共存在サイクル」

          田原イコール物語11「自己解体の向こう側へ」

          自己利益を最大化する生き方から、循環の中に身を投げ込む生き方へと転換したが、最初は、新しい生き方に振り回されてバランスを取ることが難しかった。 依頼される話をどんどん引き受けていたら、プロジェクトがどんどん増えて、たくさんの皿を同時に回している皿回しのような状況になった。 ひどい肩こりがするようになり、右手がしびれるようになった。ペナン島には、中国系の鍼灸師が数多くいるので、そこで、鍼を打ってもらったが、あまり改善しなかった。そこで、中国系のマッサージ師のところにいくと、

          田原イコール物語11「自己解体の向こう側へ」

          田原イコール物語10「自己解体のためのペイフォワードプロジェクト」

          教育システムに組み込まれている抑圧装置の存在に意識が向き始め、それを言語化していくにつれて、だんだんと学校批判のような言葉が口から出てくるようになった。僕も、教師を批判したいわけではなかった。彼らが真摯に仕事に取り組んでいることを知っていたから。 でも、どうしても立ち止まれなかった。批判の刃が自分に刺さり、大学受験を支援する物理ネット予備校の仕事を続けるのが苦しくなった。毎週発行していたメルマガが月1回の発行になり、ついには、ほとんど発行しなくなった。どう進んだらよいかが分

          田原イコール物語10「自己解体のためのペイフォワードプロジェクト」

          田原イコール物語9「自分の投げたブーメランが刺さる」

          非暴力コミュニケーションを学んだ結果、その裏返しとしての「暴力」の理解が深まってきた。一人ひとりが「源」から生きることを妨げているものは何か?という問いが生まれた。 教育システムに内在している暴力の正体を明らかにしていくことは、その中で仕事をしてきた自分自身の行動の意味づけが変わることだった。それを突き詰めていくと矛盾が表面化していき、自己解体へ至るだろう。でも、どうしても立ち止まることができなかった。自分の内奥の声が、進めと叫んでいた。 生命の根源にあるいのちのマグマか

          田原イコール物語9「自分の投げたブーメランが刺さる」

          田原イコール物語8「オンライン反転授業講座の悪戦苦闘」

          Amy Lenzoのオンライン講座を受けて、MoodleとGoToMeetingを組み合わせたオンライン講座を自分たちもやってみることにした。反転授業と言えば、講義動画を作るところにハードルがある。そこで、動画作成の講座から始めることにした。佐賀県武雄市の反転授業の動画を作成していた古山竜司さんが講師、桑子研さん、横川淳さんがサポート役になり、Explain Everythingというアプリを使って動画を作る講座を企画した。 1.解説動画を参考にして受講者が動画を作る 2.作

          田原イコール物語8「オンライン反転授業講座の悪戦苦闘」

          田原イコール物語7「ワールドカフェとの出会い」

          予備校で「壇上の賢人」しかやったことのなかった僕にとって、「グループで学びあう」とか「ファシリテーション」とか、全くイメージが沸かないものだった。 「グループで学びあう」ことで、どうやって理解が深まるのか?その原理を知りたかった。「反転授業の研究」でワールドカフェというワークショップ手法を紹介してくれる人がいて、早速、『ワールドカフェをやろう』という本を購入した。 書籍の中に機械論的世界観と生命論的世界観が対比された表があってはっとした。自分がかつて、粘菌の研究者を志して

          田原イコール物語7「ワールドカフェとの出会い」

          田原イコール物語6「教育実践者にインタビューしまくる」

          予備校講師としてある程度の実績を上げて参考書を書き、動画を使ったネット予備校を運営していて、なんとなく自分は教育のことを分かっているような気がしていた。 ところが、「学習者の主体性を育む学び」というテーマに関心を持った瞬間から、そこには自分が知らない世界が広がっていることに気づいた。このテーマを追求しているたくさんの実践者の姿が目に入ってきた。自分は何も分かっていなかった。 「反転授業の研究」は、マレーシアのペナン島に住み、主体的な学びのことをよく分かっていない田原が、「

          田原イコール物語6「教育実践者にインタビューしまくる」

          田原イコール物語5「反転授業の研究」

          2013年、エインに教えてもらったWizIQを使って、物理のライブ講義を始めた。フィズヨビの受講生は、動画とメルマガでしか僕のことを知らなかったから、WizIQで「会う」ことができることにワクワクした。 ちょうどそのころ、アクティブ・ラーニングの取り組みしている小林昭文さんのブログを見つけた。一斉講義の背後にあるヒドゥンカリキュラムについて書かれていた。ヒドゥンカリキュラムとは、学校が工場労働者や兵士育成の場として機能するために、時間厳守、服従、単純作業に耐える、などを身に

          田原イコール物語5「反転授業の研究」

          田原イコール4「世界中の人たちと話して気づいたこと」

          多言語が飛び交うペナン島では、英語とマレー語が共通語だ。今からマレー語を覚えるよりは、さび付いている英語を復活させた方が早いと思って、英語の学習を始めた。 最初は、スカイプ英会話をやってみた。でも、2カ月ほどやってみて、気づいた。「生徒という役割で学ぶことが、学習を阻害している」のだ。もっとリアルに、道具として英語を使う機会を作れないだろうかと思った。 そこで始めたのが、ラングエッジエクスチェンジだ。世界中に日本語を学びたいという人たちがいる。その多くは、母語の他に共通語

          田原イコール4「世界中の人たちと話して気づいたこと」