見出し画像

田原イコール物語19 対極を統合する試みと挫折

「自己組織化コミュニティの作り方」は、自分が思うことを思いっきりぶつけた試みだった。それを、企業にも通用する形に展開しようとした「自己組織化ラーニングファシリテーター講座」は、異なる原理のはざまで揺れた。外部の組織文化の中で常識とされていることと、「わたしたち」の中で常識となりつつあるものとが違うので、接触点ではハレーションが起こり続けた。

それは、組織文化で生きてこなかった僕にとっては、学びの多い経験だったが、様々なところで摩擦が生じた。組織文化に完全に合わせるのであれば、自分たちの存在意義がなくなってしまう。だから、果敢に挑んでいこうとする。でも、それは、僕よりも組織文化に精通している人にとっては、常識知らずで信じられないことだったりする。実際に常識を知らないわけだから、その見方も正しい。その結果、摩擦は、「わたしたち」と外部との間だけでなく、「わたしたち」の内部でも発生する構造だった。

与贈工房は、「自己組織化コミュニティの作り方」からスタートしたこともあり、最初は僕がコンテンツを作る人だったが、並行して杉岡さんのコンテンツもスタートした。これは、複数のコンテンツメーカーが存在することで権力を分散して多元化していく可能性だったが、僕の多動な特性と杉岡さんの特性とがうまく共存できずに杉岡さんが離脱することになった。自分のマグマを爆発させて生きていくことにこだわっていた自分が、無自覚に友人の足を踏んでしまっていたのだが、それを相手の側から理解しようとする姿勢が足りなかった。

コンテンツを作る人が一人になった結果、分業体制が進む形で組織化していった。事務局を担っていたさわさんとの二元体制が、多元化へ向かう次の挑戦だった。組織の名前を話し合って、TORus(Toral Online Reconnect us) と変更し、対極を統合して全体性へと向かう願いを込めた。しかし、分業体制は、最適化の方向性が違う2つのベクトルを、対等な関係を維持しながら統合していく必要があり、難易度が高かった。自分の側の正しさを保留して、相手の側を見に行って理解する修行で学びが大きかった。危ういバランスの中で、何とか回っていたが、そこにコロナがやってきた。

Zoomを使った活動のトップランナーであった「わたしたち」にとって、コロナは、ビジネスチャンスだと思った。なかなか利益が上がらない中でがんばってきたが、ようやく経済的に持続可能になるチャンスが来たと思って、アクセルを踏んでいこうと思った。しかし、そこに落とし穴があった。自分の見方のほうが正しいという気持ちが高まって、危ういバランスで成り立っていた構造が崩壊した。二極を超えて多極へと向かう未来へは進めず、二項対立に陥った。僕は、結局、自分の正しさを曲げることができずに組織を卒業することにした。組織で生きるのに自分は向いていないと思った。自分は、なんだかんだ言って、マグマを爆発させて生きたかった。それが、身近な大切な人たちを押しつぶしてしまう構造を解決できず、個人に戻ってゼロからやり直すことになった。

■クラウドファンディングはあと35日。44%達成

■田原イコール物語を最初から読みたい方はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?