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リアル関西ヤンキーの極熱野球小説『強振ブルース』

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【あらすじ】 元高校野球のスター選手で、今はデリバリーヘルスの店長の成元。夜な夜なバッティングセンターに訪れる。 その強烈なスイングを見込まれてか、店主源田から『イチマンエン』…
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記事一覧

ションベンカーブ 07

おっさんは西宮の学生街にいったん車を止めた。そこから各々脚を使ってチラシを撒いていくとい…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 06

帰宅時ポストを開けてそれがあるといちいち腹が立つ。いつもなら鷲掴みにして、備え付けのゴミ…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 07

腕の振りも遅くなるタイミングの取りやすいスローカーブがきた。調子に乗っている投手を潰すと…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 06

別に選んだわけではなく、たまたま余っていたポジションで、俺は三塁を守っていた。山口は偉そ…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 05

大学というものは、思ったよりもずっと、詰まらないところだった。とりあえず進学したこの場所…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 04

「骨の破片とかが、神経を傷つけるのが一番厄介だからね、手術しましょう」医者は、俺の右腕の…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 03

捕手はカウント一ボール二ストライクから、定石どおり、外のスライダーを要求した。今日のスライダーは切れていた。打者にはホームベースの手前までは真ん中辺りのストライクに見えているが、そこからいきなりぎゅっと曲がって、バットが絶対に届かない外角へスライドする。 ストレートと同じ身体と腕の使い方で、リリースの瞬間、指先でボールを切るように投げ込む。打たれる気がまったくしなかった。確かに野球人生で最後に投げたこのスライダーは誰にも打てなかっただろう。 俺の頭の中で、理想的なスライダ

ションベンカーブ 02

練習の投球数を減らし、少しずつだが、投球フォームも変えていった。劇的にサイドスローなんか…

新田将貴
2年前
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ションベンカーブ 01

俺が風俗の業界に入ったのは大学一年生のときだ。高校二年の夏の甲子園予選を終えた時点で、幾…

新田将貴
2年前

ザ関西ヤンキー 04

俺は打席についた。打席で屈伸し、バットを振る遠心力を使って大きく左右の上腕筋、腹直筋、外…

新田将貴
2年前

ザ関西ヤンキー 03

「だぁっとれ、ボケが。おのれが四本打てんのか。はよ帰って、少女達のおマンコの世話しとけ、…

新田将貴
2年前

ザ関西ヤンキー 02

外角いっぱいに、ブレーキの効いた変化球が投げ込まれた。一球前の直球と速度差は時速三十キロ…

新田将貴
2年前

ザ関西ヤンキー 01

気持ちが逸って、俺は二時より少し早くバッセン源田に到着してしまった。備え付けのテーブルセ…

新田将貴
2年前

ボールボーイ 03

借ります、というよりも早く、なつきは車のシガレットライターに手を伸ばした。店のプロフィールでは二三歳だ。本当の年齢は忘れたが、まだ二〇代半ばには違いないはずだ。そのわりに煙草の馴染み方に老成を感じる。煙草の煙を吐き出しながら、神戸の夜景を眺めている彼女は、たまに憂いを放つ。 なつきはそれ以上言葉を発せず、サンタナのギターに耳を傾けている。なつきとの会話はだいたいこんな感じで終わる。親父の会社が倒産し弟の学費を稼ぐ女、カードローンを繰り返した挙句ヤクザ絡みの金融屋に手を出し、