力士の健康について考える
今日は「トップアスリートと健康」というテーマで記事を書いていきたいと思います。
結論、トップアスリートは必ずしも健康じゃないよ。ってことなんです。その理由やこうした方がいいかも?っていうことをこの先で書いていきます。
この記事、すごくないですか?この方なんと、力士時代の最高体重が292㎏!ちなみに百獣の王ライオンは150㎏~250㎏だそうです(笑)。
力士をアスリートと呼ぶかは別にして、(相撲はスポーツではなく正確には神事らしいです。)普段運動やスポーツをしない人にとってはアスリートは健康で体も強い人のように見えますが実際はそうでもないんですね。
例にあるように相撲はまさに命を削って行う競技といえます。太ることが正義とされる競技って考えると、このフィットネス全盛期に一般とは全くかけ離れた感覚ではないでしょうか。
実際、引退後に非常にスリムになる親方さんもいらっしゃいますが、残念ながらほとんどの元力士の方は60代前後で亡くなられてしまい、長生きされるような方はこれまでほとんどいません。非常に厳しい稽古と食事を、勝つために自らに課し、その上で早くに生涯を終えてしまうリスクが高いと考えると、なんて尊い存在なんだと思うのと同時に、太るって恐いなって思ってしまいます。
今回の新型コロナウイルスでもスポーツ界の中では相撲界が感染者や重症者という点では最も大きな影響を受けました。若い彼らが相撲のために無理をして太っているわけですから糖尿病のリスクや肺や心臓など内臓への負担もハンパじゃない。
力士は、力士で居るということだけでたくさんのものを抱えているんですね。
他のスポーツもそうです。ボクシングの減量は医学的に言えば身体を壊す行為そのもの。というか、試合自体がお互いを壊し合うものです。
人気スポーツである野球やサッカーではある程度健康と運動能力とを両立することができる競技かもしれませんが、数万人にみられる競技というのはやはり自然な状態ではないと言えるかもしれません。
近年非常に数が増えてきているフィットネスにしても、実は必ずしも健康と=とは限らないんです。
例えばダイエット。3カ月で15kg痩せました!っていうのは良いんだけど、必ずしも健康に結びついているかというとそうではない事も多々あるわけです。
また、ボディビルやフィジークのコンテスト出場者が激増しているのは知っている方も多いかもしれません。もちろん色んな主旨の大会があるんですが基本的にコンテストの身体なんて健康要素はほぼゼロです。体脂肪率2~3%で張りがあって筋肉にボリュームを残していい形にしようと思ったら極限の状態にまで追い込まなければできません。
ポージングというみんなの前で筋肉を見せるポーズをとるのを見たことがある方もいるかもしれませんが、ステージ裏ではあれが終わった後フラフラになってしまっている選手も結構います。
僕は小・中・高と野球をやっていたので理不尽な練習とかはありましたが、健康を害するような調整は必要ない競技でした。野球をやっていて大変だなと思ったことは何度もありましたが、健康を害するって思ったことはなかった。そう思うと健康に結びつかない競技のアスリートって本当に凄いし、僕にはイメージできないんです。
筋トレも大好きで毎日トレーニングをしていますが、大会に出たいと思ったことはありません。ただ一方で、出ている人には逆立ちしても勝てないなっていつも感じます。
野球では超一流のプレイヤーであることと、健康であり長生きできる生活習慣であることは基本的に両立できるわけです。でも、力士はもちろん、試合前のボクサーやコンテスト前のフィットネス系の方も健康であり長生き出来る生活習慣であることは絶対に両立できません。
どちらが良いとか悪いとか優劣を決めるわけではないのですが、やはり健康リスクがある競技のアスリートに対しては少し違った目線で見てしまいますね。まさに”命”を懸けて戦っているなぁ、すごいなぁって。
とはいえ引退後はやはりなるべく長生きしてほしいです。
で、特にやっぱり早くに病気や亡くなってしまうリスクが高いのは圧倒的に力士の方だと思うんです。彼らが引退後に取り組まなければいけないのは、現役時代の日常の否定です。力士として必要だったことは、ほぼすべて健康には結びつかないことだからです。その上で、単に食べる量を変えて運動すればいいかっていうとそうでもなくて、力士の方がやられていた稽古と身体を変える、つまりフィットネス的なスキルはまったく違うスキルってことなんです。
引退後に運動不足解消やそれこそ太ってしまうからっていうことでこれまでの経験の中や先輩などから聞いた方法でダイエットをしたり運動したりすると思うんです。自分は身体を動かして生活してきたし専門家なんだから大丈夫だと。
特に自身がアスリートだと、経験でなんとかなるって思ってしまうのですがそこが大きな落とし穴。やはり餅屋は餅屋でその業界の人のスキルや知識とは実は雲泥の差があるわけです。身体を変え、脂肪を落とし筋肉をつけデザインしていく技術は他のスポーツのアスリートはフィットネスの業界の人の足元にも及びません。
どうしても引退後は親方になったり上の立場になるので教えを乞うのは難しいと思うんですが、引退した力士の方こそフィットネス系の方と一緒に体型を戻していくようにしたらいいんじゃないかなって思います。
アスリートは身体を使ってパフォーマンスをするプロです。でも、身体を使うっていうのは色んな使い方があって相撲の使い方と健康的な人生を送れるようにするための使い方は全く違うんです。
現役の頃はそりゃ色んな事があると思います。必ずしも健康につながらないこともやらないといけない事がたくさんある。けど、第一線を離れた先では人生を豊かに過ごすために健康は何よりも大きな財産です。アスリートでいることが病気や早死ににつながる。そんなことになってほしくないなって思います。
あと、なんでフィットネスの方に教わったらいいって思うかっていうと、まだまだスポーツ界の競技の垣根が高い気がしていて。スポーツ界の垣根を越えて技術やノウハウの共有ができたら益々色んなスポーツのレベルも上がるって思うんです。
まとめると、
・アスリートは必ずしも健康とは言えない。
・健康リスクの高い競技とそうでもない競技がある。
・力士は圧倒的に健康リスクが高く、現に早くに亡くなってしまったり病気になってしまったりしている。
・アスリートは身体のプロだが、専門分野は競技によって違う。身体作りはフィットネス系が圧倒的。
・引退後の力士の健康および長寿を見越して、フィットネスの方に教わってはどうか?
・健康や長寿だけでなく、スポーツ界の競技の垣根が越えられることにも技術やノウハウ共有の意味で効果がある。
・アスリート=早死にというイメージにはなってほしくないなぁ。
って感じですかね?健康とスポーツ。興味深い話題でした。