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『低反発』って?考えてみた! 睡眠を楽しく学ぶ-14


いつもありがとうございます。

今流行り?の低反発を『睡眠コンサル(認定)』の私が得意としている?化学的な知見から考え、低反発ウレタンの良いところや落し穴も含めて、ヘルパー2級有資格者として幾つかの角度から考えてみました。

二か月近く前に調べながら書きはじめましたが、仕事が忙しくなってしまいまとめ上げるのに少々お時間を要してしまいました。合計で4200文字を超える長い記事になってしまいました!(今年二つ目の有料記事です)


■そもそも何をもって低反発と言うのか?

衝撃吸収フォームや耐圧分散の優れたフォームなどとも言われています。反発弾性率(JIS K 6400-3)が15%以下のウレタンフォームの事を低反発ウレタンフォームといいます。これらの特性を生かして枕やマットレス、福祉用品などに幅広く使われていて、日本では同じみの低反発ウレタンだと思います。

しかし、海外から安い『なんちゃって低反発』が日本に多く輸入されて低反発の定義があいまいだったことから、十数年前に反発弾性率が15%以下のウレタンフォームを低反発と言うとJISが決めています。


■低反発ウレタンの成分は?

ご存じない方も多いかと思いますが、簡単に言いますとポリオールとイソシアネートを攪拌させてウレタンフォームは作られます。つまりナフサ由来成分という事です、言い換えれば化石燃料から作られています。

・ポリオールとは
末端に【ーOH基】を有し分子量では500~5000程度のものが使われています。この【ーOH基】の数は官能基数といい、多ければ結合が多くなるので固くなると言う事です。

・イソシアネート
こちらは大きく二種類あり、どちらかが使われています
①TDI(トルエンジイソシアネート)、末端に-NCO基を持ちます。
②MDI(メチレンジイソシアネート)、末端に-NCO基を持ちます。

・その他添加剤


■製造方法は?

低反発ウレタンに限らず、ウレタンフォームに共通する製造方法となります。ポリオール中の【-OH基】とイソシアネートの【-NCO基】が反応してウレタン結合ができます。これが基本配合ですが、そこに水【H-OH】が加わる事で、【 -NCO  +  -OH = CO2 】が発生して発泡して泡の固まりになって行きます。もう一つの反応【-NCO + -OH = -NHCOO-】これがウレタン結合と言われる反応で、同時に二つの反応が起こり、発泡ウレタンが出来上がります。

これだけではなくて触媒やシリコン、架橋剤などその用途に応じて様々な物質が添加されて色々なウレタンができます。その中の一つが低反発がウレタンという事になります。これらの成分をウレタン発泡機を用いて生産をする事になるのですが、その方法はモールドと言われる方法とスラブと言われる方法の他、多種多様で用途に応じて色々な方法があります。


■耐圧分散が良い事のメリット・デメリット

反発があまりないので、重たい所から順番にゆっくりと沈み込むという事です。その為に耐圧が分散されるので気持ちがよく、ゆっくりと寝れるのかも知れません。

低反発に対して高反発などというウレタンも多く存在しています。低反発と違い耐圧分散は良くないですが反発が良いので寝返りしやすいとい特徴もあります。どちらを選ぶかは本人の好みですね!

・耐圧分散が良い事のメリット
特に寝たきりの方は褥瘡予防は欠かせません。2時間に一回の体位変換は大変ですが、耐圧分散が良い事で3時間や4時間に一回ですむようになるかと思います。

・耐圧分散が良い事のデメリット
自分で寝返りがしにくいという事がありますので、寝返りがギリギリできる寝たきりの方ができなくなってしまうと言う恐れがあります。


■睡眠と低反発

睡眠は昼間の活動に大きく影響されます。その活動内容によってはすぐに寝れたり、寝れなかったりします。寝不足の原因は昼間の活動だけに影響されるのでしょうか?照明やまくら、マットレス、掛ふとんにももちろん影響されます。

低反発はゆっくりと沈み込むので耐圧分散がよく一見気持ちが良いのですが、健康な多くの方は寝返りを20~40回程度一晩ですると言われています。その寝返りがしにくいと、思わず睡眠のリズムが崩れたりすることもあるかも知れません。

自分は低反発が良いのか?高反発が良いのか?ポケットコイルなのか?スプリングコイルなのか?畳に寝るのがよいのか?一人一人異なりますので十分に吟味して購入する事をお勧めします。

個人個人違いますので何とも言えない所もありますが、敷布団の場合であれば低反発マットレスだけなのか?固綿と組み合わせてトッパーしてしようするのか?アンダーとして使用するのかで全く違うと思います。


■介護と低反発

先にも書きましたが、寝たきりの方には低反発は高反発よりかは良いと思います。耐圧分散が良いので体位変換の回数は減らすことが出来ます、しかし体位変換を無くす事はできません。

また、ウレタンの構造は泡のかたまりのような形状をしていますので重量のかかる部分(腰やカカトなど)のウレタンはつぶれてしまいます。つぶれるとどうなるか?通気性が無くなります。褥瘡の原因でもある圧と湿気にはとても注意が必要になります。人にもよりますが汗で蒸してしまい耐圧分散が良いのに褥瘡になってしまう可能性もあるかと思います。

個人的な感想ですが低反発を使っていても、もしかしたら体位変換の回数はあまり減らせないと言うのが事実かも知れません。それよりも湿度などによる褥瘡の方が怖いかも知れません。


■ウレタン(低反発)臭とは?

ウレタンには、ウレタン臭という臭いがあります。ウレタンアレルギーという言葉もあります。製造する際に触媒と言う薬品を微量に添加しておりますので、その臭いと言われています。これはウレタン反応には欠かせませんので、次のような注意が必要かと思います。

新しく購入した場合は、直ぐに使用するのではなく2~4日程度風通しの良い所で陰干しをしてから使用する事で大抵の臭いは無くなるようですので新品購入時は試して下さい。


■お手入れ上手に長く使うためには?

ウレタンは湿気に弱いです。寝ている時の汗を吸ってしまうといわゆるへたりがおきてしまい、元に戻らなくなります。理想は1週間に一回くらいはアウターカバーを外して風通しの良い所で陰干しをすることで長く使う事ができます。

天気干しはNGです。調べたところ、紫外線にあたることでウレタン結合の中の『O』(酸素)が外れて変色をしてヘタリが早まります。その為に陰干しを各メーカーさんは推奨しているようです。


■低反発ウレタンの落とし穴

低反発に限りませんが、ウレタンマットレスなどにも言える事だと思いますが湿度には注意が必要です。うまく使えば数年使用できるかと思いますが先に書きましたように日頃のお手入れが長く使えるかどうかになってきます。

また、落とし穴と言っていいか分かりませんが、販売当初は温度依存性が指摘されていました。どういうことかと言いますと、夏場は柔らくなり冬場は硬くなると言う現象です。当初に比べて最近はそのような傾向は少なくなっていますが、価格との兼ね合いでどのようなタイプを購入するかも考える必要があるかと思います。

購入するにあたり、自分の『要求品質は何なのか?』をはっきりさせることが大事だと思います。

低反発とは全く別に、高反発と言う考え方が最近は増えています。機会を見て高反発についても調べてみたいと思います。


■まとめ

低反発と言われるウレタンについて色々と書いてきましたが、まとめてみたいと思います。

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