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p.4|化学反応のための社員大学

イノベーションは対話から生まれる

私が設立を目指している「社員大学」は、スタートアップやベンチャー企業などヤングカンパニー(歴史が若い会社)よりも、当社も含めたオールドカンパニー(歴史が長い会社)において、その持つ意味が大きいと思います。

一般的に、世の中を変えるような重要なイノベーションは「新しい知と知の組み合わせ(新結合)」により生まれると言われています。多様な人の出会いや、多角的なものごとの視点、幅広い知識や経験などを積極的に「掛け算」するような場所を作っていくことがイノベーションには大切だと言われます。

しかし、当社も含めたオールドカンパニーではイノベーションを生み出すこととは逆の方向に、無自覚に進んでしまっていることが少なくありません。それが「分業化の罠」です。

事業にライフサイクルがあるとしたとき、市場導入期にあたる当初は各メンバーが事業全体を把握することが比較的容易なため、全体最適を考えながら各メンバーが自走的に動くことができます。

しかし、事業が成長期や成熟期となり規模も拡大し複雑性も増してくると、当然のことながら企業は「分業化」を進めます。あなたは営業担当らあなたは経理担当、あなたは製品開発といったように各メンバーの適性を見ながら業務を分割していくことになると思います。それは端的に、既にある事業を効率よく行うためには分業化(専門化)することが有効だからです。ただ、この分業化はオペレーショナルな効率性追求には非常に有効ではあるものの「分業化の罠」が潜んでいます。

分業化が進むことで各メンバーは深く狭くの専門家になる一方で、だんだんと全体最適の視点が失われていきます。それは営業部の仕事でしょ?とか、それは製造部の責任じゃないの?とか、分業化された組織では相互の調整コストが大きくなり、部門間で仕事や責任の押しつけ合いが少しずつ生まれていきます。そして、どんどんと横のコミュニケーションが失われていきます。前例がないことや他社がしていないことについては「社内の様々な場所を巻き込むのは大変だし面倒だからやめておこう」という発想が主流になります。そうやって、無自覚に多様な知識の「掛け算」の機会が失われていき、イノベーションも減っていってしまいます。

さらに、オールドカンパニーでは「自己保存」の本能が働きやすいこともイノベーションを難しくします。オールドカンパニーには長い歴史の中で積み上げてきた既存事業や社員など、守るべきものが沢山あります。これらの守るべきものを優先するがあまり、リスクを取るよりも確実性や安定性を指向する方向に偏りやすい特性があります。そうして、どんどんオールドカンパニーはイノベーションから遠くなっていきます。

そんなオールドカンパニーの特性も踏まえ、私は「社員大学」を創りたいと考えました。もちろん、当社の理念である「人を大切にする」ことにも繋がることが大きな理由でもあります。

当社の社員大学は、誰にでも開かれた「青空のような」場所であるため、部門も、職種も、年齢も、多様な人が学び交流するプラットフォームとして機能することを目指しています。

そこでは、通常の大学のように学部があったり、サークルがあったりなど、コミュニケーションが活発化するような仕掛けをデザインしようと思っています。

そんな活発化したコミュニケーションの先に、様々な出会いをつくり、多様な対話が生まれ、まるで化学反応のように新しいアイデアが生まれてくることを仕組みとして実現したいと思います。

※イノベーションが「新しい知と知の組み合わせ」というところについて、もう少し知りたい方はこちらの日経新聞の内容が参考になります。

また、対話により化学反応を作るというアプローチはスポーツにも共通しており、こちらのラグビーの記事はすごく参考になります。

以上


大好きな柿ピーに使わせていただきます✨