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旅【エッセイ 年賀状】六〇〇字

みなさま
明けましておめでとうございます。

 エッセイを年賀状がわりにして、三回目になります。今年のテーマは、「旅」。昨年一〇月七日にアップした作をリメイクした内容にしました。

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 一昨年七月に広島に出かけ、昨年は長崎に行こうと決めていた。が、このコロナ禍。やむなく、延期する。そんな「巣ごもり」の中、『灯台からの響き』を手にする。主人公と一緒に灯台を巡りながら旅気分を、味わおうと。
▼主人公・牧野康平は、二年前、妻・蘭子が五八歳で急逝したことを機に、二人三脚で営んできた中華そば屋を閉める。その中、三〇年前蘭子に届いた葉書が、ある本に挟まっているのを見つけたことから、物語が始まる。
▼灯台巡りをしたことが書かれ、下に海岸線らしき線と灯台と思われる黒点が細線で描かれているだけの、謎の大学生からの絵葉書。
▼だが当時、蘭子は差出人には覚えがないと、「私はあなたをまったく知らない」という返信の投函を、康平に依頼したのだった。▼蘭子に誘われるように、康平は灯台巡りの旅を続けるのだった。▼康平の旅を、グーグル・マップで追った。房総の犬吠埼灯台など三基、伊勢の伊良湖岬灯台など三基、青森の龍飛岬灯台など二基、そして謎解きの出雲の日御碕灯台と、九基の灯台を訪ねた。▼旅はバーチャルだったが、灯台の孤高の美しさに、つかの間の旅気分を味わった。今年こそはぜひ、謎解きの出雲で蕎麦を食べ、日御碕灯台に「敬礼」をして、昨年行けなかった長崎に、向かおう、と思う。行けるよね—————。

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