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方言【エッセイ】六〇〇字

 3年前、「そだねー」が話題になった。帰省すると自然に口にする、代表格の言葉だ。 
 4都府県に、3度目の緊急事態宣言が発出された日、25日に菅義偉政権初の国政選挙が実施された。翌日、「天声人語」は、「時として土地の言葉は標準語より迫力を帯びる」で始まる。広島、長野、北海道の有権者の気持ちを、土地の言葉を使って、書いていた。
 広島では、公選法違反で有罪が確定した河井案里前参院議員の当選無効に伴う再選挙。広島弁で、「だまっとれん」、と。長野では、現職議員の急死を受けた補選。「実弟である野党候補が制した。敗れた自民党の側はちんやり(意気消沈)しているらしい」、と。北海道では、収賄事件で吉川元農相が議員辞職したのに伴う補選。「北海道の人々の心境を土地の言葉で表すなら、ごっぺすけ(大失敗)か。大臣室で大金を受け取るような人物を6度も当選させたことを悔やんでいよう」、と。
 最後に、菅首相を、「地元秋田の言葉を借りるなら、かだぎわり(肩身が狭い)か。苦戦を強いられ、けけし(悔しい)」、と、〆た。
 冒頭の「そだねー」。『北の国から』の、黒板五郎たちがよく使っていたが、道産子としては、アクセントが、「ちょべっと(ほんの少し)」違うなと感じながらも、懐かしく、ティッシュを横に置き、正座をして観ていた。
 土地の言葉は、「時として標準語より迫力を帯びる」のではなく、「常に」、その土地の人間の心情を的確に醸し出している、と思う。

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