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建てないことが、建てることに匹敵するなんて、本当なの?「Nørreport Station」と食べ尽くしたくなる屋内マーケット「Torvehallerne KBH」の話。

今回の私たちの旅の目的はひとつ。ヤン・ゲールの事務所に突撃することだけだったので、コペンハーゲンについて何も調べずに行ってしまいました。観光本の一冊も買っておけばよかったと気付いたのは、飛行機に乗ってから。

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そこで、大活躍したのがAirbnbのホストのジェスパーさんにいただいたこの地図。これとgoogleMAPを合わせて1週間歩き続けたのでした。

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さて、今回は、前回の小学校を後にして、Nørreport Stationと、その近くにある「Torvehallerne KBH」というマーケットへ行きましょう。

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ちなみに、以前取り上げた歩道にぶっ刺さった例のカウンター席は、先ほどの地図で橋を渡って少し歩いた右手に登場します。

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Nørreport Station(photo:opacity

で、橋を渡って少し歩くとNørreport Stationが登場します。これはイケイケの設計事務所COBEが、2009年のコンペで勝ち取り、昨年2015年に竣工したもの。芝生のお皿のようなものが、いくつも浮いてるだけじゃん、と普通の人なら見てしまうでしょう。

しかし、やばいプロジェクトなんですよコレ!駅ビルを建てるか、膨大な自転車をどう処理するか、人の流れをどうつくるかといった複合的な問題を、一手に解決しているんです。結論として導きだされたのは、このように都市空間を新たにつくることが、新たな駅ビルをつくることにも値するということなんですよ。

つまり日本とは根本的に考え方が違います。日本ならここに必死で商業ビルを建て、そこだけで利益を生もうとするでしょう。しかしデンマークの人たちは、そんなことをしません。大量の自転車を受け入れ、周辺環境とも融合したゆとりある都市空間を与えることが、人々のアクティビティが高め、結果的に周辺エリアに対して、経済的な効果ももたらすと。それを受け入れるクライアントサイドももちろんですが、根拠を持って提案できる建築家サイドの力量にも驚かされる限りです。

http://danish.tm/article/redesigning-denmarks-busiest-train-station/

前回の小学校も同じですが、このような形、このような規模のブレイクスルーは、行政やデベロッパーなどのクライアントサイドの変わらぬ態勢が障壁となり、日本ではいくら建築家たちが頑張っても、当分は起きそうな予感がしないのは悲しい限りです。一方で、ヨーロッパはもちろん、中東やアフリカなどは、これからどんどん面白いプロジェクトが登場してくるのだろうと個人的には思っています。

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ちなみに、滞在中のある日、以前、藤本壮介建築設計事務所に勤務していた加藤比呂史さんが、コペンハーゲンに在住だったことを思いだし、FBづてに連絡を取り、うかがったのがなんとCOBEだったという。思わず事務所前にて記念写真を。

加藤さんのインタビューも興味深いので、ぜひ読んでみて下さい。特に下の部分が印象的でした。

「(前略)日本での建築家の仕事は、建物を作ることに焦点が当てられるけれど、ヨーロッパでは都市計画に近い概念で捉えることです。特に、社会民主主義が根強いデンマークでは、建築を常に街全体の一部として設計する傾向が強いんですよ。(後略)」(EPOCH MAKERS「そこに境界線は本当にあるのだろうか?」日本人建築家が北欧デンマークで価値を示せるたった一つの理由」加藤比呂史インタビュー

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COBEの表札を見て下さい。「Architecture, Urban Planning, Public Space」とありますね。こんなふうに掲げているアトリエ系設計事務所は日本にはないのではないですよね。さらに2フロアなんですが、写真に見える広大な1階グランドレベルは、ほぼパブリックスペースという設えで。さすが!!

マーケットの外に山積みにされた肉肉肉!

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さてさてさて。肉ですよ! というわけで、Nørreport Stationの近くにあるマーケット「Torvehallerne KBH」に到着。道をあるいていたら歩道に肉の山です。1月は日中でも寒いと零下、あがっても数度なので。お外でもOKというわけです。マーケットって書いてあったから、もう少し昔ながらのものを想像していたら、ぜんぜんぴかぴかじゃないっすか。軽く流すかな、くらいの気持ちで入ったら、

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八百屋さん。のぞき込むと、

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うぉ。。このそそる感じ。

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ハーブ屋さんも、陳列が巧みすぎる。やばい、楽しいぞ!

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乾物屋さん。豆にデーツに最高のラインナップ!

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やっぱり新鮮な魚も充実しているわけですね。売っているそばで、料理されてるから、匂いがまた食欲をそそります。

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そう。意外と香辛料を匠に使う国なのです。この充実っぷり。デンマーク料理と香辛料の関係は、いつか勉強したいところ。

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膨大な種類のコニャック屋があるかと思えば、

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紅茶屋も茶葉の種類が膨大で、

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あのコレクティブコーヒーも出店していて。一店一店巡る度に、美味しそうで素敵すぎて、「おいっ!」「おいっ!」とツッコミを入れてしまいます。

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さらに新鮮なフルーツジュースも飲めるし、

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こんな可愛い手作りケーキ屋さんもあるから、

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ティータイムも美味しく。ちなみにまったく写真に撮れていないのですが、とにかくレストラン系がどこもどこも超美味そうでした!楽しさと美味しさと種類の豊富さが、とにかくすごい密度で詰まっているんです。

ホームページに写真がたっぷりあるので、ぜひごらんください。
http://torvehallernekbh.dk/

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食べては歩き、食べては歩き。そこで、ある瞬間気付きました。この建築、非常にシンプルなフレームでできているぞと。で、設計をしたarkitekturvaerkstedetのホームページを見ると、実にシンプルな図面があって、ほぼ正方形のグリッドでつくられていることがわかります(竣工途中の写真はコチラにも)。しかし、シンプルさに気付けば気付くほど、この多様な使われ方の質の高さに鳥肌が立ちます。

こちらのホームページに説明されているような行政や市民との合意形成の取り方から、器としてのこの建築のつくられかた、理念を持ちかつセンスの良い魅力的なお店だけをセレクトするリーシング、さらにフィニッシュの各店舗のシズル感のある設えや、100点満点の提供される料理や商品まで、まさにプロジェクトのしっぽから頭まで、作られ方と使われ方が、どこを取ってもパーフェクトなんですよね。

「建築を常に街全体の一部として設計する傾向が強いんですよ。」と加藤さんは先のインタビューでおっしゃっていましたが、それは置き換えると、デンマークの人々は、街、建築、パブリックスペースといったあらゆるものは、地面(グランドレベル)でつながり、だからこそ受けられる人間の根源的な幸せがあるということを自然と共有しているからこそ実現しているのだと思いました。

そんなことを考えながら、マーケットでゆっくり休んで、ふらっと反対側に出て見たら、また広場が。そしてまたしてもCOBEの設計によるもの。こちらについては下記リンク先をご覧ください。またもやため息と興奮に包まれるに違いありません。

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参考リンク:
http://www.cobe.dk/project/israel_s-square
http://copenhagenbydesign.com/blog/2015/2/17/israels-plads
http://copenhagenbydesign.com/israels-plads/

というわけで、今日はこの辺で。次回は、夜の川沿いでも歩きましょうか。デンマーク人って何なのか?ってことにも、少し書かなくてはいけませんね。

おおにし・まさき(mosaki)

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