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住宅街に現れたグルグルすべり台!?「壁」を取ったときのポジティブ妄想力で、小さな小学校の再生が、エリアの問題をも解決!

さて、今回のデンマークレポートは、前編「夜遊びの祭典「ディストーション」...」に続き、住宅街へ突入していった編(後編)です。

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池沿いの一本裏の骨董通りをあとにして、ぐいぐい住宅街へ入っていくと、

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うぉ〜。。上から、なんだ、このグルングルンすべり台は!!

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離れてみると、、集合住宅の合間に現れた公園? でも敷地の端っこに建つ建物が以外と大きい。ガラス張りの1階をのぞき込むと、爆音ミュージックをバックに、子どもたちが全力でぴょんぴょん跳ねまくってる!!! なんだ、、この施設は。

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手前側には、ピロティーにブランコ。さらに敷地の外周を囲っているのは、これベンチですね。ベンチを辿っていくと、、、

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ベンチが自転車置きにも!

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なるほどのスリット。これであれば、自転車がいないときはベンチとしても使える。さすが。

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反対側から見る。基本的には校庭?広場?に壁はありません。建物の二階は教室になっているみたい。

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これはとんでもない施設だなと思いつつ、施設名を確認すると「Guldberg Skole Og Fritidshjemmet Universet」。デンマーク語ですね。。。左のレンガの建物も学校っぽいなぁ。

で、帰国後調べて見たら、明治学院大学の服部圭郎さんという方の記事に詳しく解説されていました。

コペンハーゲンの都心からすぐ近くにあるノアブロ地区は緑も少なく、また公共空間も不足していた。そのような状況に対処するために、グルドベーグ小学校の校庭を広く開放させることで、児童はもちろんのこと、若者や大人もここでスポーツをしたり、休息をしたりする工夫をした。(「都市の鍼治療データベース(服部圭郎:明治学院大学経済学部教授)」http://www.hilife.or.jp/cities/?p=528 より)

なんと小学校だったのです。しかし、何よりも関心するのは、小学校をリニューアルするに際し、そのまち、エリア一帯の問題を解決しようとしているところ。さらに、コペンハーゲンIT大学 インタラクションデザインリサーチグループ 客員研究員の上平崇仁さんという方のブログには、子どもたちが設計に関わったことについて、ふれられています。

さらに下記サイト(http://sbsby.dk/?pid=78&proid=1111)を見ると、より複雑なプログラムになっているみたい。認識していたよりも、より広範囲の建物も小学校の一部のようで、まさにまち一帯が小学校のような感じ。行われているプログラムも非常に多種多様になっているみたい。

小学校のグランドを、市民のグランドにしてしまう。このときに大きなポイントのひとつは、やはり物理的な「壁」を設けないということではないでしょうか。たとえ学校が終わった後に市民に開放しようが、学校を取り囲む「壁」があるとないとでは、市民による使われ方はもちろん、佇まいがまちに与える印象もまるで変わってきます。

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学校、公園、オフィス、集合住宅... 日本では多くの建物に壁やフェンスが設けられています。また、ガラスになっていたとしても、目張りがされていたり、植栽で隠したりすることがほとんどです。そして、そのほとんどが、防犯やセキュリティーといった、「もしも」の時のための管理の面から、守りの対策として現れているものだと思います。

しかし、成熟した社会において「壁」は本当にそこまで必要なのでしょうか。むしろ、「壁」を取ることで得られるものが多いのではないか。その一端を今回の小学校は示していると思います。

「しょうがないんだよ」の一言でつくられつづけてきた「壁」を取り払うなど、相当な労力が必要になるかもしれません。それでも、成熟と言われつつも生きるか死ぬかの岐路に立たされている日本の私たちには、今こそ脳をリセットして、まず「壁」そのものを根源的に疑うこと、さらに「壁」を取り払い得られることに対するポジティブな妄想力が求められているのではないでしょうか。

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たとえば、上の写真を見ながら、小学生と市民たちが日常的に広場を使う風景を妄想してみてください。どんな行動、触れ合い、会話、出会いが生まれるでしょうか。そして明日から、まちにあるさまざまな「壁」を見かけたら、それを取り払ったときにどんな可能性が生まれるのかを考えてみて下さい。(こういう課題の授業は、建築やデザインを学ぶ学生はもちろん、義務教育課程であってもよさそうですね。)

次回は、ようやく最新マーケットへ行ってみようと思います。きっとよだれたっぷりになるはずです。それでは!

おおにし・まさき(mosaki

多くの人に少しでもアクティブに生きるきっかけを与えることができればと続けています。サポートのお気持ちをいただけたら大変嬉しいです。いただいた分は、国内外のさまざまなまちを訪ねる経費に。そこでの体験を記事にしていく。そんな循環をここでみなさんと一緒に実現したいと思います!