若者の力が未来を創る国カンボジア - HARVEST FLOWが描く新しい世界の形
株式会社Apas Port共同創業者兼、HARVEST FLOWのプロダクトマネージャー(PdM)を務めている南出聖希(みなみで まさき)です。
前回の記事では、私がどのような経緯でApas Portを創業し、HARVEST FLOWを立ち上げたのかについてお話ししました。
今回は、2023年12月に訪れたカンボジアでの経験を通じて感じた東南アジアの貧困問題やその背景、そしてHARVEST FLOWがどのようにその解決策となるのかをお伝えします。
数字で見るカンボジア
高い経済成長率
みなさんはカンボジアに行ったことがありますか?
お隣のベトナムやタイは安くて美味しいご飯があり、旅行先として人気ですが、カンボジアについてはあまり聞かないかもしれません。
しかし、最近ではインバウンドが盛んで、TripAdvisorによると2024年のベスト旅行先ランキングの9位に選ばれています(ちなみに1位は日本です)。
東南アジア諸国のGDP成長率を見てみると、カンボジアのGDP成長率はコロナ前までは7%を推移し、2020年にコロナの影響で-3.1%を記録しましたが、その後順調に回復しています。2024年以降の成長率は6%とIMFに予測されておりベトナムに次いで東南アジアでTop2です。
急速な都市化。若者の街プノンペン
国連によると、2023年には人口約1700万人、2050年には2,200万人に成長すると予測されているカンボジアは、急速な都市化が進んでおり、特に首都プノンペンには農村部から多くの若者が出稼ぎにきて街は活気に溢れています。
市民の足として浸透したトゥクトゥク(三輪タクシー)
カンボジアのプノンペン国際空港を出てまず気がつくのが、東南アジア名物のトゥクトゥクです。これを見るだけで東南アジアにきたーって気持ちになりますよね。
隣国のベトナムやタイではGrab(Uberのような配車サービス)を呼べば普通の車や二輪バイクが配車されますが、カンボジアのプノンペンでは代わりにトゥクトゥクが来ます。
諸説によれば、カンボジア政府が二輪バイクの二人乗りを禁止しているのが一つの理由だそうです。トゥクトゥクは観光客だけでなく、現地の人々の主要な移動手段であり、カンボジアの象徴とも言えます。
瓢箪(ひょうたん)型の人口ピラミッド
社会の教科書で誰しも一度は見たことがあると思いますが、カンボジアの人口ピラミッドは40代後半がごっそり抜け落ちて、瓢箪のような異様な形をしています。
これは1970年代のポル・ポト政権下で多くの知識人や高齢者を中心に当時の自国民の約1/3が虐殺された影響です。
そのため、現在のカンボジアは日本とは真逆で若い労働者層が多く、活気に溢れた経済成長のポテンシャルが高い国となっています。
数字では見えない現地の課題
金融サービスにアクセスできない
そんな経済成長華々しいカンボジアですが、現地でしばらく過ごして色々な人と話す中で数字からは見えない現地の課題に気づきます。
現在のカンボジアは、ポル・ポト時代に知識人が虐殺された影響で国の政治や法律、金融システムを作れる人が少なく、結果として教育やインフラの整備の遅れなどに繋がっています。
当時の傷跡が今も残り、中には出生証明や銀行口座を持っていない人々が多く存在します。
これにより、普通の生活で必要な家や車を購入するためのローンを借りることができず、その日暮らしの生活を強いられるなど貧困の連鎖に繋がっています。。
特に都市化が進むプノンペンでは農村部から出稼ぎに来た、働く能力と気力に溢れている若者が、働きたいのに車のローン審査に通らないため仕事ができないなど残酷な状況があります。
インタビュー:カンボジアの若者たちの声
カンボジア滞在中、私は多くのファイナンスを受けられない若者やトゥクトゥクディーラーと話す機会がありました。
プノンペンの郊外に住む33歳のSさんは、「自分の力でトゥクトゥクビジネスを始めたいけど、銀行から資金を得るのが難しい。ローンが組めなくて、家族を養えないんです」と語ってくれました。彼のような若者たちは多く、皆一様に将来への希望と同時に、現実の厳しさに直面しています。
また、プノンペンでトゥクトゥクディーラー店を営むホックさんは、「家族を養うためにトゥクトゥクドライバーとして働きたい人はたくさんくるけど、与信がないから審査が通らない」と話していました。
ドライバー希望の方々やホックさんの話を聞いて、HARVEST FLOWが提供する新しいレンディングサービスが、どれほど彼らの生活を変える可能性があるかを再認識しました。
HARVEST FLOWが描く新しい世界の形
世界と繋がる暗号資産レンディング
HARVEST FLOWは、暗号資産で世界を良くする現実事業にレンディング(貸付)してインカムゲインを得ることができるサービスです。
今までの金融の仕組みから排除されて資金が行き渡らなかったという課題を、ブロックチェーン技術を使うことで解決することを目指しています。
通常の暗号資産レンディングはETHのステイキングなどオンチェーン上での資金循環が主なユースケースのため、現実社会への貢献がされていないのではないかと言われていました。
近年トレンドとなっているRWA(Real World Asset)は現実世界の資産や権利などをトークン化する領域で2030年までに$1.6Tもの市場規模に成長すると言われています。
HARVEST FLOWはそのなかでもプライベートクレジットと呼ばれる、既に$12.5Bのトークン化がされている急成長領域をターゲットとしています。
Web3サービスだとファンドにはなりますがCentrifugeやGoldfinchなどが有名ですね。
HARVEST FLOWは決まったインカムゲインが事業者から支払われるレンディング(消費貸借契約)のため、パフォーマンスによって収益がアップダウンするファンド(証券)とは異なり、安定した予測できる収益が見込めます。
ソーシャルアクション。経済的と社会的な実りの両立を目指す。
HARVEST FLOWが大きな軸としているのは、社会を良くする事業に対して暗号資産を貸し出すことです。
ただそれは、利益の出ない慈善事業やボランティアをするというわけではなく、経済成長の著しい国を中心に安定した収益を得ながら、社会を良くすることを両立できる事業に対してレンディングする機会を提供します。
例えば、トゥクトゥクドライバーへのローン提供の場合、ドライバーはより多くの収益を得ることができるため、家族を養うことができ、地域社会全体の経済的安定に寄与します。そしてそのローン返済の利率の一部がユーザの収益の源泉となります。
収益を得ながら世界の実りを手助けすることができる、ソーシャルアクションを私たちは広げていきます。
初回プロジェクト:RWA-001 カンボジアトゥクトゥクローン
今夏に予定している第一弾POC《実証実験》プロジェクトは、先ほど紹介したカンボジア、プノンペンでトゥクトゥクのファイナンスを受けれなかったドライバーにローンを提供する事業に対してレンディングを行います。
本プロジェクトは既にカンボジア、フィリピン、インドネシアを含む新興国及び日本で、15000台を超える車両のリリース実績を持つ日本のFinTech企業との提携により実現しています。
今後発表予定の某社は、独自のIoT技術とクラウドシステムを開発し、従来ハイリスクリターンと言われていた車両ローンの債権回収を自動化するオートファイナンスにより、デフォルト率を0.1%未満に抑えることができる画期的な仕組みを構築しています。
HARVEST FLOWはその技術とノウハウを活用し、現実世界のリアルタイムデータをサービスのダッシュボードで可視化しています。
それによりユーザはレンディングした自分の資金がどのように使われているのか、ドライバーがどれだけ頑張っているのか、そして彼らの生活がどのように変わったのかをデータで実感できます。
今まで資金使途が曖昧なサービスが多い中、HARVEST FLOWは透明性の高い借り手の顔が見えるレンディングサービスの提供を目指します。
HARVEST FLOW初回プロジェクトのもらたすソーシャルインパクト
HARVEST FLOWは、世界中で支援を求めている企業や個人をレンディングで繋げることによって、新興国の貧困問題とWeb3の社会的ユースケースを生み出すことを目指しています。
暗号資産を活用したレンディングサービスは、従来の金融システムにアクセスできない人々にも新しい金融機会を提供します。これにより、カンボジアの若者たちが自己実現を追求し、持続可能なビジネスを展開できる環境を整えることができます。
終わりに
カンボジアでの経験を通じて、彼らが直面している課題と私たちができる解決策について深く考えることができました。若者たちがそのポテンシャルを発揮できる環境を整えることは、カンボジアだけでなく、世界中の経済成長にとって重要です。HARVEST FLOWを通じて、私たちはその実現に向けて努力していきます。
次回以降の記事では、HARVEST FLOWの具体的なプロダクト説明やユーザの関わり方、このRWA市場の解説などについてご紹介します。
どうぞお楽しみに。
パートナーシップの募集
HARVEST FLOWでは、暗号資産を使った新しい資金調達に興味がある企業とのパートナーシップを募集しています。
私たちと共に、社会を良くするためのプロジェクトを推進しませんか?興味をお持ちの方は、info@harvestflow.ioまでお問い合わせください。