【環境分析フレームワーク】プロダクト・ライフサイクル理論
概要
プロダクト・ライフサイクル(以下PLC)とは、プロダクトが市場に登場してから衰退するまでを、売上(マーケットサイズ)と時間の経過を軸にフェーズに分けた考え方です。
通常、以下のようなカーブを描き、導入期,成長期,成熟期,衰退期の4つのフェーズがあるといわれます。
全てのプロダクトがこのようなカーブを描くとは限りませんが、自社のプロダクトがどのフェーズに置かれているのかを把握しておくことは重要です。
市場フェーズ
導入期
市場を最初に切り開こうとしている極少数の企業だけが参入している
その製品は殆ど市場に認知されておらず、売上げは非常に低い
売上げが立っていない状況で先行投資をしているので、利益はマイナス
成長期
市場に参入すれば売れる状況なので、参入企業がグッと増える
市場にその製品の良さが伝わり、売り上げが急成長する
利益がピークになる
成熟期
参入企業パワーバランスがはっきりしてきて、下位の企業の淘汰が始まる
市場のパイが埋まりつつあり、需要が頭打ちに。売上げの成長は鈍化する
価格でシェアを奪うようになるため、利益は減少する
衰退期
シェアを守りきった大手だけが生き残る
市場の需要はほとんどを取り切った後なので、売上げは減少する
市場全体では利益はマイナスになるが、一部大手は利益が残る
イノベーター理論
PLCと併せて理解しておくと有用な理論として、イノベーター理論があります。
市場フェーズ別に流入する顧客を5つのタイプに分類し、それぞれの特徴に基づき戦略検討することが望ましいと提唱している理論です。
イノベーター(市場全体の2.5%)
最も早く製品を採用する層
情報感度が高く、新しい製品を積極的に採用する好奇心を持っています。
目新しさ・最先端技術などにに価値を感じ、製品の細かいメリット・価格などにはそれほど興味を示さない
訴求ポイントは、「革新的」「最先端」「新技術」
アーリーアダプター(市場全体の13.5%)
イノベーターほど急進的ではないものの、トレンドに敏感(「インフルエンサー」とも称される)
周囲の人々に対して製品の口コミ・評価を伝える性質があり、以降のタイプである「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」を呼び込む宣伝役となる
「新しいモノを好む」というわけではなく、具体的なメリットを考えた上で、良いと判断したものを購入
訴求ポイントは、製品の持つ新しさに加えて、「具体的なメリット」「流行する可能性」「従来品より優れている点」など
アーリーマジョリティー(市場全体の34%)
前述した2つのタイプと比較すると新たな製品の採用に対して慎重な姿勢を取っている層
流行には敏感で、アーリーアダプターの影響を強く受ける
訴求ポイントは「流行している事実」「具体的なメリット」など
レイトマジョリティ(市場全体の34%)
流行や新製品に対し、懐疑的・消極的な層
周囲の動向を伺いながら、周りの多くが利用していると確信してから購入を検討し始める
訴求ポイントは、「普及率や採用実績」「採用してもデメリットがない点」など
ラガード(市場全体の16%)
最も保守的であり、新しいモノに対して全く興味・関心を持っていない層
その製品やサービスがただ普及するだけではなく、伝統的、文化的なレベルまでその商品を採用することが一般的にならないと採用しない
中には、これらの条件を満たした場合であっても、不採用を貫く人も存在
訴求ポイントは、「すでにその製品が定番化している事実」「安心感」など
「プロダクト・ライフサイクル理論」と「イノベーター理論」の対比
PLC理論とイノベーター理論は、組み合わせて対比すると理解が深まります。
PLC理論では市場フェーズを4つに分けていますが、それぞれのフェーズにおいてイノベーター理論で定義された5種類の顧客が流入されると考えられています。
例えば成長期の戦略では、その製品の認知が広まり、イノベーターからアーリーアダプターが流入してくるフェーズで、伴って市場規模も拡大し、競合数も増加し始めます。
アーリーアダプターに訴求すべきは製品の具体的なメリットや革新性や流行性といった部分になりますので、このフェーズでは競合に対して価格競争を仕掛けるよりは、差別化戦略や認知拡大に投資し、アーリーアダプターが口コミやSNS拡散などの広告塔になってもらうように各社が働きかける方が合理的だったりします。
このように市場フェーズと流入顧客の属性を把握することによって、精度の高い戦略構築が可能になるという利点があります。
参考リンク
https://asu-yoku-laboratory.com/product-life-cycle
https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/innovation-theory/
https://www.onemarketing.jp/contents/innovation-theory_re/
参考書籍
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