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008 共感で力尽きる

 地球には、今だ解明されていない謎が残されている!NVC探検隊は、謎を求めて世界を駆け抜けた!
 灼熱の太陽が照りつけるなか、探検隊は幾度となく人跡未踏のジャングルへ分け入った。しかしそこは、侵入するあらゆる物を拒絶する、さまざまな危険に満ちていた!
このイントロが分かった方は、バリバリの昭和ですね。。。友よ!
(詳しく知りたい方は ⇒ 川口浩探検隊

008 共感で力尽きる

 NVCをやっている以上「共感的に話を聞くべきだ」と、私は思うようになっていきました。

そして、上手に共感的に聴かなければ・・・という呪縛に囚われ始めたのです。

(相手)「それで、私が何度言っても、彼は自己否定を繰り返しちゃうんです」
(私)「(観察・・・)彼は自分自身を否定するんですね」
(相手)「それで私は、そんなに自己否定するのは良くないよって言ってるんです」
(私)「○○さんは、彼に自分自身を大切にしてほしいと思ってるのですね」
(相手)「だけど、彼は、相変わらず自分を否定するんです」
(私)「(ん?繰り返してる??)それでも彼は自分を否定するんですね」
(相手)「そうなんです、私がどれだけ励ましても、否定するんです。そうそう、一昨日は、彼の職場で、彼の上司が・・・・・」

・・・・・小一時間経過・・・・

(相手)「で、結局、彼は自分が悪いって思うみたいなんです」
(私)「(これ、いつまで続くの?)彼は、自分を責めてしまうんですね」
(相手)「それから、ちょうど一月前の話なんですけど、彼のお母さんとの関係で・・・」

・・・・さらに続く・・・・・

やがて、私は力尽き、相手の方はいまいちスッキリしないまま場を閉じることになりました。

この時のことを想うと、今も切ない。
そして、似たようなことは今も起きます。
共感的に聴きたいのに十分にできない。

もちろん、もっと聞く力を持てば、相手がニーズと繋がるお手伝いができると思うのですが、なかなか上手にできない。

こんな時、自分なりに思っていることは

・境界線をもつ 相手のニーズの責任を取らない、取ろうとしない。
その体験に関わる全ては刺激として起き、全てその人のニーズが源として応答が起きます。その人だけが、その人のニーズに立ち会う事ができる。
相手のニーズ(命のエネルギー)とどう出会うかについて、私が責任(responsibility)を取ることはできないし、責任を取ろうとしない。

・尊重する
出来事や経験とどのように出会う(認知する)かは、相手に属するもの。どんな意味を持ち、どんな体験とするか、どう表現するか、全て完全に相手の選択である事、相手のユニークである事を尊重する。

・相手にマイクを向け続ける
私は、相手が少しでも自分のニーズに出会えるよう、思いやりと慈愛をもって共にいるだけ。主役は相手、私は伴走者。
自分が心地よくなるために、自分の枠、自分のやりたい事に誘導しない。
 (※ヒーリング・癒しについて同意が事前に取れてる場合は別)

・プロセスには時間がかかる事を知り、相手の命を信頼する
自分自身の経験を振り返っても、大きなことへのプロセスは数年単位で動きました。だから、その時その場の短時間ですべてを解決しようとしない。
人は自分のニーズとつながり、ニーズの面倒をみる力を持っていることを信頼する。

最後に、「嘆く」こと
もっと寄り添って聞きたかった、十分に貢献したかった。力になりたかった。相手がすっきりとした笑顔になるのを見たかった。

でも、自分の望むようにはできなかった。

そして、とんでもなくひどい自己批判を自分自身に行ってしまう。
「お前には共感する能力なんてない」「NVCをシェアする資格なんてない」「お前のシェアを聞いた人は不幸だ、ほかの人ならもっと上手にできるだろうに」・・・

この体験も批判も丸ごと受け入れ、ただ悲しみ、ただ嘆く。
やがて、私はその向こうに、私の「思いやり」や「慈愛」がある事を見つけ、そのニーズ(命のエネルギー)を甘い痛みと共に味わうでしょう。

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