チルドレン

#18 奇跡がつながる短編集

こんにちは!
毎週月曜日開館の【Vivid Books】へようこそ!

今週は僕がハマっている作家である伊坂幸太郎さんの、短編小説を集めた作品集である一冊をご紹介します。

目次
1.今週の一冊
2.内容
3.学び・気づき
4.さいごに

1.今週の一冊

タイトル:チルドレン
著者:伊坂幸太郎
出版:講談社、2007(単行本は2004)


2.内容

この本は5つの短編を集めた短編集ではあるのですが、それぞれの話が全てつながっていて、一つのストーリーになっています。

バンク
シリーズの主要キャラクターとなる陣内・鴨居・永瀬が出会うきっかけとなる学生時代に巻き込まれた銀行強盗事件を描いています。事件ではあるのですが、全くシリアスな雰囲気ではなく、読み終えたころには「なんだ、そうだったのか!」とスッキリした気持ちになります。まあ伊坂さんの作風の特徴なので多くの作品に言えることですが(笑)。

チルドレン
時がたち、家庭裁判所調査官となった陣内の後輩、武藤が主人公として、非行少年との関わりを描いています。普段ではありえない人との間に、ふとできる関係性もある、と人生の楽しさを教えてくれます。

レトリーバー
永瀬は目が見えないけれども、とても聡明で落ちつきがあり、何か考えさせられるような、鋭く優しい言葉を多く口にします。そんな彼とは真逆で口が汚く、めちゃくちゃな論理を振りかざす陣内。そんな二人が、平凡に見える公園の風景を疑い始めます。

チルドレンⅡ
チルドレンの続き。2組の夫婦の問題について、陣内と武藤がそれぞれ解決を試みようとしますが、その先に奇跡が待っていました。

イン
時は彼らの学生時代に戻り、デパートの屋上での永瀬と陣内のやり取り。最も短く、派手な展開はありませんが、この話でこれまでの話がきれいにつながりまとまるという感じです。


3.学び・気づき

振り返ってみると、ほんとに伊坂さんはすごいなと。。。

短編それぞれ味があって、どれも面白い。「あ、これがつながるんだ!」「これってこうゆうことだったのか!」という瞬間が読み進めていくと必ずあって、そこがたまらないですね。

よくサスペンスや刑事ドラマを、誰と誰がつながっていて、誰が犯人なのかを推理しながら見たりしますよね。
で、最後に「こいつだったかー!」とか「やっぱりこいつ怪しかったよなー」なんて感想が出てくると思いますが、感覚としてはそれに近いです。

でもそれを個性的なキャラクターや予測できないストーリー、時系列の並べ替えという巧みな技術で、全くシリアスでない状況で表現しているので、どんどん読みたくなる作品ばかりです。

チルドレンⅡでも出てきた表現ですが、まさに「奇跡」のような人の出会いや意外な関係性を表現し、読者に勇気を与え、好奇心をくすぐってきます。


4.さいごに

ついこの前(たしか今年の4月)に、この本の続編として、陣内と武藤が登場する『サブマリン』も刊行されました。

すでに買ってあるのでもう読み始めています。

もしこの記事を読んで興味があれば、『チルドレン』と『サブマリン』セットで読んでみたらいかがでしょうか!


次の定期投稿は月曜日【Vivid Books#18】です。
それではまた。


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